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急浮上してきた共謀罪とは何か
政治
/
2006年03月05日
3月3日、大阪で開かれた講演会で、ひさしぶりに共謀罪のことを1時間話した。共謀罪とは、いったい何なのか。どこに問題があるのか。いろいろと例をあげて、話をすることにする。集まったのは約90人、半数近くが弁護士や法律関係者で、その他に市民運動や労働組合の人たち、新聞などで知った人たちなどだった。
2週間ほど前に、共謀罪をテーマに東京で開かれたシンポジウムで「共謀罪の話を彼女としていて、結局、悪いことをしなければそんな法律が出来ても、いいんじゃないかって言われて、しまった。そんな声にどう答えたらいいのか」という趣旨の発言があり、耳に残った。こうした素朴な入口のところで、わかりやすい言葉でこの問題を語らなければならない時期に来ている。
なぜなら、共謀罪は「成立直前」まで来ているからだ。2日に開かれた法務委員会理事懇談会で「与党修正案に対して民主党から返事をいただきたい。あとふたつの法案を処理して条約刑法(共謀罪のこと)に入りたい」という自民党側からの発言があり、民主党の出方次第で通常国会の早い時期での決着を迫らされる危険もあるからだ。
私のところにも、早川忠孝議員(自民)から与党修正案が手渡された。(この修正案については後日、詳述する)
共謀罪について、よく知る人だけが反対していて、圧倒的に多くの人たちは「知らない」「関係ないでしょ」と無反応だ。メディアが取り上げないせいもあるけれど、話だけだと「凶暴罪」とも聞こえてきて「普通の人の普通の生活には関係ない」法律と感じるし、「共謀罪」という文字を見ても「悪いはかりごとをたくらむのはいけないでしょ。犯罪っぽいことしなかったら関係ないよ」――ということになる。
「悪いことをしなくても、悪いことを考えたり、話し合っただけで犯罪となるのが共謀罪なんだ。悪いことを考えたり、言ったりしなくても、運悪くその場に同席しただけで、共謀罪の容疑者になる場合もある。これまでの刑法は、殺人などの重大犯罪を除いて、
犯罪を行った(既遂)か、行おうとした(未遂)の場合に罪を問うた。ところが、共謀罪は犯罪を計画・企画した段階で罪となる。団体・組織として行おうとしたケースのみに限定されていると法務省は強調するが、「2人以上は組織」として見なされる。
「悪い冗談でした」ではすまされない。『明日、あの店を襲ってカネをとろう』と言い出した人だけでなく、「こいつ本気かな」と思いながらあいまいに無言でいた周囲にいた人も対象になる。なぜなら、共謀の場に同席していたと認められるからだ。その場にいたひとりが警察にかけこんで「共謀していました」と自首すると、最初のひとりは刑が軽くなる。(自首減免) 共謀罪の容疑がかけられると、「心の中で犯罪計画に同意していたかどうか」も捜査の対象となる。
この共謀罪の対象となる犯罪は、「長期4年以上の刑を定めるもの」で、「団体の活動として、組織で行われる」「遂行を共謀した者は(準備行為は不要)」「原則懲役2年以下(死刑・無期10年以上の犯罪の共謀は5年)」となる。たとえば、商店街の青年部で、ひそかにドブロクをつくり周囲からの評判がいいので、インターネットで販売して利益をあげようと計画した(酒税法違反)でも成立するなど幅広い。法務省などは、「犯罪を目的とする集団でなければ、そもそも共謀罪の構成要件を満たさない」と反論するが、「すでにネット販売を企画する以前に周囲に販売していた=犯罪行為」だから、このグループは違法なドブロク製造で「犯罪集団」となっているので、共謀罪適用の条件は満たしている。
そもそも共謀罪は、国際組織犯罪防止条約による国内法整備のために創設される。条約の目的は、国境を超えたテロや麻薬犯罪、資金洗浄(マネーロンダリング)に国際社会が対抗するためだと言われている。商店街の青年部がドブロクをつくり販売したとしても、国際組織犯罪とは何の関係もないのだが、今回の共謀罪の前提に複数の国をまたぐ「国際性・越境性」をつけることに法務省は関心を持っていない。
犯罪は、段階的に進行する。「共謀(単独の場合は犯行決意)→予備(犯罪の具体的な準備)→未遂(実行着手)→既遂(犯罪の実行・結果の発生)」の4段階である。重大な犯罪でも未遂の手前で引き返す者に対して処罰はされない。また未遂でも途中で中止をした場合に刑は減免される。犯罪を実行しようとした者がその実行直前に良心に呼び戻されてくる「黄金の橋」と呼ばれるもので、犯罪者を押しとどめ犯罪被害を食い止める重要な場面である。
今回は「共謀」段階での処罰される。ところが、共謀罪は「未遂」「中止」がないと私に対して法務省は答弁している。3人で犯罪計画を練って一度解散して、翌朝に「バカなことを俺たちは考えたな」と笑いあっても「昨夜、共謀罪は完成したから逮捕」という話になってしまう。重大な犯罪に入りかけた場合でも未遂、また実行中の中止があるのに、一番手前の共謀になぜ「未遂」「中止」がないのか。
さらに「共謀」の定義はなにか? を昨年10月の法務委員会で私は問い詰めた。すでに起きた犯罪に対して用いられる「共謀共同正犯」の「共謀」と同一かどうかを問うと、「同一だ」(法務省刑事局長)との答弁した。当初の法務省答弁は「たんに漠然とした相談だけでは足りず、犯罪の目的と対象、手段と実行にいたる手順、役割分担など現実性をもった合意が必要」だと答えてきたが、審議で大きな矛盾を抱え込むことになった。
平成15年5月最高裁判決は、暴力団の組長の前後の組員が「拳銃所持」で逮捕された事件で、組長の車からは拳銃は出てこなかったものの「暗黙の共謀」(組長だったらボディガードの組員が拳銃を持っていることを黙っても知っていただろう)ということで、共謀共同正犯を認める判決(判例)を出した。まさか、共謀罪でこの判例を適用しないでしょうねと問い質すと、どうやら法務省は「暗黙の共謀もあり」という立場を告白した。
とすると、「言語なし、いよいよ時が来たと、リーダーの目が威光を放ったという場合でも共謀罪は成立するのか」と問い詰めると、「一定の条件がそろって、犯罪計画が実行前であった場合は、目配せでも共謀罪は成立する」という答弁。
団体の定義も問題だ。「共同の目的を有する多数人の結合体」という組織的犯罪処罰法(99年成立)の定義にそって、「団体・組織による犯罪計画」に対して共謀罪は適用される。法務省は、「一般の市民運動や労働組合に適用される心配はなく犯罪を目的とした集団」と限定されていると答弁。しかし、「組織的犯罪対法のコンメンタール(逐条解説)」には、「暴力団に限らない」「共同の目的を有する集団とは営利を追及する会社でもかまわない」と書かれている。
この矛盾を追及すると、この解説は「誤解を与える表現である」と法務省は逃げた。
最初は簡単に説明すると言いながら、だんだんややっこしくなった。何度かブログに共謀罪のことを書いていき、「短くてわかりやすい定番」をつくりあげたいと思う。今日はこのへんで。
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そもそも共謀罪は、国際組織犯罪防止条約による国内法整備のために創設される。条約の目的は、国境を超えたテロや麻薬犯罪、資金洗浄(マネーロンダリング)に国際社会が対抗するためだと言われている。商店街の青年部がドブロクをつくり販売したとしても、国際組織犯罪とは
[政治]共謀罪、対象は犯罪集団に限定 与党修正、民主に提示
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