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ICAACOnline 大腸菌の話し

2014-02-19 | Aoki Office
本日のICAACOnlineは大腸菌の話しです。

演者はJames R. Johnson先生。ミネソタ大学のVA所属の先生です。(STDで有名なWalter Stamm先生の弟子らしい)

#1:Three "Families" of E.coli
1) Commensal E.coli
2) Diarrheagenic E.coli(EHEC, EPEC, EIEC, DAEC, EPEC)
3) Extraintestinal pathogenic E.coli (ExPEC)
UTI
Sepsis
Neonatal meningitis
Intra-abdominal infections
Peumonia
Osteomyelitis
Wound ID
Miscellaneous

Three FamiliesのGenomic Overlap↓
この3種類のE.coliは完全に独立した存在ではなく、かなり遺伝子を共有している。↓


#2:大腸菌の病原性とその遺伝子
Phylogenetic distribution↓

Group B2が主な病原性の株(基本的には凶暴で感受性が特徴)
色の付いた点が病原性の遺伝子
黒い横線は人間に感染症を起こした株
>>感染症を起こしてない株にも病原性を発揮しうる遺伝子は存在する。(ある時点で病原性が表現されてないだけ)

#3:凶暴なExPEC株と判断する方法
どのようにしてExtraintestinal pathogenic E.coli (ExPEC)と決定可能か?
病原性のGeneの数など

#4:大腸菌の隠れ家:
1)新しい隠れ家:
いままでは外陰部、膣などが考えられていたが、膀胱上皮内が新しい隠れ家と考えられている。ここで大腸菌がCommunity(Intracellular Bacterial Communities within Bladder Epithelium)を作っている!↓

Barber AE, Norton JP, Spivak AM, Mulvey MA.
Urinary tract infections: current and emerging management strategies.
Clin Infect Dis. 2013 Sep;57(5):719-24.
PMID: 23645845

2)今までどおりの隠れ家も:
勿論、今までどおり外陰部や尿道口付近も重要な隠れ家である。
UTIが起きる直前には、これらの隠れ家の菌量が増大している。↓


#5:耐性
本来E.coliはAmpicillin, Trim/Sulfa, FQ, Cephalosporins, Carbapenemsに感受性。
しかし耐性は皆が大好きなカルバペネムさえ怪しい感じにしている。
話題になった株はST131(O25:H4)でCTX-M-15という酵素で耐性化。しかも驚いた事に、このST131株はPhylogeneticにはB2に属すので「凶暴だが感受性」が特徴であった筈。しかし、病原性は変わらず耐性になった、すなわち「凶暴で耐性」になった。スライドはST131株がFQなどに耐性化していく様子

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