2014年12月末に正月休みの読み物の1つとして、志賀桜著のタックス・イーターという岩波新書を購入して来て箱根駅伝を応援する傍ら、読了しました。
著者は1970年司法試験に合格し、大蔵省に入省した東大出の秀才であり、主計官をへて、岐阜警察本部長をした後、2010~12年には政府税務調査会納税環境整備小委員会特別委員まで務めた弁護士である。副題は消えて行く税金でした。
一口に言って、国民の税を食い散らし、富を奪い取る者は誰だ?政治と経済の隅々まで網の目を張り巡らし、法を逆手に取りながら、税金を食い物にし、現世代の税金を食い物にするだけでは足りず、将来世代が納めるべき税金まで先取りして食い荒らそうとする、国の存亡にも関わる悪行を、見過ごしてはならないと、勇気を持って書かれた本だと感じました。
日本の納税者は、税がどのように決められ、納めた税金がどのように使われているとか、を余り知ろうとしない。国際的に見ても、日本人ほど税制に対して関心のうすい国民は無い。それは税務当局からみれば大きなメリットがある源泉徴収制度に原因がある。
給与所得に関する源泉徴収制度は1940年に導入された。戦時において徴税を効率良く、かつ確実なものにするために導入された制度である。徴税に掛かるコストは源泉徴収者に背負わせているのだ。源泉徴収制度はどの先進国にも見られるが、加えて年末調整制度は戦後の混乱に紛れて作られた制度である。シャップ勧告でも出来るだけ早く廃止すべきと勧告されたが、愚民政策は今も生き続けている。
アメリカでは源泉徴収制度は有るが年末調整制度はないので、給与所得者と言えども還付申告をしなければならないので税務署に行って確定申告をする。納税者としての意識の差がこういうところから生じるのだ。従って、無駄使いにも厳しい目が向けられるのだ。だが我が国では源泉徴収制度と年末調整制度のお陰で、自分で確定申告する人が少ないので、国民が自分の払っている税金に無関心になりすぎているのがタックス・イーターのつけ込むところだ。
タックス・イーターは族議員、官僚、党税務調査会という伏魔殿を通じて鉄のトライアングルを形成し、官僚抜きで事を運ぼうとして失敗したケースが余りにも多い。
族議員が官僚に乗せられて予算の分捕り合いをし、国債の発行が増えても本当に行革の出来る議員はおらず、多国籍企業は租税回避をしている、グロバルエコノミーの時代租税回避は想像もつかない。
日本の社会保障制度はすでに破綻しているのである。何よりも問題なのは国民が負担と給付の関係についての真の実態を知らされていない。と著者は言い切っている。
今まで一国の経済が駄目になると戦争を起こして解決するというのが常識であったが今の日本はこの手が打て無いとなると、為政者は次に考える手は戦争に代わるハイパーインフレである。ハイパーインフレーションは庶民から購買力を強制的に奪うので形を変えた税であると理解されている。
日本では余りにも多くの不正や欺瞞によって事実が隠蔽されている、我々はかくされている事実を明らかにする事から始めなければならない。という調子です。
でも著者の本音が見えて、なかなかの本だと思いました。こした人達が政治家となり、一日も早く行政改革をして欲しいと思いました。皆様もご一読されては如何ですか?
(株)市川不動産