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昨日、4時30分に法務省大臣室の長勢甚遠法務大臣を福島みずほ参院議員と訪ねた。「死刑執行停止の申し入れ」を死刑廃止を推進する議員連盟(亀井静香会長)の事務局長として、12月末の死刑執行の危険性が高まっていることから、急遽申し入れを行ったもの。法務大臣室で約20分、懇談した。「世界の趨勢は死刑廃止で、お隣の韓国でも死刑制度はあるものの執行モラトリアムが続いている。129カ国が長勢法相は、「大臣就任時には死刑執行をしろというメールが多かったが、最近は逆に執行しないでくれというFAXやメールが増えている。法相がハンコを押すとひとり死ぬのだから重いですね。ただ、被害者のことや司法制度の結論を尊重することも考えなければならない。悩ましいことです」と語った。(申し入れ文は末尾に添付するので、興味ある方はお読み頂きたい)

会談を終えた長勢法相は「うちのタウンミーティングは問題ないでょ。すでに出来上がった制度の宣伝なんだから」と言った。私が、法務委員会で「司法制度改革タウンミーティングに『やらせ』はないのかと追及してきたからだろう。「そうじゃないでょ。検事や法務省関係者が大量動員されて国民の席にいること自体が問題なんですよ」と応酬した。今日の東京新聞でも司法制度改革タウンミーティング問題が指摘されているが、「何が悪かったのかなあ」という漫然とした意識はぬぐえないようだ。

国民は、司法制度の詳細について知らない。だから、プロである自分たちがサポートしなければならないという「親切心」だというが、その素直な感覚が怖い。裁判員に対して、「過去の判例でこういうケースは死刑です」「専門家はこう言っています」「あの弁護士は問題があり、過去に依頼人から懲戒請求を受けています」などのサポート情報を何気なく手渡したり、また耳元で囁けば「素人の裁判員」が受ける影響は多大だろう。

さらに、検察官とは「国家権力」を集約的に体現している存在であり、事件捜査から、起訴・不起訴の判断、そして求刑と「独任官庁」とも呼ばれるほどに強大な権力を手にしている。近年の捜査内容には、「粉飾」や「偽装」といった真実をねじ曲げ、仮装したりする行為を犯罪として摘発する場面も多くなってきている。私は、かつて刑務所で製造されたと「偽装」されていた家具が、実際には輸入品で組み立てや梱包のみがなされていたことを批判しその製品表示を改めさせたが、今回の法務省の司法制度改革タウンミーティングへの関与は、「国民との直接対話」を「偽装」し、「国民からの発言」を「捏造」し、一問一答を役所が仕切って無事やり終えるという「官製イベント」だった。「何が悪いのか」という彼らの本音があちこちから漏れてくるので、しばらくの間、一緒に考えてみたい。

[添付資料]

2006年12月19日
法務大臣 長勢甚遠殿 「死刑執行停止の要請書」
 
私たち「死刑廃止を推進する議員連盟」は1994年4月の設立以来、死刑存置国として日本の行刑事情、諸外国の刑罰制度の状況について、様々な角度から議論を積み重ねてきました。2003年には重無期刑の創設、死刑臨調の設置、死刑臨調の審議期間には死刑執行を停止することなどを盛り込んだ「死刑執行停止法案」を検討し取りまとめました。

一方で、日本政府は毎年死刑を執行しており、直近では2005年9月に南野知惠子・元法務大臣が死刑を執行しました。国会閉会中に執行したため、委員会審議を行うことができませんでした。このような執行は死刑問題についての本格審議に蓋をするものであり、到底許されるものではありません。

しかし、その後就任された杉浦前法務大臣は、大臣就任時に「死刑執行にサインはしない」との発言をされたことは、記憶に残る出来事でした。今年9月の小泉内閣総辞職の際には、法務官僚から死刑執行へのサインを強く求められたと伝え聞いていますが、杉浦前大臣はご自分の信念を曲げることなく、執行をしないという英断をされました。

死刑制度をめぐる世界の趨勢は、すでに129の国と地域が死刑制度を事実上廃止しており、日本と米国を除いて、全ての先進国は死刑を廃止しています。アジアにおいては、韓国が1998年以降、死刑を執行しておらず死刑廃止の特別法案が国会で審議されている状況にあります。台湾では死刑制度の廃止を具体的な方針として打ち出しています。また、フィリピンでは今年6月に死刑廃止法案を可決し、再び死刑制度が廃止されました。

国連などの国際機関が指摘するように、死刑を廃止してきた諸外国は、死刑制度存廃に関する世論の動向に左右されることなく政治が主導して死刑を廃止してきました。日本でも加害者への厳罰化が叫ばれる中、世論の動向に左右されることなく、政治の場で死刑制度のあり方についての本格的な議論と取り組みが、開始されることが求められています。

長勢法務大臣におかれましては、死刑を執行するのが大臣の責務と一律に考えるのではなく、死刑制度のあり方を提起することもその職務の一つであるとご認識いただき、法務大臣就任期間中は死刑を執行しないよう、強くお願い申し上げます。

死刑廃止を推進する議員連盟


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