COCKPIT-19

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下水道の歴史と、文化果つる処

2010-05-25 04:01:11 | 社会・経済

世界で最も古い下水道は、今から約4000年ほど前に古代インドの都市 「モヘンジョ・ダロ」(インダス文明最大級の都市遺跡、ユネスコ世界遺産に登録されている) で造られている。 ここの下水道はレンガでできており、各戸の汚水を集めて川に流す役目をしていた。 その後地中海沿岸の都市や、古代エジプト、古代ローマなどで、下水道が造られる。

中世に入るとヨーロッパでは、都市人口の増加に伴い、汚物が道路に投棄されるようになり、都市の衛生状態は極度に悪化した。 ペスト等の伝染病も流行したが、下水道施設の本格的整備には至っていない。 産業革命後さらに都市の集中化が進むと、深刻な不衛生状態となり、1370年ようやくパリに下水道が出来る。

下水道施設を、本格的に推し進めるきっかけとなったのは、19世紀ヨーロッパ各地で大流行した伝染病のコレラ。 ハンブルグ(ドイツ)、シカゴ(アメリカ)、ロンドン(イギリス) などで次々と下水道が完成した。 しかしその頃の汚水は全て川への放流、1914年になって微生物を利用した下水処理法が開発され、ロンドンに最初の処理場が完成する。

当時の下水道を改めて紹介したのは、イギリス映画 「第三の男」。 この下水道はオーストリア・ウイーンの森から流れ出るウイーン川を、ハプスブルグ家統治時代の1900年代初めに、深く掘り込み、さらに下流の旧市街地に近ずく付近は蓋がかぶせられた。 すっかり有名になったウイーンの下水道は、いまや市内観光の目玉として、多くの人が訪れる。

諸外国の下水道の普及率は、イギリス96%、スウェーデン93%、ドイツ92%、カナダ91%、アメリカ71%で、日本は65%。 イギリスはここまで進めるのに150年かかっており、日本はまだ数10年とはいえ、かなりのスローペース。 私の住む地域などは、いまだに普及率ゼロを誇る。 まさに 「文化果つる処」。


赤字空港の再生策

2010-04-14 05:50:35 | 社会・経済

昨日の朝のニュースで、関西空港と大阪空港を管理する国交省の成長戦略会議が、1兆円の負債を抱える 「関西空港」と、今後の運営方針の決まらない 「大阪空港」の2空港を、一体運営化する案をまとめ、その運営を民間企業に任せる方針と報じた。 

スキームとしては、運営企業に対し事実上無料で国が営業権を譲渡し、施設は賃貸して償却していくことになるのだろうが、 使用料の算出については、そもそも当初の需要予測を捏造し、過大投資をしているから、投資に見合った賃料を取るのは無理。 従って公的資金による資産の損切りをしなければなるまいし、累積債務と合わせると大きな損出額となるが、ずるずる赤字の垂れ流しをせずに、思い切った決断をしたほうが結局は得。 これから全国の赤字空港で実施することになるリストラにも、一石を投ずることになりそう。

運営企業は入札で決められるだろうが、妥当な賃料で、天下りを排除し、民間の経営ノウハウを投入すれば、経営が軌道に乗る可能性は高いと思う。 大阪空港との、コラボレーションで、ぜひ競争力のある空港に変身して欲しい。 そもそも私の持論としては、航空管制業務と、CIQ を除いた全ての業務は原則民営化した方が、サービスも良くなるし、コストも下がると考えている。  それと合わせて、国の方も、韓国のように 「航空を戦略産業と位置ずけ」、国際競争力の強化に取り組むべきだ。

私の住まいの近くにあり1993年に開港した福島空港は、当初「日本一官僚的な空港」として、GAパイロットから最も低く評価され、有名になった。 数年後に滑走路が2500mに延長され、空港ビルや駐車場も拡張されたが、当初予測の80万人をはるかに下回り、日航は2009年1月に撤退し、県もさまざまな助成をしているものの、赤字に悩むリストラ対象の空港。 

人口30万の郡山市から、車で30分の距離にあり、滑走路付きの巨大な施設を、何か有効に活用できないか、 世界中から再生計画を募集し、採用されたものには、相応の成功報酬を出すとしたらどうだろう? そうなれば私も暖めてるプランで応募したいと思っている。 

 

  


現代版、「日高パーティー」構想

2010-04-02 04:50:58 | 社会・経済

「ああ 日本のどこかに 私を待ってる人が居る」 谷村新司の作詞・作曲で1978年にリリースされた 「いい日旅立ち 」 は、山口百恵24枚目のシングル、累計売り上げは100万枚を記録した。 結婚式や卒業式で歌われることも多いが、制作者の谷村は、「歌詞をよく見てください、この歌は祝いの席で歌うような、いい意味の歌ではありません。」 と言っている。 解釈はいろいろあるだろうが、「日本のどこかに、私を待ってる人が居る」 というフレーズから連想して私は、「なかなか縁がなくて、人生を共にできる人にめぐり逢うことのできない人」 の心情を歌った歌詞のように解釈している。

さまざまな理由で婚期を逸してしまった人は、われわれの身近に沢山居る。 そして40歳も半ばを過ぎると、親の介護などの問題を男女ともに抱えるようになり、いつの間にか結婚をあきらめるようになってしまう。 しかしこの年代から先の人生はまだ長い、本当に伴侶を必要と感ずるのは、老いの領域に入ってからだ。 朝晩、犬の運動で出会うシングルの老人たちと親しくなって、食事の内容などを聞くと、あまりのお粗末さに悲しくさえなる。 お金の問題ではない、調理にほとんど手をかけてないのだ、こんな食生活をしてたら、体にも良いはずもない。 しかし一人での食事はこうなってしまうのだ。

私の年代の人なら知ってるかと思うが、戦後 「日高パーテー」 なるお見合いの場があって、沢山のカップルが誕生した。 日高夫妻が独身の男女を自宅に招いて引き合わせ、互いの話を聞きながら仲人役を勤めたのだ。 また結婚後の面倒見が良く、離婚率が極めて低いことも話題になったし、お世話になったカップルが、いつの間にか夫妻の活動に加わって、沢山の情報が集まり、大きな成果をあげた。

いま、婚活ビジネスも盛況なようだが、こうした相手探しに馴染めない、違和感を感ずる人も多いはず。 そこで提唱したいのが、人生経験を積んだ老夫妻による奉仕活動、 「平成版、日高パーテー」 の再現だ。 若い人ばかりでなく、むしろ中年や老人まで枠を広げた活動に期待したい。 「いい日旅立ち」 を口ずさみながら、こうしたささやかな活動の輪を広げたいものだ。 そう言う自身も、近々実績を挙げるべく活動中。 

 


大人のいい男とは?

2010-03-23 04:09:03 | 社会・経済

働く独身女性が、結婚相手に求める条件は? アクサ生命が25歳~44歳の女性を対象にした、2010年の調査でこんな結果が出ている。 結婚相手に求める条件は、三つのK 1位) 価値観が合う(61.8%) 2位)金銭感覚の一致(27.0%) 3位)雇用形態の安定(26.3%)  次にバブル期のベスト3は今・・・高収入・9位(12.3%)、高学歴・19位(1.7%)、高身長・20位(1.5%)。 バブル期の「3高」はすっかり影をひそめ、男性に自分の人生を委ねるのではなく、結婚をもリスクとして捉え、リスクを最小にする傾向が鮮明に。

結婚相手の男性の、理想の年収は、平均で552.2万円。 この金額は、ビジネスマンの平均年収533万円と合致しており、働く独身女性の現実的な考え方の傾向が、ここからも良く分かる。 一方 「愛する人に求める年収は」 と聞くと、年収270.5万円との回答。 その差額281.7万円が いわば「愛の価格」。 また結婚で「莫大な資産」(33.5%)を手に入れるより、理想的な結婚(66.5%)を望んでいる。

結婚観を見ると、結婚だけが「女の幸せ」とは限らず(79.2%)、「自分のプライド」を捨ててまで結婚に逃げたり、すがり付きたくない(67.5%)。 「適齢期」は気にしておらず(63.0%)、自分にとって「最適な男性」と、まだ出逢ってないのかもしれない(53・7%) と考えている。 男性に金銭面では頼らず、そのための結婚は考えない、という働く女性の姿をみることができる。

「日本の働く女性は大人になった」 この調査レポートを見てまずそう感じた。 ここまで女性が成熟してくると、男性との落差が非常に心配。 電車の中で文庫本を読んでるのは女性で、漫画を見てるのは男性。 話題の封切映画を観に行くと、ほとんどが女性かカップル。 さらに評判のビストロでワインを開け、気の利いた会話でフレンチを食してるのは、女性たちが圧倒的に多い。 「同伴に耐え得る男性が見つからない」、「奢られても、つまらない男と食事したくない」、これが女性の弁。 いつの間にか男は、選ぶ側から、選ばれる側に回ってしまったようだ。

今は亡き作家の森瑤子さんが、こんなことを言っている。 「さて、どういう男が、いわゆる大人のいい男なのか? 質の良いユーモア精神の持ち主であること。これに尽きる。 初対面でも20分以上会話を持続させることができる人。 会話とお喋りとは違うし、ユーモアとだじゃれも、天と地ほども違うのだが、この区別のついていない男が、とても多い。」

 

  


待たれる、寄付の税制議論 (2)

2010-03-09 04:52:47 | 社会・経済

シアトル滞在中、ここに本部を置く、アメリカ西海岸最古の州立大学で、北西部最大の規模を誇る、ワシントン大学を、2度ほど訪問したことがある。 校舎や教室、その他の施設 いたるところに、マイクロソフト会長 ビル・ゲイツ氏 の名前が彫られた、さりげない金属板を目にする。 彼と彼の財団は、この大学にとって最大の支援者で、ネーム版の張られたところが、彼の寄付で作られた施設。 互いの結びつきは、父親がここの卒業生なのと、マイケルソフトの本社が同じ州のレドモンド市に在り、優秀な卒業生を、この大学から多く採用してるから。 因みにシアトルは彼の生誕地で、広大な住居が、郊外の湖畔に建つ。

「アメリカという国は、寄付の貰い方が上手い」 これが私の印象。 ビルゲイツならずとも、寄付したくなるような気分にさせるのが、分かるような気がする。 ここ数年のニュースでも、ビル・ゲイツ氏や投資家のウオーレン・バフェット氏が、数兆円規模のお金を寄付すると発表して、世界中を驚かせた。 アメリカでは南北戦争後から、富を蓄積した資産家達が私財を提供し、学校や美術館を作り、 またカーネギー、ロックフェラー、フオードなどの助成財団(ファンデーション)が、次々と設立された。 

またメトロポリタン美術館や、ハーバード大学も、NPO(特定非営利活動法人)によって運営されている。 そうした歴史的背景や、寄付文化が、富の偏在や収入格差に対する、大衆の不満を和らげる、いわば緩衝材になっているように思う。 年間所得が10万ドル(約1000万円)以上の人の9割が、NPOなどに寄付をしているアメリカ。 これに対し、我が国では年収5000万程度の人でも、約10%しかしてないのが現状。

金持ちから沢山の税金を納めてもらい、それを貧困所帯や福祉施設などに役立て、貧富の差を小さくする仕組みを、経済用語で 「所得の再配分」 という。 日本ではこの運用を、国が中心となって行ってきた。 つまりどこからお金を集め、どこに分け与えるか、そのほとんどすべてを、歴史的に国が決めてきた。 しかしアメリカの納税者は、すべてが国任せでは、納税の実感も喜びも湧かない。 せめて所得の一部だけでも、「使い道を自分で決めたい」 そうした思いの延長先に寄付行為があった。 つまり、国を経由する「間接納税」だけでなく、個人の意思や考えを活かせる 「直接納税」 への自由思想が、システムの根底にある。

団体や学校だけでなく、宗教や科学、絵画や音楽、さらには映画といった芸術分野まで幅広い寄付が認められているアメリカ。 賛否両論あるだろうが、まず議論してみてはどうだろうか?