感染症診療の原則

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「半径1メートルの正義」 と 感染症

2010-12-10 | Aoki Office
威勢のいい人がいます。正論を述べる人がいます。
その時点での理屈としては正しいのかもしれませんが。「それだけ」です。
それで問題ということではありません。悪いことでもないです。でもそれだけです。

半径1メートル圏内はたいてい安全ですからね。

半径1メートルの外側には様々な障害や課題が待っています。やる義務はありません。
やっている人たちは自らやっているのです。その人たちを動かすものは何でしょう。

最近、報道番組で有名になっている(検索トレンド急上昇だそうです)ポリオの会があります。ここはご自分や家族がポリオを発症した人、その支援者が集まっている団体です。

この人たちが、「自分たちで患者を終わりにしてほしい」と、自分たち以外の、次世代の子どもたちを守ろうと活動をしています。

よく「自分たちに●●を提供しろ」というロビイング活動は巷によくありますが、
自分たち以外の人の利益のために、体調に問題を抱えている人たちが動くという構図をまずよく考えなくてはなりません。

こどもたちのために、より安全な不活化ワクチンを緊急輸入してほしいと署名を集めています。また専門的な立場から、現状は許しがたいとして、専門団体に働きかけてくださるドクターたちもいます。

「不活化ポリオワクチンの緊急輸入を民主党に陳情」11/25 ロハスメディカル
http://lohasmedical.jp/news/2010/11/25150817.php

陳情された議員のコメント:
「前の足立政務官の時代に不活化ワクチンを含め製薬メーカー側にも開発を要請していて、そして要請するだけでなく私たちも与党政府一体となって、今部会の中で、ワクチン8種類ぐらいだと思いますが、研究をさせるための検討会を行っているんですよね。ポリオの不活化ワクチンについては来年の終わりぐらいには何とか薬事の承認というように聞いてますが、それまでの期間はあるわけですね。今、緊急性をおっしゃったわけですから、その間、輸入のものをですね、まさに承認に時間がかかると言えども、ワクチンラグをどうやって解消するんだと取り組んでいる中で、何らかの形で、ここは海外で承認を受けているものであればね、少なくとも来年末までの間何とかできないかという風なことをですね、郡先生と一緒に相原先生と一緒に、私たち党から政府側に働きかけをしていきたいと思いますので、ぜひ一緒に取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います」

同じく、細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会も、子どもが発病した、その保護者らが中心となり、Hibワクチンや小児の肺炎球菌ワクチンを公費で、という活動をしています。

病気や障害を抱えた人やご家族がこんなに動いている中、政治や専門領域に責任をもつひとたちはいかほど機能をしているのか?

「不足」している、のではありません。そのような立場の人たちの無反応や軽視とうけとられるような状況じたいHarmなんじゃないか・・・と考える昨今です。
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3 コメント

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不活化ワクチンの承認 (luckdragon2009)
2010-12-10 14:16:05
私のところでも、少しだけ取り上げましたが、日本小児科学会の回答書をみる限り、日本ポリオ研究所が断念した、不活化ワクチンを臨床試験としては第三相まで進めてきている状況があるようです。
> https://docs.google.com/fileview?id=0B90cA0Pj8SDSMmMxMmYyODUtZmYyZS00NjYyLWEyMzktMjUyYTY1Mjg3YWRi&hl=ja

ただし、この件については、承認機関の PMDA で、迅速に認定されうるか、試験が順調に進捗できるか、が鍵のような気もします。

PMDA の認定が総てのボトルネックになっているのではないか、という懸念の意見も、twitter 上では述べられているようです。
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PMDA (編集部)
2010-12-12 21:46:51
いろいろ意見が出ていますね。
国民にもわかりやすい形でプロセスや現状が伝わっていくとよいですね。
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単味のIPV (こやま)
2010-12-13 01:58:29
今の4種国産計画には単味のIPVは欠落です。生ワク在庫一掃まで生ワク接種を続けようというのだろうか。4種混合、ということは、不活化ポリオになるのではなく、生ワクを使うという宣言ではないだろうか。ポリオ患者年に数人は受忍限度といえる人は、自分が発症確率100%に直面した時、なんというだろう。
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