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奈良山中、TBM-700機 空中分解事故の考察

2017-08-23 04:14:17 | 航空機
小型機パイロットの世界組織「AOPA―JAPAN」メンバーで、かってJAXAで宇宙飛行士のトレーナーを勤めた医師の嶋田和人氏が、標記の事故についてAOPAニュースに寄稿し、TBM-700の事故原因が空中分解であれば、パイロットの操作不能・操作の誤り・火災・煙が一番に考えられるとしながら、米国で公表されている同機の事故歴を紹介し、その中でとくに「低速での方位コントロールが難しい」ことに注目している。 スピードが遅くなると舵の効きが悪くなるのはこの機体に限ったことではないが、その兆候が著しいということだろう。

小型機パイロットの間で「いつかは・・・」と憧れるのが、昨年7月調布空港で民家に墜落したパイパーPA-46愛称「マリブ」だが、就航間もなく主翼破損で空中分解する事故が多発し、全機に運航停止命令が出ことを思い出す。 単発エンジンでも高高度巡航を可能にするため、グライダーのような高アスぺクト比の薄い翼を採用したことも危惧されたことの一因。 しかしその後の原因究明で、操作の誤りにより主翼に過大な負荷のかかったことが判明し、運航は再開されたが、小型機は性能が高まるほどパイロットに高い操縦レベルが求められることは確か。

事故機パイロットの田中氏は飛行歴40年のベテランと聞くが、TBM-700に関しては今年の6月米国から輸入し、日本での耐空証明などを取得したのは7月。 ジェット機と同じ機能を持つターボプロップ機で9000mの高空を550km/Hの巡航速度で飛ぶことのできる機体は、マリブと比べても次元が違う高性能機で、その特性を習得するにはかなりの完熟飛行が必要。 また2001年製造の機体で老朽化を心配する声も聞こえるが、飛行機のメンテナンスは航空法で厳しく管理され、経年機であっても就航時同様の性能と安全性が保障されている。

事故機は空中分解で機体が広く飛散してるため、調査は長期に及びその解明が困難視されているが、一方パイロットは八尾空港から福島空港に向けての離陸から15分後、管制に引き返す許可をリクエストしているが、その理由は報告してない。 その義務はないのだが仮に緊急事態であれば当然報告があるはずで、何もないということは差し迫った事態ではなかったと推察していい。 当然「事故調」は航空身体検査までさかのぼって健康状態をチェックするだろうが、この辺に原因究明の一つのカギがあるように思えてならない。

十数年前になるが、このフランス製高級小型機のコーパイ席に座って、調布から福島空港まで送ってもらったことがある。 マリブがベンツならこの機体はフェラリーと例える人もいるが、外観はマリブより一回り大きく中央に通路を設けて4席が向かい合って座るレイアウトもマリブと同じで、プライベート機の高級感を演出したところが通常の小型機と大きく異なるところ。 視界不良でILS(計器着陸システム)を使ってのランディングだったが、どっしりした重量感と際立った静寂さがが強く印象に残ったフライトだった。









  

 

野良猫「ミー」の、里親探しを手伝うの記(2)

2017-08-20 02:55:24 | 日記・エッセイ・コラム
Hさんと4匹の子猫をピックアップして向かったのは、東北関東にチェーン展開するスーパーマーケットの店舗。 若い男性店員に、子猫の里親探しに店舗の片隅でも貸してもらえまいか頼むと、店長を呼んできてくれた。 店長の返答は、食品衛生上動物の出入を禁止してるというもっともな理由でノー、しかし屋外に設置されてるATMの脇ならと了解を取り付けた。 男子社員に礼を言い、少しだが僕は古くからお宅の会社の株主なんだと余計なことを言って外に出た。 肌寒い日だったが生まれて初めて母親から引き離された子猫たちは、身を寄せ合って覗き込む人たちを不安げに見上げている。

猫ブームを反映してか欲しがってくれる客は多いのだが、それぞれに飼えない事情があるようで、ごめんなさいと言い残して去っていく。 昼近くになって足を止める客が増えだし、その中の一人がテナントで入居しているフアスト・フードの女性店長で、店内放送を聞いて見に来たという。 母ネコに似た一匹が気に入ったらしくHさんの携帯番号を控えていき、さらに温かいコーヒーを二つ差し入れてくれた。 こちらもお返しに昼食のハンバーガーを買い、男性店員にアナウンスメントのお礼と、おかげで一匹が決まりそうだと伝えて半日のセールス活動を終えた。

その日の夜遅く家族会議を終えたという店長がHさん宅を訪れ、「待ちきれなくて」と恐縮しながら引き取っていったそうだが、子猫の愛くるしい姿はそれほどに人を惹きつけるものらしい。 翌日はペットショップチェーンの店舗前で展示をさせてもらえまいかと頼んでみたが断られ、次に考えたのは「チラシ作戦」。 タブレットで3匹一緒の写真を撮り、パソコンとプリンターで「里親を探しています、生後40日の子猫です。下記の連絡先までお問合せください」とイラスト入りで作成し、Hさんに近くのドラッグストアやコンビニで配るよう指示した。

真っ先に反応があったのは僕がチラシを渡しておいた近所の女性で、知り合いのお年寄りがすぐに子猫を見たいとのことで僕の家に来ることになった。 午後にはHさんと3匹の子猫を呼び寄せお見合いをさせたところ、前にも猫を飼っていたというお婆ちゃんが、一目見るなり即決で2匹を貰ってくれ、僕と星さんにとスーパードライを2ケース届けてくれた。 さらにその翌日チラシを見た人から星さんに申し込みがあり、最後の里親も決まってチラシ作戦は想定外の短期間で終了することができた。 縁あって里親捜しに携わった一人として子猫たちの幸せを願っている次第。

後日談がある。 お盆前にHさんが中元の品をもって訪ねてきたが、その後彼に引き取られ飼い猫になったミーのお腹がまた大きくなり、最近出産したようだが確認できないという。 子猫を取り上げられ不信感を強くしたミーが、別なところで生んできたからだ。 そして子猫たちの先に生まれ、野良猫として生き残ったミーの娘が6月冒頭に初めて2匹の子を産んだ。 つまりミ―の孫に当たる3代目が誕生したわけだが、もう親離れの時期が近く、メス猫が居れば遠からず4代目が生まれるだろう。 まさに一編の大河ドラマが延々と続く。  





  

 












「コルシカ島への旅」 (11)ふたたび ボニファシオ~アジャクシオ へ

2017-08-09 10:06:49 | 旅行記
ライトアップされた船体、アフロキューバンジャズのパーカッションが響き、フリュートグラスを片手に談笑する男女たち。 何隻もの豪華クルーザーが競うようにミッドナイトショーを演出し、観光客を足止めさせる。 そして夜店の喧騒と人混みで深夜まで賑わったボニファシオ海岸通りの夜が明けようとしている。 未明の港町は地中海の冷気に包まれ、厚手のブルゾンやセーターを着こんでスーパーに向かうのは、早朝に出航するヨットのクルーたち。 華やかな宴の主役たちはまだ寝静まっており、昨夜船底の照明に群がっていた港の掃除屋たちの姿はもう無い。

女性シェフのNちゃん、そのアシスタントでプロのヨットマンOちゃん、それにエステティックサロンの若い女性オーナーKちゃんの3人は生鮮食品の買い出し。 やがて「メシができたぞー!」と声が聞こえ、炊き立ての日本米にナスとサヤエンドウの味噌汁、それに梅干しと唐辛子味噌が食卓に並ぶ。 食休みの後ヨットはボニファシオの港を離れ、乗船地のアジャクシオに向けて出航。 復路のスケジュールは寄港地も少なく、ストレッチや読書でゆっくりできるのもうれしい。 早くもエンジン音が止み帆走に入ったようだ。

航海中自分たちで釣った魚を一度は食べてみたいと思っていたが、何故かどの海域でも釣りは禁止されている。 復路の最終日、マリーンスポーツを楽しむためボムボートで上陸したが、砂浜の先に見える古い石造りの建物と背景の白い山々のコントラストにすっかり魅せられてしまった。 海岸沿いには行けないので山道を登って小さな入り江に降りて行くと、「老人と海」に出てくるような木造船の上で、老いた漁夫が獲ってきたばかりの僅かな魚を分類している。 覗き込んでる僕たちを気にもしてない。

作業が一段落したところで「分けてくれまいか?」と聞くとうなずいたので、魚に詳しい団長格のO(オーさん)が何匹かを指さして選び、20ユーロを受け取ってもらった。 お目当ての家は近くで見ると100年は経っており、どうやら彼の住まいのようだ。 砂浜に戻り、久しぶりにシュノーケルで潜ってみたが、ブルーの海中は限りなく透明度が高く吸い込まれそう。 そして進化したシュノーケルは顔全体がメガネで覆われており、その空間で楽に呼吸ができることを知り感激。 迎えのボートで船に戻りシャワーを浴びると、もうすぐランチだ。

テーブルの真ん中には白い大きな器が置かれ、ソーメンと氷が涼しそうに浮かんでいる。 麺つゆに、おろし生姜とアサズキのみじん切り、七味唐辛子を入れて食すると、遠く離れた地中海に居ることを忘れてしまいそう。 次に現れたのが先刻仕入れてきたアイナメ?の煮つけ、身がしっかり引き締まっており新鮮さも加わって凄く旨い。 これは白ワインで食べたいと開けたのが、コルシカワインの白「ドメーヌヴェッキオ」白い花の香りが広がり、微かなスモークのブーケが後味をふくよかにする。 最後の航海の最後のランチは最高に盛り上がった。