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昨日は待ちに待った衆議院予算委員会の質問席に立つ順番がまわってきた。午後1時からの民主党の原口一博さんも1時間にわたって「かんぽの宿等一括売却問題」を取り上げ、彼の質問とうまく連携をしながら午後4時半からの30分間、日本郵政の西川善文社長を参考人に呼んで質疑を始めた。12月26日、日本郵政がオリックス不動産と会社分割にともなう株式譲渡契約締結にいたる経過をたどりながら、いわゆる「入札経過」を確認していった。このブログで書き続けたように、日本郵政は1月28日には「公開競争入札と同類のもの」と文書回答し、また2月4日には「単純な『競争入札』は馴染まないものと判断し」と同じく文書回答している。「何度もヒアリングで確かめ、文書で回答いただいているが、西川社長、間違いないでしょうね」と念をおした。答弁席に立った西川社長は、「一般競争入札ではありません」と小さな声で証言した。エエッーと議場に静かなどよめきが走り、後方に座る鳩山総務大臣が身体を揺らす。

 そもそも、世田谷レクセンターも譲渡物件に入れて「競争入札」としてホームページにアップしておいて、「企画提案コンペ(随意契約)」だったとしても最終締切り(10月31日)後に、世田谷区にあるテニスコート21面もある7500坪の一等地を譲渡対象から外したら、これは「競争入札」とも、「企画提案コンペ(随意契約)」とも言えなくなる。つまり、それ以前に入札手続きは吹っ飛んで「密室の商談」と化すのである。はたして、この世田谷レクセンターを外した理由は何だったのか、外した日はいつだったのか。

西川社長は答弁席で「11月中旬……11月20日」と答えた。「レクセンターはスポーツ施設で、かんぽの宿の全国ネットワークとの関連性が低い」と除外理由を述べているが、それならなぜ最初に「世田谷レクセンター」が一括譲渡先で入っていたのか。日本郵政が告知をした4月1日と、11月20日では不動産の景況も相当に違う。リーマンショクから本格的な不況の波が日本に押し寄せてきたのが10~11月だから、「ラフレさいたま」と並ぶ優良目玉物件(50億円前後)だったが、価格面でどうしても外さなければ契約締結が難しい状況となったのではないか。

 日本郵政の告知を見てヨーイ、ドンで走り出したのが、27社。予備審査では「400億円を提示したという企業グループは予備審査ではねられて、22社に。そして、第1次締切りまでに15社が辞退して3社に、第2次締切り(10月31日)までに1社が辞退して残り2社になった「入札最終締切り」(この手続きを入札と呼ぶのも抵抗があるが)から20日経過してから「世田谷レクセンター」という目玉物件が外れた。日本郵政は、第2次締切りの3社にのみこの事実を伝え、他の「競争参加者」には何らの告知を行なわなかった。これでは、競争入札とは呼べないではないか。

 鳩山大臣も「こんなのは入札と言えるのか。変更したなら、一からやり直すべきだ」と怒る。「大新聞が鳩山の横やりだといってずいぶん批判した。『入札は公平に行なわれた』ということが前提でものを言っている」と溜飲を下げた様子。私は「昨年はずいぶん異なる意見を言い合ったが、今回の鳩山大臣は横やりを入れたのではなく正面から急所を突いたのです」とエールを送っておいた。

 ところで、日本郵政は会計検査院の検査対象である。国の出資が100%なら当然のことだが、そんなこともあまり知られていない。国の機関ではないから、総務省に日本郵政株式会社が届け出ている規定で契約手続きを行なわなければならない。その「規定」をみると、「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3種類しかない。この「規定」にのっとって契約を締結しているのなら「指名競争」か「随意契約」のふたつしかない。どれだと西川社長に質問した。

「今回のは一般競争入札ではなかった。競争と企画提案の複合だった。事業を継続するための雇用確保や事業戦略も見た」と答弁。「複合」とは苦し紛れだったが、日本郵政がこの手続きを「競争入札」と告知したことは、参加検討企業や社会を欺罔したことになる。事実、業界紙は「日本郵政、一般競争入札で」と書かれている。業界紙だけでなく、この問題が浮上してから取材・調査不足の社説ライターも含めて、ほとんどの人が「一般競争入札」だと勘違いしてきた。「勘違い」をさせられたといった方が正確かもしれない。これで゛衆議院予算委員会で「かんぽの宿一括売却問題」集中質疑を求め早期に実現していきたい。

衆議院TV→2月6日→予算委員会→保坂展人

今回の質疑は、週末のひとときにぜひ見て下さい。

関連記事も紹介します。

東京新聞

入札過程で高額物件外す 
かんぽの宿 選考めぐり西川社長『一般競争ではない』
2009年2月7日 朝刊

 鳩山邦夫総務相は六日の衆院予算委員会で、「かんぽの宿」の一括譲渡契約の入札の在り方について「疑念だらけだ」と述べ、入札を行った日本郵政の対応を厳しく批判した。

 鳩山氏は「(入札に参加しようとした)二十七社が最終的に一社になっていく過程が非常に不透明」と指摘。

 入札の最終段階で、譲渡対象が一部削除されるなど不自然な動きがあるとした上で、「こんなものは入札といえるのか。変更したなら、一からやり直すべきだ」と述べた。

 譲渡対象の除外について日本郵政の西川善文社長はこの日の答弁で、当初は売却対象に入っていた「ゆうぽうと世田谷レクセンター」を入札締め切り後に除外したことを明らかにした。

 高額物件が最終段階で除外されたことは特定企業に有利に働いた可能性もあるが、西川氏は不透明さが残る一連の経緯について「今回のは一般競争入札ではなかった。競争と企画提案の複合だった。事業を継続してもらうために、(各社の)雇用確保や事業戦略も見た」などと説明した。

 これに対し、社民党の保坂展人氏は「同物件は五十億円規模の目玉物件だが、最終審査に残った社以外には変更を告知していない。公平な入札とはいえない」と、世田谷の物件を除外した経緯を今後も追及していく考えを示した。

共同通信

かんぽの宿、目玉物件を除外 入札条件、最終段階で変更

 日本郵政の「かんぽの宿」の一括譲渡問題で、同社が売却先選考の最終段階で、当初売却対象だった東京・世田谷区の「目玉物件」を除外し、入札条件を途中で変更していたことが6日、明らかになった。同社は、この物件が宿泊施設と無関係だったことから除外したと説明するが、最終段階での突然の条件変更だったことから、譲渡に応募した全事業者に変更内容は伝わらず「公平な入札とはいえない」と不透明な経緯に批判が上がっている。

 日本郵政の西川善文社長が、同日の衆院予算委員会で社民党の保坂展人氏に経緯を説明した。

 対象から外されたのはスポーツ施設の「ゆうぽうと世田谷レクセンター」(土地面積約2万4000平方メートル)。温泉旅館の「かんぽの宿」と異なり、宿泊施設はなく、屋内プールやフィットネスジム、体育館などがあり、敷地の大半をテニスコート21面と駐車場が占める。運営はスポーツクラブ業者に委託。

 日本郵政によると、レクセンターは、事前審査と第1次選考を通過し、最終審査に残ったオリックス不動産など2社による入札締め切り後の昨年11月20日に除外。西川社長は予算委の中で「レクセンターはかんぽの宿の全国網との関連が低く、適正な評価が得られないと判断したため」と理由を説明した。また日本郵政は「第1次入札参加者に、当社が譲渡対象をいつでも変更できる権利をもつことで最初から同意を得ている」と問題はない、としている。

 しかし、保坂氏は「レクセンターという50億円前後の(値が付く)目玉物件を外しながら、最終審査に残った2社以外に変更を告知しておらず、公平な入札とはいえない」と不透明な入札の経緯を指摘した。

 鳩山総務相も6日の衆院予算委で「どうして(入札に応募した企業の中から)多くの辞退者が出るのか。こんなものは入札といえるのか」と、入札経緯に強い不信感を表明した。

引用終了






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