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今年1年にわたって「格差社会」のことを考えてきた。例えば、国民年金では暮らせない、生活保護世帯の受給額の半額以下だという声が「年金問題」で溢れていた。誰がどう考えたって、国民年金支給額の引き上げが政策課題だろう。しかし、「小泉・竹中」構造改革病にかかると、まったく逆の結論を出してくれる。「生活保護世帯支給額を国民年金並に削減せよ」という逆転の発想だ。正規雇用と非正規雇用の賃金格差がそんなにひどいなら、正社員の給料が高すぎるのだ。収入のいいサラリーマンには、時間あたりの残業手当を支給することなしに雇用が出来るように制度改革したい。これか残業代ゼロのホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)だ。

厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会分科会は27日、労働時間規制を撤廃するホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)導入を労働側委員の反対を押し切って決定した。厚労省は年収8百万-9百万円程度以上を想定しており、働く時間の裁量が広がる一方、残業代が支払われなくなる。東京新聞の一口メモによると、

 <メモ>ホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外) 1日8時間、週40時間の労働時間規制が適用されず、働く時間の自己裁量が広がる代わりに、残業代が支払われない制度。もともとは米国の労働時間制度の一つで「管理や運営、企画の仕事をする労働者を対象とした適用除外」との意味。「制度導入の検討を進め、2006年度中に結論を出す」とした規制改革・民間開放推進会議の3カ年計画が3月に閣議決定されたことを受け厚生労働省が導入を検討していた。(東京新聞・
12月28日)

ということだ。「年収の高いサラリーマンは、労働時間の自己決定権が与えられるのと同時に、残業代がいくらなどという請求はしませんよ」という制度だ。ベトナム反戦当時のフォークの神様、岡林信康が『それで自由になったのかい』の歌声がよみがえってくる。この制度導入によって、企業の労働分配率はますます下降し、年収4~6百万円の中堅層も賃金下降圧力を受ける。会社のヒエラルヒーが健在である以上、上層の賃金下降は最底辺にまで影響する。間違っても、格差解消にはならず、「勝ち組」は企業や政治家、資産家の二代目、三代目だけという澱んだ社会になる。

労働時間の自己決定権を本当に行使するなら、「家に帰って食事して、昼寝してからまた戻ります」と平然と言えるような職場環境でなければならず、末梢神経まで「会社人間」という日本人の企業文化から考えると、残業代だけがゼロになるという結果を生む。やりたい放題の自民党政治に対して、全国一斉のストライキを構えるぐらいのことをやらないと労働組合の存在意義はなくなる。

来年の国会での大きな政治テーマだ。

この問題についての社民党政策審議会・阿部知子会長談話はこちら→










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