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 またもや「児童ポルノ禁止法」の「与野党合意」が成立したという情報が流れた。具体的にはTBSのニュースが報道したものだが、実際はどうだったのかと民主党の担当者に聞いてみると、「持ち越しになった。まだすべて合意したという段階ではない」とのことだった。ならば、なぜ「与野党合意」のニュースが流れたのかと聞くと、与党側が記者レク(ブリーフィング)をしたからではないかとのことだ。

児童ポルノ画像所持、原則禁止で合意(TBS)

 今の国会で審議されている児童ポルノ禁止法の改正案をめぐって自民・公明・民主党の3党は、これまで禁止されていなかった児童ポルノ画像などを所持する行為についても、原則禁止することで大筋合意しました。

[引用終了]

 このようなニュースは、一面の真実を伝えているものの正確ではないようだ。そこで、今日の段階で把握出来た限りの状況を記しておくこととする。「一面の真実」と書いたのは、たしかに大筋の合意出来る点が拡がったということのようだ。
もっとも隔たりのあった「単純所持規制」については、与党と民主の案を折衷する方向で話し合われているが、結論は出ていない。一方、3号ポルノに代表される「児童ポルノの定義」についてはまとまっていない。「マンガ・アニメ、ゲーム」などを対象とした条文については、付則から外す方向で協議が進んでいるようだが、これも結論には至っていない。

 今までブログで問題点を指摘してきたように、与党案は、「3号ポルノ」の条項を残したまま、単純所持の処罰規定を導入しようとするものだった。その結果、法務委員会の審議では、写真集の「サンタフェ」やジャニーズJrが上半身裸で歌うのは児童ポルノだ、所持者は与党案の施行後、1年以内に廃棄せよ、という驚くべき主張が与党案の提案者からなされ、これが大きな反響を呼んだ。「3号ポルノ」の条項がある限り、単純所持規制が導入されれば、警察の恣意的捜査を許し、えん罪の続発は免れないのではないか。

7月6日にブログに掲載した「児童ポルノ改正案の最新版『論点整理』」

では、日本ユニセフ協会が開いたセミナーでFBI駐日代表が児童ポルノを取り締まるためには共謀罪が不可欠であるかのような話をしていたことに触れた。関係者から、セミナーの様子を詳しく聞いた。駐日代表は、児童ポルノの摘発のために、4大ツールを用いていると報告したそうだ。

1.通信の傍受や映像の監視
2.マフィアなどには潜入捜査
3.共同謀議での逮捕
4.故意の所持は犯罪

これが4大ツールだ。

 また、首都大学東京の前田雅英教授は、3号ポルノが現実の運用で一番有用と力説。多少表現の自由等の人権を侵害してもバランスの問題だと語っていたという。

 こうなると、ことは児童ポルノだけの問題ではない。日本ユニセフ協会のセミナーは『法改正の次にくるもの~法執行の取り組みと課題について~』というタイトルだった。「次にくるもの」は、言論の自由も表現の自由もない、監視社会なのだろうか?

 与党案・民主党案の修正の動きがたいへん気がかりだが、児童ポルノ改正案の「論点整理」に記した問題点・疑問点をきっちりただしていきたい。与野党の修正協議は「継続中」だが、日取りも未定とのことだ。それもそのはず、都議会議員選挙の結果次第で、麻生内閣退陣か解散・総選挙になだれこむかもしれないギリギリの状況だ。こんな時だからこそ、「表現の自由」にかかわる法案審議には慎重な扱いが求められるべきだ。

 たくさんの方々が、手紙やメールでエールを送ってくれた。少なからぬ人からカンパを頂いたり、後援会に入ってもらったことに感謝したい。ホームページ内に情報をさらにアップしたので紹介しておく。

「保坂展人と元気印の会」へのご入会・ご寄付のご案内
 

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