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インターネットの掲示板に、先日放送された『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」での「太田総理」の発言に対して、「殺害予告」をした人物が警視庁杉並署に逮捕されたというニュースに、「エッ」と息を飲んだ。私もゲストとして太田総理の掲げるマニュフェストに反対の立場の席に並んでいたひとりだったからだ。2時間を超える収録中、放送されるのは一部のやりとりを編集した部分にすぎないし、私は放送を自分で見ていない。(スタッフによると、ほんの一言だけの発言が放送されただけと聞いている) 当日のマニュフェストは『インターネットの利用は親の承諾を必要とします』(7月4日放送分)だった。

「朝日新聞」より

インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に、お笑いコンビ爆笑問題の太田光(43)への「殺人予告」を書き込んだとして、警視庁杉並署は27日までに、埼玉県上尾市、無職小沢史人容疑者(32)を脅迫容疑で逮捕した。同容疑者は、太田を名指しで、包丁を使って「確実に殺します」と宣言。太田がテレビ番組で、ネットでの殺人予告を批判する趣旨の発言をしたことを知って、あえてターゲットにしたといい「冗談のつもりだった」と供述しているという。

 調べでは、小沢容疑者は8日午後1時前、自宅のノートパソコンから2ちゃんねるに「爆笑問題の太田光を殺します 確実に殺します 必ずやります 爆笑問題の太田光を包丁で刺し殺し爆笑問題を解散させます ご期待ください これは犯行予告だ 警察に通報するな 通報すれば殺す」などと書き込み、太田を脅迫した疑い。

 2ちゃんねるを見た人が通報し、発覚。太田が12日、杉並署に被害届を出し、同署がIPアドレスなどから割り出し、26日午後逮捕した。小沢容疑者は同様の書き込みを、8日前後に少なくとも計5回していた。容疑を認め「殺すつもりはなく、ユーモア、冗談のつもりだった」と話しているという。

 発端は、7月4日に放送された、爆笑問題が司会を務める日本テレビ系バラエティー番組「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」の中で太田が、ネット上で相次ぐ殺人予告を批判する趣旨の発言をしていたこととみられる。

[記事終了]

冗談のつもりで「殺害予告」なんて「冗談じゃない」と思う。この書き込みについて、本人がどのような意図だったのかは判らないが、少なくとも「掲示板」に公開された後には「脅迫的言辞」として太田さんを精神的・身体的に制約したことも容易に想像は出来る。郵便を使った「殺害予告」や、電柱や壁に「殺害予告」を貼りつけた場合よりも、不特定多数が目にするという点で影響が大きい。

匿名だから何を書いても免罪されるということはない。人を傷つけたり、差別したり、追いつめる言動には「言っていいこと、いけないこと」の境界線がある。それは、テレビなどの発言でも、大勢の人を前にした話や、また友人同士の話でも同様だ。ネットだからこそ「殺害予告」が許されないのではなく、どの場でも許されないのだ。

掲示板は「匿名」だから何を書いても大丈夫というのは、現在のIT捜査の水準を知らない人たちの生半可な信仰でもある。そもそも、「インターネットと匿名性」について、番組では議論もされた。こうして、番組上で議論されたことが、インターネットを舞台とした事件となるというのは、極めて残念なことだ。「殺害予告」に対して警察に告訴するという選択は、太田さんにとってもぎりぎりの重い判断だったのではないかと思う。

ネット規制が不十分で「殺害予告」すら書き込める自由があるから、犯罪が起こる…だからネット規制は必要か、といえば、そうではない。なぜならネットであろうがなかろうが「殺害予告」は許されないことだ。従来の法律の枠内で充分に対処することが出来るはずだ。

ネットの掲示板などに書き込むことは自由だが、他者を脅かしたり、攻撃的言辞をならべたてたり、「殺害予告」などで追い詰めると「犯罪」となる場合もあることを認識してほしい。お互いが自由な意見を交わす場は貴重なコミニケーションの広場だが、相手の意見を批判するだけでなく、「非難」「攻撃」「集中攻撃」とエスカレートしていくと、限界線を超える危険がある。また、ネットの場で勢いで言ってしまったことを取り消したり、撤回するのはなかなか難しい。攻撃を受けた時に、対処する方法も手探りの状態だから、互いに危機を回避したり、激突で犠牲を生まないためのネットリテラシーの普及が何より必要だ。

私は、インターネットについての最近の規制強化の論調を苦々しく思っているひとりだが、だからこそこの事件を残念に思う。こうした事件が起きると、「十把ひとからげ」のネット規制論が台頭する。最近の事象では、「有害情報」とのアクセス制限を急ぐあまり、「ブログ」「政治情報」なども接続不可としてしまった携帯電話の未熟なフィルタリング規制かあげられるのだが、「ネットは危ないから当局に常時監視してもらおう」というような極端な意見が出てくる余地がある。「インターネットと表現の自由」については、もっぱらインターネットの技術的な問題も含めて「精密な議論」が必要だ。

今回のような事件を二度と繰り返してほしくないと願って、少し気が重くなるテーマだが、あえて書いた。



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