COCKPIT-19

へようこそ!

「顔のシミ」が気になりませんか?

2021-03-31 13:28:09 | 日記・エッセイ・コラム
35年近くも昔になるが、40歳台の終わりに僕は東京にある大学病院系列の皮膚科クリニックに、シミ取りのため毎月1回・半年間通院したことがある。 ここを紹介してくれたのは、僕のブログに何度か登場したことのある軽井沢の友人故・石原君で、彼はここの卒業生。 クリニックの売りはレーザー治療の先進国イスラエルの最新装置と、院長以下スタッフはすべて女性で運営されていること。 当時の患者は大半が女性で、男性客は気恥しい存在だったことを思い出す。 長期間それなりに高い費用をかけたが、結果は期待を裏切ることなくシミは姿を消し、若々しい皮膚が再現した。 

しかし、これも永遠に姿を消したわけではなく,永い時を経てシミは再び蘇り、何とかせねばと考えていたがこの1月、ネット上にしつこく広告を出している上場会社の塗り薬を取り寄せてみた。 商品が届いてまず驚いたのは、豪華なブルーのチューブに入った中身のあまりに少ないことで、それが初回には5700円。 僕のシミは小さいのでしばらく使えると思っていると、翌月2回目が届き4700円。 ここまでは仕方がないかと支払いを済ませたが、3月に入ると3回目が届き、やっと定期購入をさせられていたことに気ずいた。 すぐに料金元払いの電話を入れ返品を要求すると、やんわり拒否され、やり方があまりにせこいので支払いの留保と、以後商品を送らないよう申し入れた。

実は僕より早く同じ経験をした被害者がいた。 僕の近所に住むAさんで、3か月使ってまったく効果がなく、最後に届いた商品を運賃先払いで送り返したという。 かねがね慎重な人だったが、やはり上場会社で経団連のメンバーという触れ込みに騙されたという。 3月27日の日経新聞を見ると、消費者をこうした不利な決定に誘導する表記やサイト設計を「ダークパターン」という。 10年前にこの新語を作ったのは、英国の著名なウエブデザイナー、ハリー・ブリヌル氏。 ダークパターンの認知度を高めるため専用のサイトを立ち上げ、企業と消費者にその危険性を訴え、その後世界中で規制強化が進んでいるという。 

この塗り薬にはその成分や、それがシミに対してどう作用するのか、などの詳しい説明は一切ない。 しかし30秒ほど指のひらで薬を塗りこんでいると、ざらざらした感触が生じてくることがわかった。  ボロボロ出てくるのが老廃物で、やがて白い皮膚に代わってくると解説しているが、ざらざらするのは、どうも塗り薬が研磨剤に変化し、皮膚をそぎ取っているような気がしてならない。 もしそうだとしたら予後が怖いので急ぎ使用を停止することにした。 それにしてもこうしたビジネスが生まれる背景には、クリニックでの治療費があまりに高額であることも起因してるのではないだろうか?。 

皮膚科に表示されている料金表に、自分のシミの数とサイズを掛け合わせてみると、ざっと30万円 は下らない。 シミ取りは必ずしも医療行為とはみなされないのか、「準市場」の対象ではないので国が価格を決めるわけではなく、もちろん保険対象にもなっていない。 ならば市場原理が働き、もっと安くもいいように思うのだが・・。  話しは変わるが、かって高齢ドライバーの免許返納を促進するための方策として、返納すれば「火葬場の費用が割引される」という噂が、広まったことがあった。 これに関連するアイデアだが、割引対象として「シミ取り費用への補助金支給」などを検討しては如何だろう?。 高齢化が進む中で、年寄りが若返って元気になれば、医療費や介護費用も削減できそう気がするからだ。








 

 
 










「強制徴収」で10兆円超の新市場を生み出した「介護保険」

2021-03-01 13:31:31 | 健康・病気
「介護保険がスタートして20年、現場の経験値は確実に蓄積されました・・・日本の介護保険は、制度も、担い手も、ケアの質も、諸外国の福祉先進国に比べても、決して見劣りしません。 最近わたしは、海外在住の日本人に、老後を過ごすなら日本が良いかもよ、と勧めているくらいです」。「在宅ひとり死のススメ」の著者で、自身も一人暮らしの上野千鶴子氏はこう語っている。 介護保険の創設にあたって、税か保険か?の大論争があったようだが、実際にまとまったのは税と保険の折衷方式。 介護保険財政は2分の1が保険料、残り2分の1が税金、その半分つまり4分の1が国費、残り4分の1が都道府県と市町村とが折半することで決着した。

介護保険財政の2分の1を負担する保険料は、2000年4月から40歳以上のすべての人に支払い義務が発生し、強制的に預金か年金から天引きされている。しかし僕は82歳のこれまで、介護保険制度を一度も利用したことがなく、ひたすら保険料を年金から天引きされる。 またこの制度の収支は黒字で、要介護認定を受けた老人が利用料の上限まで使ってないことがわかる。 初年度4兆円規模の「準市場」を創りだしたこの制度は、高齢化によって年々需要が拡大し、2019年に11兆円規模にまで達している。 当然新規参入も増えているが、事業者にとっての大きな魅力は「準市場」であること。 これは政府が公定価格で管理する市場で、電気・水道・医療・介護サービスなどは生存に欠かせないので、市場原理に委ねてはならないというのがその理由。

それにしても日本経済が不況のさなか、大規模で強引な法案がよくぞ成立したものだと、いまさらながら感心する。 ところで介護サービスは、在宅サービスと、施設サービスに分類されるが、現在利用者が急増してるのは、送迎付きで一日を施設で過ごす「デイサービス」。 かっては送迎車が家の前に停車すると世間体を気にする家族から、「離れたところに車を止めてほしい」などと言われたらしいが、今やそんな雰囲気は全く残っていない。 現在、我が家の向かい2軒と、隣の1軒、計3人ががこのサービスを受けているが、実は半年前から僕の女房も加わり、4人となった。 女房の場合、物忘れが徐々に進み、主治医とも相談してケア・マネージャーの面接を受けた結果、もっとも初期の「要介護1」と認定された。 

デイケアは週2回のコースを選択したが、朝9時に迎えの車が来て、施設では入浴・学習・昼食・体操・マッサージなどのメニユーをこなして、午後4時半ごろには帰宅する。 この施設を利用して良かったと思うのは、毎日家に居て外部との接触が乏しかった生活から、多くの利用者や職員との交流・会話を通じて親しいお仲間もできたこと。 こうした環境変化は、気分転換や脳の活性化に効果が上がっているように感じるし、当人の満足度も低くないので、選択は間違ってなかった思っている。 ところで前述の「準市場」扱いで価格競争のない、恵まれた介護サービス業界だが、何をもって同業他社との差別化を図るかが、これからの大きな経営課題ではないかと推測する。

2918年の日本人の死因は、1位ガン・2位心臓血管疾患・3位老衰・4位脳血管疾患で、ほとんどが加齢に伴う治らない・治せない慢性疾患で、老衰は病名でなく「死因がわからない」ということ。 日本の超高齢社会は慢性病を抱えながらも、なかなか死ねなくなった長寿化が原因。 今や90歳を超えて生きる確率は男性が4人に1人、女性が2人に1人。 2025年問題の一つは、団塊世代がすべて後期高齢者になることに加え、「認知症700万人」の到来で5人に1人が認知症になるということ。「老いは誰にも避けられないとすれば、要介護になっても安心できる社会、安心して認知症になれる社会をつくること」、とおしゃるのは上野千鶴子氏。