MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

赤と白のストライプ

2007-08-02 00:10:00 | 本と雑誌

夏といえば、怪談。

怪談といえば、百物語。

で、百物語で思い出されるのが、

楳図かずおのホラー漫画、

『奪われた心臓』。

この作品を初めて読んだのは

昭和43年(1968年)の月刊『平凡』 6月号。

当時、楳図かずおは

同誌に短編のホラー漫画を

連載していた。

うろ覚えながら、『奪われた心臓』は…

…夏の夜に、百物語に興じていた少女たち。

百話目は、

生きているにもかかわらず

死んだものとみなされ、心臓を摘出され

他人にそれを移植されてしまった少女の話。

実はその百話目を話した少女が、

心臓を奪われた少女その人であったのだ。

そして、その心臓を移植され元気になった少女も

その百物語の輪の中にいた…

百話目を話し終わると、

心臓を奪われた少女は

突然空洞となっている胸を開き、

移植された少女の胸を鷲摑みにして

その子から心臓をえぐり出した…

「わたしの心臓を返して」と叫びながら…

…というストーリー。

その漫画を読み、恐怖と残酷なシーンに

衝撃を受けた幼いMrK。

当分の間、眠れぬ夜を過ごす羽目となった。

(トラウマは大きかった…)

さて、1968年と言えば、

南アフリカ共和国で世界最初の心臓移植が

行われた翌年。

各国で競うように心臓移植が始まった中、

国内でのコンセンサスが得られないまま、

不確定な脳死判定下に

世界30例目、本邦1例目として、

札幌医大で行われた和田移植、

これが社会の大問題となった年である。

MrKの記憶では「奪われた…」は

この和田移植の後に

描かれた漫画と思っていたが、

同移植は1968年8月8日に行われている。

つまり、当時、日本で、医学界のみならず、一般社会に

深刻な移植忌避をもたらしたこの事件より

2ヶ月以上も前に、

楳図氏はこのような風刺的な漫画を描いていたことになる。

氏の先見性に感嘆する。

ただ、聞くところによると、

現在の楳図氏(70歳だそうだが)、

吉祥寺に建築中の

赤白ストライプ(氏のトレードマーク?)の自宅が

「周囲の景観を無視した奇怪な建造物」

ということで、近隣住民から

建築工事差し止めの仮処分を

裁判所に申し立てられているという。

ウェブ魚拓↓

http://megalodon.jp/?url=http://www.sanspo.com/sokuho/070801/sokuho067.html&date=20070801235439

思考の飛躍超越も大切だが、

見識を失わないことも

重要かなと思うのである。

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