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南相馬のこどもたち

2011-06-01 | 非・悲・否・避「常識」
ふだん忙しくて国会中継など見ない皆さん。
ハイライトだけでもみてみませんか?

ここのところ、国会議員が震災後の国民の生活や経済について話し合っています。
野次が飛んだり、総理がおろおろしたり、この国の先を考える上で眩暈のするようなやりとりもあるのですが、時に真剣に切り込む議員もいます。

昨日の衆議院で田中康夫議員が南相馬市の医療や教育の窮状を訴え、枝野長官に挑んでいます。

まず南相馬市の位置をご確認ください。


南相馬市は大熊町や双葉町と異なり、原発関連のお金をもらっていない、自主自立の自治体。
ここが今、原発のためにどんな目にあっているのか。

MRIC Vol.175 「切迫する南相馬市の医療」 5月27日

ここで指摘された問題を田中議員が国会で指摘しています。

ニコニコ(16分) 田中康夫「南相馬市民は棄民状態」H230531衆院特別委

「230床あるのに5床しか県は使わせていない。しかも72時間以内に限定している。ここの病院には脳外科医も外科医もいます。生活している人たちがいる(怒)」


南相馬市立病院の外科の先生が、MRICでレポートをしてくださっています。
外科の先生が教育の心配までしているときに、本来支援すべき機関は何をやっているのか?ということです。

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「切迫する南相馬市の教育」
南相馬市立総合病院 外科  根本 剛

2011年6月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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南相馬市教育委員会教育長 青木紀男さんに南相馬市の小中学校の状況について聞いた。

1. 南相馬市 小学生 約4000人、そのうちの30%が南相馬市にいる。
中学生 約2000人、そのうち43%が南相馬市にいる。
小学生、中学生約計6000人の内2000人が南相馬市にいる。
そのうち70%が緊急時避難準備区域内にある原町区にいる。
本来なら子供たちは緊急時避難準備区域外にいなければならない。
しかし、諸事情でどうしても緊急時避難準備区域に住んでいる子供たちがいる。

2. 子供たちは義務教育の対象なので教育を受ける権利がある。
スクールバスを調達し、緊急時避難準備区域の児童生徒たちは緊急時避難準備区域外の鹿島区で授業を受けている。
スクールバス計20台。そのうち2台は南相馬市の北にある相馬市からの子供を乗せている。(相馬市に避難している子供たちもいる。) その他は南相馬市から。

7時前にバスに乗って8時からの授業を受け、13時にバスに乗って帰る班、
8時前にバスに乗って9時からの授業を受け、14時にバスに乗って帰る班がある。

3. 現在、授業は学校、その他の体育館、学校内の特別教室で行われている。
10月までに2つの小学校、1つの中学校のプレハブ校舎を建築する予定。
建てる場所は鹿島の学校の校庭。プレハブは2階建てになる。

4. 津波によって、南相馬市の児童生徒のうち15人が死亡、4人が行方不明。
南相馬市22校のうち1校が津波の直接の被害があった。地震時の適切な避難誘導により、その学校では津波に巻き込まれた児童はいなかった。
現在、児童・生徒の中には海に行けない、津波を怖がるなどPTSDの症状をみせる子もいる。担任や臨床心理士などが対応している。

5. 下水処理施設が津波により壊れたため、仮設トイレの汚物が処理できなかったが、最近、処理場がつくられ解決される。

6. 岡山県から大量の移動黒板、書庫棚、図書、教材が送られてきた。
岡山県に感謝していると。(岡山県以外の支援もあった)

○問題となっている事項
1. 学校給食
元々、鹿島区には小中併せて4校のみであった。その4校に対し給食をつくっていた給食センターがある。現在、その給食センターで上記の児童生徒に給食をつくっている。

しかし、現在の児童生徒の数に対応できる調理スペース、人員がなく、また、調達物資もない。(給食の一例としてパン・牛乳・おかず一品)このため児童生徒に十分な栄養となる給食が出すことができない。教育委員会としては対策を講じようと思っているが…

2. 夏場の暑さ対策
エアコンの購入を検討しているが、十分な数を確保できない。

3. 現在、医療を平常通り受けられる状態でないので、病気を持っている子が悪化するのではないかと不安である。

4. 児童生徒に放射能障害が起こるのではと不安である。

5. 児童が遊ぶところの放射線量がはっきりしていない。
どこで遊ばせていいかわからない。 遊ばせると、放射能障害が起こるのではと不安である。

○教育長の望んでいること
1. 子供たちが早く元気を取り戻してほしい。

2. 緊急時避難準備区域・計画的避難区域・避難区域が解除され、早く、南相馬市での通常の学校生活にもどってほしい。

MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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