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日本における肝炎・HIV対策とHTLV-1対策の格差

2010-03-13 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
西日本新聞が特集・連載をしているHTLVですが、エイズや肝炎対策との差が大きいなと感じます。肝炎やエイズのような対策が整うためには、議員や担当の部署で意識化が進まないと難しいとおもいますので、強いバックアップになっていくよう期待しています。

1981年以降 大問題となったHIVは、米国はじめ各国で特別な予算がついて、15年後には有効な治療法が確立(ワクチンはできていませんが)。 国内で体制が整った背景には薬害問題があり、また世界全体の動きの影響があったとおもいます。現在、1日1回の治療、身体障害者の認定を受け、自立支援医療も活用できます。 

肝炎基本法も薬害の影響が大きいです。(ワクチンは存在しますが、国全体の予防として位置づけられていません)

米国やヨーロッパなどで流行していない=研究や言語化・啓発の後押し情報がない、ということも関連しているようにおもいます。日本で独自に対策をいそがないといけない状況があります。

活動をされている方のブログ「ももさんのぎをいわせて」
研修医時代の経験を紹介されている、小児科ドクターのブログ

国内ではHIVよりも感染者は多いと思われるのに、注目されたり予算がついていない状況があります。患者・支援団体と研究者らの尽力でやっと難病になったばかりです。
研究のための予算も不足しているなか、献身的な研究や活動が続けられています。

■九州の54市町 全国比2倍超 03―07年の白血病死亡率 ATL多発 要因か 本紙集計 感染予防 地域で格差(西日本新聞 2010年3月10日)

2003―07年の白血病による死亡率について、九州では全国平均の2倍以上の自治体が全241市町村のうち54市町に上り、16市町は6―3倍に達していたことが、西日本新聞の集計で分かった。高死亡率の自治体は離島や沿岸部に多い。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/feature/article4/20100309/20100309_0003.shtml

■肝炎並みの対策急げ(西日本新聞2010年3月11日)

1990年度に旧厚生省研究班が「全国一律の検査や対策は不要」と提言し、国は対策を放置してきた。あまりに重大な判断ミスだった。「発症率は低いから感染者だと知らない方が幸せ」という研究者がいたそうだが、勝手に決めないでほしい。感染が分かれば、生き方も変わる。国には国民の健康を守る義務があり、国民には知る権利がある。
 厚生労働省は「ATLは風土病」「寝た子を起こすな」との意識がすごく強い。対策を要望すると担当部署がなく、たらい回しにされたりした。それでも粘り強く交渉し、08年にHAMが国の難病研究の対象になり、20年ぶりのHTLV1感染実態調査や対策の有識者会議も実現した。ただ、エイズや肝炎と比べ対策予算はほとんどない。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/feature/article4/20100311/20100311_0001.shtml
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