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昨年からの1年間、社民党は「派遣・非正規雇用」問題に懸命に取り組んできた。毎週のように、厚生労働省に出かけ、交渉の席に立ち会い、また解決策を見いだそうとしてきた。「なんだ、政党の宣伝か」と斜めに構える人も多いと思うので、今日は社民党政策審議会がとりまとめた昨年からの経緯を一括して掲載しておきたい。私の「雇用保険改革プラン」や「雇用促進住宅の開放」の主張も、こうした積み上げの中から生まれてきた。少し、分量が多いが資料としてここに公開しておくことにする。秋以降は、発表した提言や申し入れなどが実現したものも数多く出てきたので、国(厚生労働省)が受け入れ実現した項目は赤字で結果を記した。

2009.1.14

社民党の雇用関係の取り組みと成果(未定稿)

◆2008年 1月17日
 グッドウィル処分に関し厚労省に申し入れ

◆2008年 2月13日
 「労働者派遣法の抜本改正に向けて」(案)を発表

◆2008年 4月 2日
 「労働者派遣法改正案の方針と骨子」を発表

◆2008年 4月17日
 「労働者派遣法改正案骨子」を発表(みなし雇用規定を拡充)

◆2008年 8月27日
 「生活・地域の底上げ宣言」―景気減速と物価高騰に対する内需拡大・国民生活改善のための9兆円規模の緊急対策―を発表
・非正規の正社員化支援(1人年額24万円×100万人=2400億円)
・労働者保護法としての労働者派遣法へ改正
・生活保護費を下回る最低賃金法の改正
・省エネ・自然エネルギー転換等

◆2008年10月15日
「カジノ資本主義から脱却し、内需主導経済に転換を」をとりまとめ
 ・最低賃金の大幅引き上げ、同一労働・同一賃金の徹底、派遣型労働の原則禁止、公契約法の制定
・誰もが「健康で文化的な生活を営む」権利を行使できるよう、公的医療・介護・年金はじめ社会保障措置・制度の再確立
・子育て支援やOECD最低水準といわれる教育予算の拡充
・中小企業に対するセーフティーネットの整備
・公共交通網のきめ細かな整備、とくに地方・過疎地の利便性を配慮
・地域単位の経済圏構築を視野にいれた地方経済の振興
・自給レベル達成にむけた農林水産業の復興
・環境・エネルギー革命ともいうべき、自然エネルギー、再生可能エネルギーへの転換
・税制の累進制強化・所得再配分機能の強化

◆2008年10月15日
 福島党首参院予算委員会:「非正規雇用」に不景気のしわ寄せが及んでいる問題を追及
→福島党首の調査要求に厚労省が回答【派遣・非正規3万人が失職】

◆2008年10月16日
「生活・地域の底上げ宣言」(改定版)
―内需拡大・国民生活改善に向けた10兆円の緊急対策―を発表
・非正規社員100万人の正社員化支援(非正規雇用から正規雇用に切り替えた場合の社会保険の事業主負担を支援 月2万円を向こう1年で2400億円)
・「日雇い派遣」の禁止など労働者保護法としての労働者派遣法改正
・解雇規制法の制定
・生活できる最低賃金への法改正<時給1000円>
・太陽光発電の普及を後押しするなど省エネ・自然エネルギー転換<原油・原材料高を克服し、新しいエネルギー転換に伴う産業の構造転換で雇用を創出>
・派遣契約の中途解約に対する規制強化(実態調査の実施と、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」の厳守)
・雇用保険の失業手当の受給資格を元に戻す(1年→半年)、雇用保険の給付金の増額と給付期間延長
・離職者支援資金貸付制度の拡充(特に雇用保険制度の対象外にある非正規労働者の失業者)
・雇用促進住宅の売却停止と新たな利活用(空き部屋に新規入居を認めない方針を転換させる)
・緊急地域雇用創出特別交付金事業の復活・拡大で雇用創出(環境・森林・消防査察・学校支援など 年2500億円)

◆2008年11月 6日
 雇用問題や医療問題に積極的に取り組むため、「緊急雇用・医療対策本部」を設置(本部長=福島みずほ党首、事務局長=近藤正道常幹)

◆2008年11月18日
 衆院本会議で日森国対委員長がグリーン・ニューディールへの見解をただす(「代替エネルギーの開発や省エネによって雇用を創出する「グリーン・ニューディール」や、環境に責任ある投資による経済回復を図るべきとの提言や、需要を拡大するには、労働市場の規制緩和と労働者保護義務の撤廃ではなく、実質賃金の引き上げ、所得と富のより公正な分配を後押しすべきとの提言は注目に値すると思いますが、見解は如何ですか。」)
→斉藤鉄夫環境相は1月6日、環境と景気対策の両立を目指す基本方針「緑の経済と社会の変革」を今年度内に策定する方針を発表。

◆2008年11月19日
 「金融・世界経済に関する首脳会合出席等に関する報告」についてをとりまとめ
「国際労働運動の強化を図るためのグローバル・ユニオンも、14日に「G20労働組合サミット」を開き、実体経済のための協調的回復計画の策定、グローバル金融市場の再規制、経済統治のための新しい国際システム、公正な分配と危機との闘いを柱とする「ワシントン宣言」をまとめている。とりわけ、国連環境計画とILOが「グリーン雇用」報告書で求めている「グリーン・ニューディール」をスタートさせ、代替エネルギーの開発や省エネによって雇用を創出するとともに、温室効果ガス排出削減に向けた、環境に責任ある投資による経済回復を図るべきである」

◆2008年11月27日
 参院国土交通委員会で渕上貞雄副党首が公営住宅単身者入居問題について、雇用促進住宅を自治体が譲り受けた場合には、単身者に係る入居要件を緩和をして、現在入居者を救済をするよう追及
→国交省から前向きの答弁(国土交通大臣の承認を得て若年単身者等のために公営住宅を目的外使用することも可能、地域優良賃貸住宅制度を活用し若年層の単身入居者を含めて現在の入居者の入居を継続した状態での買取りが可能、国は地域住宅交付金による支援を積極的に実施)

◆2008年11月26日
 社民党の「雇用保険改革・緊急プラン」<第1弾>を発表
・雇用保険への国庫負担を堅持し4分の1へ戻す
・雇用保険の受給資格を6ヶ月に戻す
・雇用保険加入時の「派遣差別」を禁止
・雇い止めは「会社都合」と迅速に認める
・日雇雇用保険の活用
・雇用促進住宅の活用
・労災保険の「精神疾患」への適用拡大
→厚労省は11月28日、派遣労働者、期間工等の非正規労働者等への支援等の対応を発表
→厚労省は12月10日、「労働者派遣契約の中途解除等への対応について」を通達

◆2008年12月 2日
 福島党首は参院厚生労働委員会:社会保障費の抑制・採用内定の取り消し・派遣切りを追及

◆2008年12月 4日
 社民党はキヤノンの「非正規切り」を受け、厚労省と緊急交渉

◆2008年12月 5日
社民党の「緊急雇用対策の提言」を発表
1.働き方の安定を!~非正規労働者等を保護する労働行政へ
・労働者派遣法の抜本改正
・労働基準法の改正:有期雇用(契約)の限定、「期間の定めなき雇用が雇用契約の原則」
・「2009年問題」対応における脱法的手法の規制を強化
・期間の定めのある労働契約における解雇要件の厳格化
・非正規社員100万人の正社員化支援
2.失業予防の強化
・雇用調整助成金を拡充し失業予防を強化
→厚労省は、12月1日から、従来の雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和するとともに、助成率を引き上げ、新たに中小企業緊急雇用安定助成金を創設。19日、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件を更に緩和するとともに、助成対象となる労働者の範囲を拡大する等の見直しを発表<雇用量要件の廃止。被保険者期間6か月未満/被保険者以外(6ヶ月以上雇用)も対象に>
・採用内定取り消しを規制
→厚労省は、採用内定取消に関する状況の調査・把握、企業への厳正指導、相談窓口の開設、情報提供、相談への丁寧な対応を実施
・障害者雇用対策の強化
3.働く者のセーフティーネット強化
・雇用保険制度をすべての雇用労働者にとってのセーフティネットへ改革
→雇用保険の加入要件の緩和(雇用見込みは「1年以上」から「6か月以上」に)、雇い止めは特定受給資格者扱い
・新たな「就労・生活支援制度」の創設
→就労安定貸付事業等は就職した場合一部免除
4.住宅は福祉の基盤~「住む」を保障する
・厚生労働省と国土交通省の施策の連携
・雇用契約上の残りの期間は継続居住を保障
→厚労省は12月19日、やむを得ず派遣労働者や有期契約労働者の雇用契約の中途解除や雇止め等を行った場合において、当該労働者に対し離職後も引き続き住居を無償で提供するか、住居に係る費用を負担した事業主を支援するため、離職者住居支援給付金(仮称)を創設することを発表
・住宅入居資金の低利貸付制度の拡充、住宅困窮者向けの住宅手当や若者を対象とする家賃補助制度を導入
・住居喪失不安定就労者等の就職安定資金貸付事業を拡大
→ハローワークと労働金庫の連携で就職安定資金融資を実施
・住宅セーフティネット法の「住宅確保要配慮者」に低所得の若者の住宅確保を位置づけ
・雇用促進住宅や公営住宅の活用、民間賃貸住宅の借り上げを推進、公的賃貸住宅へ単身者の入居を可能にするよう制度改善
→舛添要一厚生労働相は12月26日の記者会見で、失業した労働者の住宅確保策として、廃止が決定している約3万1000戸の雇用促進住宅を活用することを正式に決定したと発表(1月上旬からの入居開始、2011年3月末までの緊急措置)
→国交省は12月18日、「離職者の居住安定確保に向けた公営住宅の活用について」を発表
・就労・生活相談センターの活用等による公的な保証人制度の創設、国交省の「あんしん賃貸支援事業」の対象拡充(若者単身者を追加)など、民間賃貸住宅への入居をサポート

5.グリーン・ニューディールで雇用を地域に創り出す
・国連環境計画とILOが「グリーン雇用」報告書で求めている「グリーン・ニューディール」をスタートさせ、代替エネルギーの開発や省エネによって雇用を創出するとともに、温室効果ガス排出削減に向けた、環境に責任ある投資による経済回復を図る(太陽光発電の普及を後押しするなど省エネ・自然エネルギー転換によって、原油 ・原材料高を克服するとともに、新しいエネルギー転換に伴う産業の構造転換で雇用を創出)。
→「農」の雇用事業(第二次補正予算)「緑の雇用」事業
・緊急地域雇用創出特別交付金事業の復活・拡大で雇用創出を図る(環境・森林・消防査察・学校支援など 年2500億円)。
→ふるさと雇用再生特別交付金2500億円及び緊急雇用創出事業交付金1500億円(第二次補正予算)
・NPOや協同組合労働を応援し地域に根ざした雇用を創出する。
・小中学校の耐震化を推進する。
→大規模地震による倒壊の危険性の高い公立小中学校の耐震化事業に要する経費に充てるための交付金の増額500億円1000棟(第二次補正予算)
・介護報酬の大幅引き上げを図る。
→第二次補正予算に介護従事者処遇改善・人材確保費を計上
6.医療も大事!
・安心して働くためには医療保障が重要。医療の無保険者対策を強化する。
・後期高齢者医療制度を廃止する。
・労災保険の適用要件を拡大する(精神疾患への適用要件を見直す)。

◆2008年12月 5日
 衆院予算委員会で保坂展人議員、非正規を切る一方、期間工を募集するキヤノン大分工場を追及、その際、大分キヤノンが「労働組合への加入不可」を条件に求人を出していた問題を追及
→12月26日、厚労省と事実経過等を確認
◆2008年12月10日
 参院予算委で福島党首が質問
→麻生首相、雇用促進住宅の活用を言明
◆2008年12月11日
 派遣労働者らの雇用問題が深刻化している愛知県のハローワークや雇用促進住宅を視察

◆2008年12月15日
 社民党は、年末年始のハローワーク延長開所を厚労省に要請
→12月19日、厚労省はハローワークにおいて、年末緊急職業相談の窓口を開設し、非正規労働者等に対する職業相談を実施することを発表

◆2008年12月16日
12月11日に実施した社民党・愛知県豊田市の雇用促進住宅の視察を受け、非正規労働者の雇用保険と住宅問題で厚労省に申し入れ 
→舛添要一厚生労働相は12月26日の記者会見で、失業した労働者の住宅確保策として、廃止が決定している約3万1000戸の雇用促進住宅を活用することを正式に決定したと発表(1月上旬からの入居開始、2011年3月末までの緊急措置)

◆2008年12月18日
 野党三党と連合は、「緊急雇用対策関連4法案」の成立を求め社会文化会館(社民党本部)で緊急集会を開催
・採用内定取消しを規制する「労働契約法改正案」
・非正規労働者も雇用調整助成金の対象にする「派遣労働者等解雇防止緊急措置法案」
・派遣労働者等の就労支援のための住まいと生活を支援する「住まいと仕事の確保法案」、雇用保険制度の拡充によりセーフティネットと雇用を確保する「雇用保険法改正案」
・期間の定めのある労働契約の締結・更新・終了のルールを明らかにする「有期労働契約遵守法案」

◆2008年12月18日
 福島党首は参院厚労委でハローワーク延長開所に関連する質問、「2009年問題」に関し追及

◆2008年12月18日
 総務省に対し、緊急雇用対策を行っている自治体を支援するための申し入れ
 又市副党首が参議院総務委員会で取り上げ
→鳩山総務大臣が特別交付税で支援するとの答弁、総務省は20日付で各自治体に通知(各自治体が臨時的な雇用・就業機会を創出するための対策(自治体による直接雇用、離職者等を雇用する民間会社等への委託・助成等)に対し、特別交付税で支援する。)→2009年度地方財政計画において、地域雇用創出推進費5000億円(2009年度、10年度の2年間)を計上(間伐や学校耐震化をはじめ、地域の知恵を活かした未来につながる事業の推進に必要な歳出を計上し、地域の雇用を創出する。)
◆2008年12月21日・22日
 大分キヤノンを視察、自治体が緊急雇用安定基金(仮称)等を創設した際の、キヤノンの参加も要請
→24日、大分キヤノンは失職社員に対し、休業補償金を支払う方針を固めた/基金も検討

◆2008年12月29日
 失業者への職業紹介・住宅提供・生活資金の貸与などを目的とする「緊急雇用安定基金」(仮称)の創設を求め、河村建夫官房長官に対し申し入れ
→「基金は一つの考え方。検討してみる必要がある。法律でなくても、助け合いの精神でやれることからやっていきたい」と対応

◆年末年始
 寮の追い出しなどで行き場のない労働者を支援するため、労働組合や市民グループなどが日比谷公園にて実施した「年越し派遣村」に参加
→厚労省講堂の開放
→自民党と民主党の対立の中、社民党が汗をかいた結果、参議院で「雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議」を実現(1月7日)

◆2009年1月4日
 民主党と労働者派遣法改正については早急に一致点を見いだし、野党統一の改正案の作成を目指すことで一致。両党でプロジェクトチームを設置することに。


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