昨日、9時20分頃から『ニコニコ生放送』に出演した。アクセス総数は2万を超えて、コメントも10万に近かったという。スタッフによると、「抜群に多い方、これからも取り組んでいくのでよろしく」とのことだった。この出演にあたっては、事前にメールでたくさんの御意見をいただいた。ありがとうございました。すべてを番組で話すことは出来なかったので、そのメールの一部を匿名で今日は紹介しながら、議論を掘り下げてみたい。
①初めてメール致します。 どこどこ日記、いつも読ませて頂いております。
今回、東京都の表現規制条例について、都民として非常に危機感を抱いております。 さて、すでにご存知のことと思いますが、東京都の都条例改正案のあまりにもひどい内容が話題になっていますね。
性描写や反社会的描写などの表現規制、流通・小売への弾圧、無意味なまでに強化された年齢制限、「自主規制」の強制、フィルタリング義務化、ネットカフェ本人確認義務化などなど…狂気の沙汰です。
ことに、東京都での規制は、出版や流通が東京に一極集中している現状からして、まさに業界そのものの危機に直結します。 私は都条例改正案の全廃を支持すると同時に、このような案を支持している石原都知事、自民党、公明党に深い失望を覚えます。
〔保坂コメント〕
都条例は「一地方条例」ではないというのは明らか。出版社や、映像・アニメなどの制作・配給関係者が集中しているので、国会の権限を飛び越えた「メディアコントロール」の役割を果たすというのが、今回の規制問題のポイントです。
②最初から性表現の機微に触れるより、まずは「今回の改正条例案は憲法違反のおそれが高い」という大原則に触れて欲しいです。
その為には今回の条例案に関して憲法学者からコメントを取って欲しいです。時間が限られていますが、重要だと思います。 現在の規制反対派議員の動きを見ると(<twitter上でのつぶやきやブログなどを参考にしています)、現時点では未だ憲法学者へのコメントを求めていませんし、理論的後ろ盾が乏しいように見受けられます。規制推進派は規制するにあたっての根拠・データに乏しく、ほぼ奇襲・ごり押しを進めている状況ですので、こういう時こそ論理的な後ろ盾が必要だと思います。
〔保坂コメント〕
憲法の下に法律があり、そして自治体の条例がある。その条例が「憲法」を足蹴にしたり、無視・逸脱することは許されないし、もしそのような条例が存在したら「違憲条例」として効力を問われることになる。「憲法19条 思想及び良心はこれを侵してはならない」「憲法21条 集会、結社、表現の自由はこれを保障する。検閲はこれをしてはならない」など、東京都議会で明日行なわれる議論も、憲法との整合性の論議を尽くせば、とても採決することにはならないはずだ。
③さて、昨年の国会以来私は表現規制の問題について関心を持ち、知人と意見を交換したり、新聞社に記事に取り上げるよう要望したり、ほんの僅かですが自分なりに行動してみました。そして現在感じていることは規模の大きい運動体か何かを結成するべきではないか、ということです。
残念ながら、民主主義は数です。数がなければ、力がないのと同義であると、私は考えています。表現規制について反対の立場をとっている人びとはたしかに存在しているはずなのですが、組織として一体となって行動しているというわけではありません。いくつかある団体も、足並みは揃っていないように思われます。政党とまでは言いませんが、一定の規模を持った組織を結成しなければ、規制の波に立ち向かうことはできないと私は考えます。政治家、弁護士、大学教授、評論家と、「権威付け」できる人材が揃っているのを思うと、「何とかできないか」ともどかしい気持ちになります。
〔保坂コメント〕
この可能性は出てきているのではないか。これまで「青少年健全育成」と言えば、「PTA連合会」や道徳秩序派の「常識論」しか政治の場に影響を与えることがなかった。日本の政治の歴史の中で、今回の都議会審議をめぐる状況は、数の上では圧倒的に多いが、「政治回路」を持てなかった人々が初めて姿をあらわした場面だったのではないか。
数を組織していくことは大事だが、既存の圧力団体や権威主義的な軍隊組織を真似たグループではなくて、インターネットや小グループの連合体という特性をいかして「100万人」がまとまりになれば、今回の都議会の事態を未然に防ぐことが出来る。
④国会での論議でもあったように、人の心の中を裁くような法律は、絶対にあってはならないと思います。 今の警察、検察にこのような法律の執行を委ねるのは、とても容認できません。
児童ポルノについては私もあってはならないものと考えますが、作成者、販売者を厳罰にすることで十分ではないでしょうか。 ぜひ、先頭に立って頂いて絶対に阻止をして頂きたいと思います。
〔保坂コメント〕
私も政治の内情を知る立場から、極力発信していきたいと思います。けれども、みんなが力を合わせないと無理だから、「非実在青少年」を取り締まり、「実在文化」を殺すような愚策を転換させよう。
⑤「子どもの人権」と「表現の自由」を「搾取される側」と「搾取する側と」いう対立図式に仕立てて表現するのは非常にインパクトがあります。児童ポルノに関しては東南アジアでの児童搾取労働などを扱ったドキュメントや映画が数多く製作され放映されているので国民からすれば混同しやすいとも言えます。
あえて混同させているとも言えますが。論点は単純所持の処罰であるのにあえてユニセフ親善大使を広告塔にすることで国民自らも規制に賛成することに意義を見出すことになります。恐ろしく単純な世論操作であるからこそ処罰されるのは赤の他人と考えてしまう。
正確な情報を伝えようとすれば児童の性を欲する鬼畜のレッテルを貼られる。規制に反対することが社会的に不利益な立場に陥ることを見透かした卑劣な動きだと言わなければなりません。表現の範囲にとどまらずセクシュアリティなど性的マイノリティの存在自体を消し去ることが最終的な目的ではないかと考えざるをえません。
〔保坂コメント〕
児童ポルノ禁止法の問題点は、御指摘のように「児童ポルノ」に規制を限定するのではなくて、「児童ポルノの周辺、外縁」に大きく規制の風呂敷を広げていることにある。本来、「子どもの人権」とはトータルに語られるべきもので、「マンガ・アニメを規制」という東京都青少年条例は、子ども自身の意見や評価を聞くべき事柄だ。「すり替え」「混同」に対抗する論理は、風呂敷の全体で何が包まれるかを明らかにすることだ。
たとえば「痴漢」「性暴力」の取り締まり」は誰しも賛成だろうが、そのはるか外側にいる人まで「未然拘束」するということになれば、さすがにおかしいという声があがるだろう。今回の都条例は「社会の風潮」「マンガの間違った傾向」を叩き直すという精神運動の側面も強調されている。それを「太陽の季節」という道徳的でも健全でもないと思える小説で一世を風靡した都知事が行なっていることに問題がある。
⑥今年の2/24に、東京都議会に提出された「東京都青少年保護条例改正案」に断固反対いたします。この法案では守るべき子供を守ることはできず、冤罪を増やし混乱させるだけです。
ただ持っているだけで犯罪者でもないのに現行犯逮捕、会社・自宅のパソコンに画像を送られたりすると捜査または逮捕の恐れ、「外見・声が18歳未満」かどうかは警察・裁判所が判断し家宅捜索、「性的好奇心を満たす目的」の判断は警察・検事が行うなど、その人の判断だけで犯罪者にする事ができるという恐ろしい法案です。こんな法案が通ると日本は免罪大国になってしまいます。
実際にアメリカやイギリス等、規制をしている諸外国では冤罪被害者が出ているのが現状です。イギリスでは、2004年に行われたOperation Oreで、32名の自殺者が出ているそうです。 それと「単純所持を禁止していない」と日本が世界で非難されていると言いますが、単純所持規制国アメリカでは日本の18倍、カナダでは43倍、イギリスでは7倍と単純所持を規制している国では性犯罪が日本よりも遥かに多いことが調べると分かります。更にイギリスの例ですが「単純所持禁止」の1978年から強姦・誘拐件数が急増していると言うことです。
日本弁護士連合会も「児ポの単純所持は処罰の対象とすべきではない」と反対を強く表明しています。 日本が「児ポ大国」などと言われていますが、イタリアの調査団体によると日本の児ポサイト数は世界で12位、1位のドイツの2139数と比べて日本はたったの6数、しかも殆ど外国人がレンタルしてたそうです。この情報だけでも日本が「児童ポルノ大国」というのは嘘の報道だと言うことがわかります。
更に「単純所持を規制していない国」は日本とロシア以外にも、全世界で138カ国あり、単純所持規制をしたからといって犯罪が減るという根拠もありません。 去年の6/26の法務委員会で同じような事を訴えていた人達も、自分たちの感情論だけで何の根拠もデータもなしに規制と言っているのを聞いていて恐ろしくなりました。
〔保坂コメント〕
まさに児童ポルノ禁止法改正の問題点をあげてくれた。都条例に目を奪われているうちに、国会でも何やら動きが出てきている。昨日の参議院法務委員会で千葉景子法務大臣が、「国会の中で議論が深まり、議院の中で立法化が見えるに至っている」と答弁した。法務省筋からは、「国際会議に出る前に、児童ポルノ法の目鼻がついていないとまずい」と千葉大臣も焦りを感じているとの観測も流れている。「代用監獄」「死刑」など、国際社会が強く非難しているのにおかしいね、と民主党の代議士から聞いた。
以上、メールをくれた人たちへのコメントです。日本に民主主義を取り戻すために頑張ろう。

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