滋賀県知事に嘉田由紀子さんが、当選した。自民・民主・公明の3党相乗りの現職候補に対して、3万票の差をつけて振り切ったのだから快挙だ。全国で5番目の女性知事となった嘉田さんは、新幹線新駅建設を既成事実化する県政に対して、「もったいない」と建設凍結案で問い返し、環境社会学と水の専門家として正面から勝負をかけた。
選挙のプロからすれば、信じがたい結果だろう。「何としても新幹線の駅をつくります」ではなくて、「新幹線の駅をつくるな」というメッセージが共感を呼んだのである。武村正義知事を生んだ滋賀県らしい、環境問題と地方の財政健全化へ向けた賢い選択だった。従来型の大型公共事業に依存した票田対策よりも、「孫や子どもにツケを残さない」という嘉田さんの訴えが勝った。
2日は、東大阪市・市長選挙でも自民・公明推薦の現職候補が、共産推薦の元職候補に僅差で敗北している。小泉政治の神通力は「選挙の強さ」にあったはずだが、4月の衆議院千葉7区での敗北からその神話は凋落の坂を転げ落ちている。
昨年の9月の郵政解散で、小泉総理を支持した人たちの多くは「小泉自民=改革勢力」と勘違いして投票しているのである。水需要とは無関係に大型ダムを建設したり、また経済効果の冷静な分析もなくツケを後世に残す形で新幹線新駅をつくるような政治はやめましょうというのが「改革を止めるな・自民党」だと思っていたから、50年前と変わらない発想で利益誘導と票田対策をやり、議席を持ちすぎたので「憲法改正」「教育基本法改正」「共謀罪導入」「防衛省昇格」と国家主義の色彩が濃いレトロ政治に急傾斜している自民党に共感出来ないでいる。
ポスト小泉で政治は変わらないし、「自民党の亜流」が自民党と選手交代する「政権交代」ではこの国の政治は変わらない。嘉田さんの今後の活躍を、知事選挙で支持をした社民党議員として大いに期待し、後押ししていきたい。
「何をやっても変わらないよ」というあきらめムードから、 やれば出来るという挑戦モードに日本の政治が転換していくポイントが訪れているかもしれない。
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