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岩波書店の『科学』3月号が、『教育を変える脳科学』という特集をしている。
一昨日の文部科学委員会で、「教育再生会議と脳科学」の関連を質した際に参考にした。特集にあたって、理化学研究所脳科学総合研究センターユニットリーダーの津本忠治さんは、この特集について次のように述べている。

脳科学の知見から教育や子育への示唆を得ようとする試みは有意義な場合もあるが,誤解あるいは拡大解釈にもとづいている場合も多い.子どもは,複雑で多様な自然および社会環境の中で育っていく存在である.したがって,子どもの心身を健やかに発達させるには,多種多様な脳機能を偏らずに十二分に発達させることが望ましいと思われる.偏りのない全人的な教育への配慮が不可欠であろう。(津本忠治)

この特集記事の中で、専門家やジャーナリストが『神経神話が問いかけるもの』という座談会を開いていて、よく論点がまとめられているが、、座談会の後で、
『教育現場で「神経神話」がはびこる背景』という記事を、座談会を終えて松村京子さん(兵庫教育大学大学院教育研究科、臨床・健康教育学系)が書いている。直接に「脳科学」や「親学」とは関係ないが、あまりにショッキングなので紹介しておく。

ありがとうという言葉をかけて水を凍らせるときさいな結晶になり、ばかやろうと言うと汚い結晶になると写真入りで書かれている本の話である。その本に感化された小学校の先生が教材化して道徳教育を行なっているという、思わず「ほんまかいな」と関西弁でつっこみを入れたくなるような話である。(『科学』07年3月号
260ページ)

その本の名は『水からの伝言』(江本勝・波動教育社)だった。民間教育運動の実戦例として紹介され、「道徳」の時間に現実に使われたことで問題となっている。改めて驚くしかないが、「神経神話」としての「ゲーム脳」が俗説として教育現場に影響力を持っていることを考えると、徹底した論議が必要だと思う。

[追記] 「美しい国」に向かう教育現場では、『水からの伝言』問題はずいぶん以前から問題になっていたようだ。このブログを書いたら、母親の立場から『水は答えを知りません』というブログがあったことを知った。

(引用開始)

昨日、息子の保護者会に行ってきた。
先生が「ぜひ見てほしいビデオがある」と、話を早めにきりあげて40分ほどビデオ鑑賞。

hado.com/info/video.htm

あえてリンクはらないけど、↑こんなビデオ。なんか先生、これに今、はまってるって感じで、すごく感銘受けて、紹介したい!って感じ。子どもにも道徳の時間に見せたそうな。しかし、わたしは「あやしい」としか思えなかった。

「水が結晶になる」
ふ~ん、まあ、水だって結晶くらいできるだろうねぇ
「音楽を聞かせると結晶がどんどん大きくなる」
結晶が大きくなると何かいいことあるのか?っていうかこれ、ズームしてるだけじゃん。

ここまではまあ、許せた。しかしビデオが進んでいくと、「水に文字を見せる」とか、みんなで手をつないで輪になり「お水さん、大好きです!」と言葉かけをしていく…。すると水はきれいな結晶になる…。

ここまでくると、ほとんど宗教めいてくるというか、をいをいをいをい、といった感じ…。

(引用終わり)

私はつい最近この話を知ったが、問題は相当以前から起きていたようだ。「道徳」から「徳目」へと教科化を提唱する教育再生会議の押し進める「教育改革」の中で、「何でもあり」状況が生まれてしまうおそれもある。国会でしっかり議論をしていきたい。

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