感染症診療の原則

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ペニシリンGは凄い

2007-01-28 | 青木語録
この写真、両方とも髄液です。喀痰ではありません。駒込病院シニアレジデントのT先生が受け持った市中感染の肺炎球菌による髄膜炎の検体です。凄い膿性で、これがルンバール針から出てきた時には驚いたそうです。肺炎球菌が感受性とわかりペニシリンが投与され、数日後には透明で綺麗な髄液になりました。「ペニシリンって本当に強力ですね!」とは受け持ちのT先生の言葉。

スペクトラムの狭い抗菌薬は「弱い」という幻想を持たせないのが自分の教育方針ですが、その教育目的にBestな方法は研修医達にペニシリンGで肺炎球菌感染症を治療して貰う事です。感受性菌に対しては、Narrowest spectrumのペニシリンもBroadest spectrumの○○ペネムも同じ強力さなのです。

更にペニシリンGを使用する時には、そのスペクトラムの狭さ故に「自分がCoverしている菌と、していない菌」を意識する事を強いられて、これも重要な経験です。

CRPや熱が高いから、自分が治療している菌の固有名詞も想定せずにBroadな抗菌薬を漠然と使う経験しか無い医師には見る事の出来ない地平が広がります。
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