今回の鳩山新政権が目玉とするのは、国家戦略局と行政刷新会議を車の両輪として「政治家主導で官邸機能を強化する」というプランである。御祝儀報道の期待値も加わって、とくに国家戦略局のイメージが肥大化し「ひとり歩き」をしているように感じる。連立政権協議を通して、社民党は民主党に説明を求めた。連立政権の運営にあたって、「内閣一元化」を主張する民主党が、与党間のどこで意見交換し相談をしたらいいのかという素朴な疑問を抱いたからである。その議論の前提として「国家戦略局は国会議員、有識者何人で形成するのか」「国の基本方針を策定するのなら、構成員の下で企画官・専門官などの実務スタッフを民間の専門家を活用して稼働させるべきだと考えるが、組織図はどうなるのか」などの説明を受けて、それでは「内閣一元化」の鳩山政権の与党になった場合に、政権運営にどのように意見を反映させることが出来るのか私たちなりに考えてみたかったからである。
先週、民主党から返ってきた回答は「国家戦略局について説明出来る人はまだいません」ということであり、その後に、民主党から社民党に与党協議機関を「国家戦略担当大臣を軸として社民党、国民新党から入閣する大臣(党首・代表クラス)の3人で基本政策閣僚会議」として確保したいという回答が示された図が送られてきた。私が注目したのは、このペーパーには国家戦略局の前身である「国家戦略室」が、内閣官房副長官の下に置かれていたことである。仮に、10月の臨時国会で国家行政組織法改正をともなう「政治主導確立法案」(仮称)の成立までは便宜的に副官房長官の下に置くという技術的なことだとは言っても、国家戦略担当大臣→国家戦略室と実線で結んでおいて、官房副長官とは破線(……)で結んでおけばいい話である。
しかも、目玉である国家戦略局の具体像について情報が極端に限られている時期に、民主党が対外的に示した図に表示されて位置は重い。16日には国会が召集されて首班指名があり、鳩山新総理が誕生する。そして、ただちに組閣が進んで、同日鳩山内閣が発足するはずだ。私も世紀の政権交代に心から拍手をするひとりだが、だからこそ民主党自らが国家戦略局について、当面の準備室という姿だけではなくて、組織図と権能、スタッフと職務範囲の全容を国民に判りやすく説明する時期ではないか。いいものが準備されているからこそ時間がかかっていると期待したいが、やや膨張しすぎた期待値が失速することのないようにしてほしいと心配でもある。

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