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一昨日、募集開始した『保坂のぶとフォーラム』(「政治はどこへ行くのか。早野透×岡本厚×保坂のぶと」10月9日プラザエフ午後6時)に短期間で多数の方から申し込みがあった。企画を決めてから実施までに期間が短かったために、十分な周知が出来るかが心配の種だったが、申し込みの滑り出しはいい。ただ、開場から開演までの時間が15分と短いので、受付手続きを簡素化するために、事前予約制で受け付けた方にハガキを発送する方法で参加者を募集している。ぜひ、参加出来る方は予約をお願いしたい。

 民主党代表選挙が終わり、菅直人改造内閣がスタートしたが、「大阪地検特捜部の証拠改竄事件」が発覚した。逮捕された主任検事は、「陸山会」捜査にも応援に駆けつけて、小沢氏の元秘書を取り調べている。同じ検察官の作成した「供述調書」だから、信用度はガタ落ちになる。菅総理・仙谷官房長官は、「最高検の捜査を見守る」のではなく、内閣に弁護士を任期付きで検事として任用し、第三者委員会を設置して最高検の捜査も含めてチェックすべきだが、こうした声が聞こえてこない。

 そして、中国漁船船長の那覇地検による「処分保留・釈放」の決定が大きな波紋を呼んでいる。10月1日に始まる臨時国会では野党は集中的に菅政権の判断の甘さと迷走を批判するに違いない。もし、政治判断をするのであれば、入口でする以外にない。靖国神社参拝を繰り返して中国との関係は冷えきっていた小泉政権時ですら、尖閣列島に上陸した中国人らを政治判断で、国外追放した。「粛々と国内法に従って処分する」と入口の段階で原則を決めたのであれば、これを貫かなければおかしい。

 予想の範囲を超えた中国の対抗措置のエスカレートを前に、すべてが中途半端なチグハグ対応に終始した。「非小沢」を評価されて反転上昇していた内閣支持率も急低下していくことだろう。さらに、「処分保留・釈放」の決定を「あくまでも検察の判断」として分離してしまったことから、事実上の政治判断があったのは間違いないのに、官邸は無責任だとの批判もふきあがった。

 政治判断で「処分保留・釈放」をしたにもかかわらず、中国からは「謝罪と賠償」を要求されるなど、「政治決着」の道筋も描けていない。今回の事件で、日中関係の危機的事態の打開をするために、水面下でどのようなパイプをもってやりとりしていたのかと疑問を持っていたが、おそらく何もしていないか外交的には役に立たないものに過ぎなかったのだろう。事態が収拾するどころか、ハレーションは拡大し、日本国内でも菅内閣は苦境に立つことになる。

中国で身柄を拘束されている4人の日本人を解放するように外交チャンネルで求めるべきだが、道筋は見えていない。平時であれば、そう大きくない摩擦であっても、緊張激化の過程で、事態のひとつひとつが集積していくと、取り返しのつかない不信と対決の回路に陥っていくことが予想される。

 外交とは、修復と危機の未然予防の営々たる持続のはず。外務省はいかなる判断で、「粛々と対応」との当初の方針を決め、突如として「処分保留・釈放」に転じたのか。その際、中国側が「謝罪と賠償」を求めてくるという予想はあったのか。岡田→前原外務大臣の移行期とはいえ、 情報収集と分析に欠けるのではないかと思う。

 どうしたらいいのか。今後の政府の説明に注目しながら、考えていきたい。「過去の失敗」を「次の大失敗」につなげないために。

  




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