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衝撃のニュースが流れてから一晩が明けた。自らの政治資金について、国会で答弁を拒み続けていた松岡農水大臣が自殺をはかったという第一報を聞いたのは、午後1時頃だった。昨日は、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「拝礼式」があった。毎年、世界各地の戦跡から収集される第2次世界大戦の軍人・軍属の遺骨を厚生労働大臣が納骨するという儀式である。安倍総理や遺族代表、各国大使、各党代表も参列した。私も社民党代表としてそこにいた。厳粛な儀式の中、鳥が二羽さえずり、やがて羽ばたいて行った。そんな静かなひとときを破るように上空でヘリコプターの音がした。さらに、マナーモードにしていた携帯電話が何度か震えた。儀式が終わると、「松岡農水大臣が自殺をはかり重体」とのメールが入っていた。やがて、「心肺停止状態」と伝えられ、その後には「亡くなった」との報道が続く。驚きとともに、突然の訃報に故人のご冥福をお祈りしたい。

 誰もが不可解で、説明が通らずに、理不尽だと思ったのが松岡大臣の「ナントカ還元水」の事務所光熱水費問題であった。「年間507万円」にふくれあがった事実はついに明らかにならなかったが、松岡大臣は率直に謝罪して、思い切って事実を語ることがなぜ出来なかったのだろうか。大臣を辞職することや、国会議員を辞職するという選択もあったはずである。なぜ死を選んだのか……残念でならない。

「ナントカ還元水」と一回は言いながら、詳しいことは語らず「後ほど説明します」との約束を翻してだんまりを決め込んだ。その後の松岡大臣の答弁は「法律に基づいて、法律に定められたとおりに手続をとっている」という何度もリピートする枠内を一歩も出ないワンパターンに終始していた。これは、松岡大臣の判断にとどまらず、政府・与党の方針ではなかったか。

私は松岡大臣の「ナントカ還元水」に関しての質問主意書を内閣に向けて提出したが、3月16日に答弁書(安倍内閣で閣議決定)は、内閣まるごと松岡大臣の言い分を擁護し、固めた内容となっていた。

(保坂質問)光熱費を含む事務所費について、閣僚は率先して情報開示を行うべきではないか。
(内閣答弁)お尋ねは、個人の政治活動に関するものであり、現行法では、個別の支出内容についての報告は求められていない。

 安倍内閣は最後まで松岡大臣を問題なしと守り続けた。私の答弁書で述べた「個人の政治活動は、現行法で個別の支出内容について報告を求められていない」という内閣見解と、「閣僚は率先して情報開示をするべきではないか」という私の問いかけとは噛み合っていない。裏返して読めば、「法が求めていないので、閣僚は情報公開をする気はない」と居直っている。こうした内容の答弁書を閣議決定したという事実は重い。松岡大臣も閣僚のひとりとして、この閣議決定(質問主意書答弁文)に縛られた。

 さらに今朝の朝日新聞には、鈴木宗男衆議院議員のHPに見逃せない記載を紹介した記事がある。

24日夜に松岡大臣と会った時のやりとりが書かれている。「明日、決算行政監視委員会で私が質問するから、国民に心からのお詫びをしたらどうか。法律にのっとっている、法律に基づいてきちんとやっていますと説明しても、国民は理解していない。ここは、国民に土下座し、説明責任が果たされていませんでしたと率直に謝ったほうがいい」と進言したら、「ありがたいお話ですが今は黙っていたほうがいいと国対の、上からの指示なのです。それに従うしかないんです」と弱気な言いぶりだった。

 閣僚が国会で何を語るのかについても、国会対策委員会(略称=国対)の指示が枠をはめていたとしたら、内閣からも国対からも、がんじがらめに縛られて、松岡大臣は前に一進一退さえ出来ないがんじがらめの状態になっていたのではないか。

教育基本法「改正」、教育関連3法の衆議院通過と、昨年から今年にかけて長時間にわたって、安倍内閣の志す「教育再生」の論理と向きあってきた。「愛国心」や「規範意識」についても掘り下げて考えてきたつもりだ。しかし、子どもを指導しようという前に政治の場で起きていることを問わなければならない。昨日、今日のニュースを子どもたちも見ている。大きな影を、小さな心に宿してしまうような結果になっていないか。

安倍総理は、緑資源機構の捜査と松岡大臣の自殺の関連性について、「松岡農相の取り調べを行なってきた事実はないし、これからその予定もない」と捜査当局者のコメントを「本人の名誉のために」と断って紹介している。政治家が介在しているかもしれない事件捜査について、総理がここまで「捜査対象ではない」と言い切ることに不自然なものを感じる。通常、東京地検は捜査中の事件について、玉虫色のコメントしか出さないものである。伊吹文部科学大臣もコメントを求められて「緑資源機構」の件をあげている。捜査はひたひたと周辺に及んできていたのではないか。

どのような事情が突然の「大臣の死」の引き金になったかは判らないが、新築まもない赤坂の衆議院議員宿舎で、現職閣僚のままに自殺したというのは、戦後60年にわたってなかったことだ。異常な事件であることを忘れてはならないと思う。毎日、テレビや新聞はやるせなくなるような事件の血なまぐさいニュースが続いている。そして、政権中枢で起きたこの事態は今、感じている以上に大きな影響を与えるに違いない。

重ねて、松岡大臣のご冥福を祈ると共に、「死」に瀕しているのは、この国の「政治」であることを自覚して、その再生の道をめざすための歩みを続けたい。





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