COCKPIT-19

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ドレスアップ&ドレスダウン

2009-12-31 14:40:47 | アート・文化

闘病記の中で、 「同じところに毎日行くのは、辛いもんだ」と告白した。 前立腺がんの放射線治療は40日間の通院を要する。1日2グレイの線量を40回、計80グレイを照射してがん組織を壊滅させる。 治療現場は男性だけだからいいが、別室の受付に居る若い女性は、患者の服装に興味があるらしく、初日からさりげなくコメントしてくる。「白のパンツとシャツ、それにピンクのジャケット、いいですよ。」とか言って足元をチラリと見る。 10年近いホルモン注射で「下心」の方はすっかり退化しているが、病人らしく見られたくないので、少々カジュラルっぽくしてったのがいけなかったようだ。それからとゆうものは意識してしまってもう地獄、数少ない洋服をやりくりしながら、何とかボロを出さずに切り抜けた。

そのとき助けてもらったのがユニクロだ。カラーが豊富で素材も悪くない。しかし上から下までオールユニクロではいささか気が引けるので、1点だけ外してバランスをとった。 われわれの年代はスーツを着ると何とかサマになるが、カジュアルに弱い。しかしユニクロの売り場だと店員のアドヴァイスをうけながら、パンツは細めのものをヒップではいて、フード付きの革ジャンの下に赤いタートルネックのインナーでコーディネートできる。お値段は〆て12000円といったところ、裾上げが待ってるうちに出来るのが有難い。

海外のパーテーなどでは、ブラックタイ着用とかセミカジュアルまでとか、ドレスアップのコードを明示することが少なくない。でも本当に難しいのは、ドレスダウンで招かれるパーテーだと、亡くなった安井かずみさんが言ってた。 あなたはどちらが苦手ですか?


体内時計

2009-12-30 17:19:22 | 健康・病気

カッコいい制服制帽に身を包み、世界を飛び回る国際線パイロット。 しかし今では給料も下がり、ハイヤーでの送り迎えも無くなり、一緒に働くスチュアーデスの平均年齢もアップ、加えてリタイア後早死にする人が多いとなれば、お気の毒 もはや憧れの職業ではなくなりつつある。

週の初め、隣り合わせた顔なじみのイギリス人英語教師が、かなり萎れている。「彼女にでも振られたんですか」と聞くと、「いつもの月曜病です」。

今では耳にしなくなったが,「休み明けに作ったクルマは買うな」 そんなジンクスがアメリカでよく聞かれた。理由は従業員の体調が悪く、ポカミスが多いからだそうだ。

月曜病は言うに及ばず、早死にの原因も「体内時計の狂い」が、癌発生のメカニズムに深く関わっている事がはっきりしてきた。睡眠だけでなく、食事時間も体内時計に組み込まれている。腹時計は理にかなっており、できる限り3食決まった時間に食べることが、健康管理上望ましい。私は自分の経験を通して、「癌が治りやすい体質作りに、規則正しい生活習慣が不可欠」であることを痛感した。同時にそれは「癌になりにくい体質作り」にもつながる。

とは言え、現代社会はグローバル化、情報化が進み、個人の体内時計を優先できなくなってきている。そう考えると、これから人類の寿命は短縮への道を歩むことになるのだろうか?それとも科学はこれを克服できるのだろうか。

        


されど老人力

2009-12-29 06:41:37 | 映画

毎月最終月曜日、日経新聞で愉しみにしているコラム 「リーガル映画館」がある。28日今回は弁護士の中島茂氏が、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」を取り上げた。

私もこの映画を4回観た。アル・パチーノ演ずる全盲の退役軍人フランクが、学友の犯した校長への悪戯を目撃してしまった名門校の苦学生が、証言を拒んだために校長の怒りをかい、退学させるべく開かれた委員会で彼を弁護するスピーチを打つのだが、この場面が秀逸で何度観ても感動する。 「チャーリーが沈黙するのが正しいのか私には判らない、だが彼は自分の利益のために友を売らなかった。人間の持つ高潔さであり指導者が持つべき勇気だ。私は岐路に立ったとき誤った選択をしてきた。チャーリーは困難だが正しい選択をした。指導者を育てる学校なら、彼をつぶさず守ってやってくれ」 割れるよな拍手の中で、委員会はチャーリーを解放する決議を下す。

もうひとつ素晴らしい場面があった。 フランクがチャーリーを連れて高級レストランに行く。そこで恋人を待つ若い女性をフランクがダンスに誘う。たぶんワルツだったと思うが、めくらの彼がチャーリーからフロアーの間隔を聞いて頭に記憶し、彼女と踊る。流れるように。

中島氏は言う。今我が国では「中高齢者の活用」と「若者の無気力」が課題になっている。ベテランを単に「労働力」とみなすのではなく次世代を育てるために、経験に裏付けされた価値観、正義感を伝える「伝承者」と扱うことが、問題解決の糸口になるのではないか。

映画も本もリピートしたくなるものは良い作品だと思う。だとするとこの映画も秀作に分類してもいいかもしれない。


キムチ鍋の反響

2009-12-28 06:41:11 | 食・レシピ

著書を出して最初の反響は、当然病気に関するものだろと身構えていたが、意外や意外我が家の「キムチ鍋レシピ」に関するものだった。

仙台の病院での手術を終えて,一週間ぶりに帰宅した最初の夕餉に私が何を食べ、何を飲んだか?多少なりとも食とお酒に関心のある読者であれば知りたい筈だし、それに応えなければければならない。そんなサービス精神で我が家の定番メニューであるキムチ鍋を紹介し、この料理で合う酒は麦酒のみ、デザートに自家製干し柿の白ワイン漬をたべた。などとさして価値のあるものとは思えないことを書き記した。

ところが毎年ボジョレーヌーボーを送っている女の子から、さっそく今夜このレシピでキムチ鍋を食べることに決めた、有難う。と礼状が届くし、主治医の白岩先生からは、「東北大学の荒井教授とお会いしたら、これまでに食べたキムチ鍋の中で最高だったし、ニラを入れたおじやがまた旨かった。と褒めておられたよ」とご報告を頂いた。このほかキムチは何処のものか?牡蠣が手に入らない夏場は何で代用すればいいか?などの問い合わせも多く寄せられた。

美味しく作るポイントは2つ。多少酸っぱくなったキムチを使うこと、我が家は在日ノースコリアン系の店から仕入れるが、もし酸っぱいのが入手できないときは、自宅で冷蔵庫に入れずに発酵させる。もう1つのポイントはキムチを炒めること、このとき換気扇を必ず廻すことをお忘れなく。

冬場の鍋料理は身も心も温まると好評だが、塩分を取りすぎるのが難点。しかしキムチ鍋は発酵食品なので、酸味の強いものを使うとかなり減塩しても味を損なわないのが利点。この正月中安い、早い、美味い、3拍子揃ったキムチ鍋でぜひ親しい人を招いてみたら如何でしょうか。