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「コルシカ島への旅」 (10)断崖絶壁の上に建つ中世の街 ボニファシオ

2017-07-08 14:47:15 | 旅行記

コルシカ最南端の都市ボニファシオは人口2658人(1999年)、イタリア・サルデーニヤ島とボニファシオ海峡を挟んで向かい合っており、その距離わずか10マイル。 島の観光はヨットで海側から観るのが最高で、激しく浸食された断崖絶壁の上には16世紀の建物が建ち並び、世界遺産に指定されている。 海にせり出すように断崖の縁に建つアパートの住民は、毎日60m下の足元を眺めながら何を考えるのだろう?。 港はフィヨルドに似た渓谷の湾内にあり、大型のクルーズ船などは接岸できず、観光客はテンダーボートに乗り換えて上陸する。 

ヨットハーバーは小型から中型の船舶で満杯だったが、半年前に予約を入れた我々のヨットは、海岸通りの繁華街に面した岸壁の一等地に係留することができた。 すべての船が船尾を道路側に向け、折り畳み式のデッキで乗り降りする。
コルシカ島には6月~9月の4か月間に世界各国からおよそ2百万人の観光客が訪れ、そのほとんどがボニファシオに立ち寄るが、土産物店と飲食店が並ぶ混雑した中を歩いてみて、日本人にはたったの一人も出会わなかった。 ところが日本人の経営する寿司バーが1件あり、覗いてみた。

「後の半年は寝て暮らす」という唄があるが、ここの店主は1年の3分の1はここで店を張ってしっかり稼ぎ、残りの日々はパリ郊外の邸宅で優雅に過ごしているらしい。 ちなみにお値段は並みの握りずしが2個で800円也。 今夜のディナーはエミちゃんのおすすめで海鮮料理レストランに行ったが、「一元客相手の商売」を客として体験することができ勉強になった。 料理をオーダーすると愛想のいいおっちゃんが、大きなロブスター、舌平目、イチョウ蟹、などを、生きたまま披露し、やがて料理されて運ばれてくるのは冷凍の別もので、おっちゃんの姿はない。

延々と続く夜の海岸通りで最高の見ものは、世界中から集まるオーダーメイドの豪華ヨットやクルーザーで、100フィートを超えるクラスになると、ゲスト10人に対して15人のクルーがお揃いのポロシャツと短パンで対応する。
このクラスになると週単位のチャーター料が2000万円程度で、スイート並みの船室に宿泊しながら地中海の島々や、コートダジュールの港を巡る。 どの船も見られることを意識してか、照明やBGMでゲストルームの雰囲気を盛り上げ、多くの観光客を楽しませてくれる。

ヨットに戻り、我々もダイニングから道行く人を眺めながら、フルーツをつまみにシャンパンを飲みジャズのスタンダードを聞く。 外から写真を撮るべく船を降り何気なく海中を見ると、船底のライトに無数の魚が群がって浮遊物をついばんでいる。 クルーのアンソファを呼んで聞くと、魚はボラの一種で地中海の港に多く生息しており、その名前は「ミューレ」これを食べる人はいないが、海の掃除やと呼ばれるらしい。 乗船地アジャクシオで、なぜ海水の透明度が高いのか疑問だったが、やっと謎は解けた。 ボラを「からすみ」だけにしておくのはもったいないと思った。








                                                 

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