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抗菌薬による脳症

2016-09-24 | 青木語録
あなたの処方する抗菌薬で脳症が・・?

比較的Shockingなタイトルで以下の論文がCID(本年 7月15日号)のIn The Literatureで紹介されております。
Neurology. 2016 Sep 13;87(11):1188-9.
Antibiotic-associated encephalopathy.
Stip E, Darby RR, Bhattacharyya S, Berkowitz A3.
PMID: 27621383


391例の脳症が54の抗菌薬により起きている(可能性)。
勿論、感染症が酷ければ誰でも「脳症」ぽくはなるので「Naranjo:AdverseDrugReactionProbabilityScore/有害事象因果関係判定スケール」による因果関係Scoreは「4」ですが、明らかに中枢神経感染症を除外できた症例で検討すれば「5」点であり、ProbableAssociationという事になります。

特に基礎に腎機能障害がある例が全体の1/4に見られました。

著者らは3つの型(Type)に分けております。

Type1:
・ペニシリンやセファロスポリンに多い。特にセファロスポリンは腎障害例で
・発症は抗菌薬開始後Days
・ミオクローヌス、痙攣が多い
・脳波異常
・MRI正常
・抗菌薬中止でDaysで改善

Type2:
・キノロン、サルファ剤、マクロライド、プロカイン ペニシリン(プロカインが怪しい)
・発症は抗菌薬開始後Days
・妄想・幻覚が多く、痙攣は稀
・脳波正常
・MRI正常
・抗菌薬中止でDaysで改善

Type3:
・メトロニダゾール
・発症は抗菌薬開始後Weeks
・小脳症状多い
・痙攣まれ
・脳波は非特異的
・MRIは常に異常(脳梁と小脳核)



INHイソニアジド:
上記のどのTypeにも合わないが、過剰投与で、開始後Weeksで精神症状、まれに痙攣、非特異的脳波が出現

タイトル写真:
・抗菌薬は投与量は間違えるなら「多すぎ」に間違えるように・・と指導中。(一部、反省)

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