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 今日の東京は、冬の寒さがゆるんで、春の兆しを感じる天気となった。会議に、取材・調査に駆け回る日々の合間に久しぶりに足元を見る時間を持った。ただ、リビアではカダフィ政権が包囲され、軍がデモ隊を空爆し多数が死傷するといった事態に陥っている。チェニジア、エジプトと続いた民主化を求める人々の動きは、北アフリカから中東湾岸諸国へと広がった。とくにリビアは産油国でもあり、内戦にでもなれば世界経済への悪影響が懸念される。また、ニュージーランドのクライストチャーチを、市街地の直下型地震が襲った。夕方のニュースでは阪神大震災に匹敵するビルの倒壊や、瓦礫に生き埋めになった人など多数の被害が出ている模様。日本人留学生も被害を受けているようだ。無事を祈りたい。

 石原都知事が「四期目に出馬しない。後継に松沢神奈川県知事」というニュースが飛び込んできた。神奈川県知事が東京都知事に転職するというだけの話ではないようだ。松沢氏は1993年に新生党で当選し、96年には新進党、2000年には民主党で当選している。民主党代表選挙に立候補したこともある衆議院議員当時の松沢氏は、小泉純一郎氏との共著『郵政民営化-日本再生の大改革』を出版している。2003年に当選した松沢知事は、当初から石原都知事の強い応援を得ていたことが記憶にある。

「外形標準課税」に失敗し、「新銀行東京」に都税をつぎ込んで蒸発させ、「オリンピック誘致」に巨額の税金を消費して、有害物質で汚染された東京ガスの土地を買い取っての「築地市場移転」を強行する石原都政の「継承者」として最適と目されたのか。先日出版された『黒い都知事 石原慎太郎 (一宮美成+グループ・K21・宝島社)を読むと、石原都政の裏面に財界・政界とブリッジしながら巨大な開発プロジェクトを進めていった軌跡が、これでもかというほどに詳述されている。これを読めば、石原都政を転換させるような都政が誕生するのを恐れているのは石原氏自身ではないかとも思える。松沢神奈川県知事を後継指名するということの裏で、どんなシナリオを準備しているのか注目していきたい。

石原都政がしゃにむに進めた昨年12月の「東京都青少年条例」問題は、都知事選挙でしっかりと検証し、過ちを正す機会を生かすことが必要だ。昨年、大反響を呼んだ問題だが、予算審議で民主党が混迷を深くしていて、政治的な構図がしっかり見えない。元民主党であり、松下政経塾出身であり、かつて郵政民営化で小泉純一郎氏と盟友であり、石原氏が推すという存在はつかみ所がないようにも見えるが、もし今日流れたニュースが本当だとすれば、予想外の役割があるかもしれない。

 小泉改革の名で進められた規制緩和は、東京では巨大なビジネスチャンスを生み出した。青息吐息だったゼネコン救済のためにつくられた「都市再生プロジェクト」は、指定地域の容積率規制を取り払い、高層ビルが林立する再開発地区をいくつも生み出した。こうした巨大開発の総仕上げが「築地移転」だと言われている。小泉政権と、石原都政は両輪の車の如く呼吸をあわせて回転し、「異論」「反論」を許さないマスコミの論調に助けられて、その問題点は隠されてきた。

 国政レベルの「政権交代」は、「改革」の名の下で特権層が利権を独占した政治に対する国民の審判だった。「痛み」は庶民、生活者だけが押しつけられた政治を拒否するという審判だった。ところが、内閣の主要政策が「消費税」「TPP」と様変わりして、小泉政権時代の「改革族」が与謝野大臣を筆頭に次々と復活しているように見える。政治の座標軸がねじ曲がり、混濁した状況になっている時に、もう一度「選択可能な座標軸」を打ち立てることが必要だ。

 



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