感染症診療の原則

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HAP・VAPの勉強をして

2009-07-15 | 青木語録

現在、東京医大における臨床感染症講座シリーズ、最後となる院内肺炎の準備中です。

院内肺炎といえば、緑膿菌などHard coreな弱毒耐性菌などを想起しやすいですが、早期のHAPには肺炎球菌やインフルエンザ菌など市中肺炎の原因となるものも関与する可能性があります。 ミズーリの大庭先生によると「あまり、EarlyやLateで線引きできない」という事でもありました。

もともと重症な基礎疾患のある方も多く、「正しい診療」を行ってもRescue出来ない方が多いので、「正しい診療」と「正しくない診療」の境界線が限りなくぼけてくるのですが、それでも、どの教科書や専門科に聞いても一様な答えが帰ってくるのが最初の抗菌薬の選択です。これでつまずくと予後が悪い。

ここで「だから広域スペクトラムだぜー」となる医師と「うちのGNRの感受性・Local factorを調べなければ・・」と進む医師が居るか居ないかで、各施設に大きな違いが出ます。

いたずらに耐性菌を恐れて広域、広域、とならず、しっかりと自施設の自地域の感受性パターンを調べる視点を大事にしたいと思います。抗菌薬の枯渇はもうそこまで来ており、その危険を知らせる機能が極端に不足しているからです。

(写真はFETP修行中の、バリバリ臨床医たちと。彼ら曰く「疫学をやると、臨床の重要さが明確になる・・」)
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