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「サルデーニヤ島への旅」(4)日本のパンはなぜ不味い?

2019-12-04 14:36:10 | 旅行記
サルデーニヤを代表する高級リゾート地「ポルトチェルボ」の観光を終えヨットに戻ると、遅めのたランチが用意されている。 タコと野菜のマリーネにオリーブ油とバルサミコ酢をかけた前菜、鯛のムニエルは醤油との相性がいい。 生ハムと一緒に出されたパンには肉をミンチ状にしたタルタルソースをつけて食する。 このパンはコルシカ島で積み込まれたので、フランスのパンというこになるが、何もつけなくても美味しいし、毎日食べても飽きない。 そして来日観光客の評価も芳しくないという日本のパンとの比較だが、どうしてこれほどまでに香りと味と食感が違うのだろう? その辺に関して詳しいO氏に聞いてみた。

美味しさの違いは小麦粉とバターが主な要因で、日本でも同等の食材は入手できるものの、関税の影響でべらぼうに高くなる。 然らば価格を無視すれば同じものができるか?と問われれば、そもそも日本の主食はコメ、欧州は小麦、この歴史と文化の違いも根底にあり、すぐには難しいのではと仰る。 東京でパンが美味しいのは麻布・六本木で、理由は外国人が多いから。 お値段を比較すると、ドンクのバケットが320円、ヤマザキなどのチェーン店は170円、地元専門店が270円。 評判の店では各自が独自の菌を使って生地を5時間程度発酵させ、仕込みは早朝2時から始めて焼き上がりは7~8時、手間暇かけて品質で勝負している。

パンに次いで欧州帰りの日本人が口をそろえて褒めるのは、乳製品と肉の加工品。 ボートで尋ねた小さな村の専門店で買ったサラミソーセージがあまりに旨いので、同行している肉の専門家Mさんに、その理由を質問したところ、日本との違いは「肉の処理法」。 サラミソーセジは豚のひき肉に塩や香辛料などを混ぜて腸詰したものを、温湿度の管理をしながら60~90日乾燥熟成させて製品化する。 イタリアでは使用する豚肉を生で8カ月ぐらい寝かせ、カビを何度も取り除きながら仕上げるが、一方日本では肉をボイルしてから乾燥させる。 イタリア方式では大変な手間暇がかかるが、これが美味しさの差につながっているとのこと。

ところでヨットの食事で残念だったのは、ビールと白ワインの温度が常に生ぬるかったこと。 冷蔵庫のキャパシシテイー以上に食材や飲み物を詰め込んでいるのが原因の一つで、当初の想定が甘かったのだろう。 それに夜間は騒音防止のため発電機を止めてしまうのも要因の一つ。 もっともビールや飲み物が生ぬるいのはヨットに限らず国内便の飛行機やレストランでも同じ、もしかすると我々日本人の要求する温度が低すぎるのかもしれない?。 それにしてもヨットの電力消費量は想像以上に大きい、冷蔵庫や製氷機のほかに調理器・浄水器・エアコン・照明器具・温水ボイラー・ランドリー設備など、極めて広範囲に及ぶからだ。

地中海観光の最盛期は6月~9月の4か月、このシーズン中は毎年ホテルも乗り物もレストランも、世界中からの予約で満杯になる。 これらをワンパックにしてゆっくり過ごしたいというニーズから生まれたのが、10人程度を対象にした「ヨットクルージング」。 1週間単位でスケジュールが組まれ、ファミリーやグループ対象の貸切と、個別に応募した人たちが乗り合わせるものとに分けられる。 しかし年々需要がが増えており、希望するヨットのランクと日程を確保するには、一年ぐらい前からの予約が望ましい。 それでもリピート客が絶えないのは、やはり豊富な食材を使って食卓を飾る「地中海料理」が、一役買っているのかもしれない。