TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




 衆参両院の本会議で首班指名が行なわれ野田佳彦新総理大臣が誕生した。 1957年生まれの54歳だから、私(1955年11月生まれ)よりも1年半若い総理大臣の誕生である。5人が立候補した昨日の民主党代表選挙で、「どじょうにはどじょうの持ち味がある。金魚の真似をしても出来ない。泥臭く、国民のために汗をかいて政治を前進させる。どじょうの政治をとことんやり抜く」とボルテージを上げた演説をした。自らを「どじょう」に例えて、泥臭さを武器に反転させて主張するあたりは、面白いと感じた人も多かったようだ。これから、国民にとって面白い政治が待っているかどうは未知数だ。

 ひるがえって、2年前の8月30日の今頃は、「政権交代選挙」の投開票日だった。東京8区の野党統一候補だった私は、ぎりぎりまで競いながら苦杯をなめることなる。しかし、あの選挙の熱気と期待は物凄いものだった。駅頭でマイクを握れば、黒山の人だかりが出来た。この時、多くの有権者が期待したのは従来の参議院選挙で度々繰り返されてきた「政権与党へのお灸」という一時的批判ではなくて、「本格的政権交代による政治の刷新」だったと思う。だから期待も高まったし、「政治のドラマ」を一目見ようと日々のニュースは劇場化した。

 2年間で3人目の総理の就任。しかも、「天下り根絶と官僚支配打破」「企業・団体献金廃止と政官業癒着の根絶」「徹底した無駄の削減と特別会計改革」などの旗印はすっかり色あせてしまった。政治の道具は、いつの時代でも「言葉」である。けれども「言葉」が浮遊し磨滅していくような「政権交代劇場の解体劇」を見せられているような感覚に陥る。「政権交代して良かったという政治をつくり出す」と野田氏は語った。すべてはこれから始まる。

 「東日本大震災からの復興」「原発事故の収束とエネルギー転換」について何から始めるのか。未曾有の危機的事態に対して、圧倒的な力を注いで加速していくにはどうしたらいいのか。いまだに復興の道が険しい太平洋沿岸の被災地支援と、途方も内汚染にされされている福島第一原発の周辺に人間的で温かいまなざしが必要だ。「政治の仕事」のメニューを早急に示してほしい。代表選挙演説では他の候補に比べて、この点についての言及が少なかったことが気になる。

 2年前の政権交代後の「第一幕」として注目を集めた「八ッ場の建設中止」という打ち上げ花火はどうなったか。これは、不要不急の公共事業を見直して財源を捻出する新しい政治のシンボルとも語られた。夜空を彩る花火が一瞬で散るように、このテーマは語られなくなり、そして「政治の表舞台」から姿を消しつつある。けれども、ダム工事は精力的に続けられて、現地の様相は変わり果てている。「ダムサイト」を除いた工事は着々と進んでいて、かつての自然の景観は見る影もない。ちょうど1年前、私はこの様子を多くの方に伝えたいとビデオをまわして、映像ドキュメンタリー『八ッ場ダムはなぜ止まらないのか』を自主制作した。

 今こそ、東北復興という大公共事業に取り組むべき時だと思う。そして、福島第一原発の事故による放射性物質の汚染対策に着手をするべきである。「増税」の前に、不要不急の公共事業の仕分けをして東北への集中を行い、また税金を湯水のように食い尽くす「核燃料サイクル」で蕩尽されている原子力予算を振り向けるべきだと思う。

 野田新総理が新幹事長就任を輿石東民主党参議院議員会長に要請したというニュースが流れた。これからの政治がどちらに向けて動き出すのか、明日もまた注目していきたい。

 



  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「原発政策・... 大場啓二世田... »