今朝の朝日新聞(12版・13面)に『出入国管理、日英、審議に差』という特集記事が掲載された。指紋・顔写真の生体情報をめぐって、イギリスでは「法案修正・否決を繰り返し」たが、日本では「議論低調、政府案素通り」と比較している。日本の入管システムを請け負う会社が、米国の指紋管理システムを担当するアクセンチュアだったことも問題になり、検察・国税などのシステムにも関与していることや、私が情報管理について追及したことも紹介されている。ただ、紙面を読む限りにおいては「自動化ゲート」の主な対象が外国人ではなくて、日本人(及び定住外国人)であることが分かりにくい。任意の希望者が、指紋を登録し電子情報化されたICパスポートと併用して、長蛇の行列を横目に出入国審査を行うというもの。
実は、共謀罪騒動で5月半ばから審議凍結していた法務委員会が会期末の6月13日に一般質疑をしている。時間は短かったが、私はこの問題を取り上げている。ここで、法務省の三浦入管局長は「アクセンチュアは計画・立案の『システム最適化計画』を作成しているので、事業委託はしない。ただし、側面からチェックし支援する工程管理は行うことが出来るとガイドラインが今年3月に変更になった」と答弁している。質問をする前に役所の人たちと雑談して驚いたことがある。
「テレビ局には『外資規制』があるのに、なぜ政府機関に規制はないのかな」と何気なく聞くと、「いえ、逆に『外資規制をしてはいけない』ということが決まっているんです」という話だった。「いつ決まったの?」と聞いても要を得ない。『外資規制』ではなく、『外資規制禁止』が決められていたというのも興味深い。
日本政府が自ら外資規制を撤廃するはずがない。どのような経過で、「規制撤廃」の要望が出され、政府内での議論はどのように行われたのか。じっくりと調査を進めていきたい。
(追記)「これは参考になりませんか」と読者からメールをいただいた。最近、良く知られるところになった米国政府による日本政府に対しての『2003年・年次改革要望書』の一部だ。さっそく以下に紹介だけはしておきたい。
IV. 情報システムの調達改革の促進
電子政府計画および2003年の重点計画において示されているとおり、日本はすべての政府レベルにおいて行政手続きのデジタル化を引き続き行う。さらに、電子政府計画によると、すべての省庁はその「古いシステム」を完全に更新し、政府全体で相互運用性を高めることを目的としている。米国は、この変革により、日本がその電子政府システムの開発において独占技術への依存を減らすかもしれないことを認識している。政府による既存の商業製品の利用拡大への移行は調達者間における革新と競争を刺激し、その結果、市場アクセス機会を創造することができる。IT調達分野における公平な活動を確保するため、日本は引き続き、IT調達手続きにおいて積極的に改革を実行することによって、開かれた競争、透明性、技術的中立性、民間主導の革新の諸原則を促進しなければならない。米国は日本政府が以下の措置を取ることを提言する。
IV-A. 2003年5月19日に省庁が採択した了解覚書に列挙されている措置の実行と効果をモニターし評価する。特に、米国は以下のことを日本に提言する。
IV-A-1. CIO連絡会議に対し、省庁間の調整を改善し、非差別、透明で公平な情報システム(製品およびサービス)の調達を確保するため、IT調達改革を監督する権限を与える。
IV-A-2. 低い価格の入札やその他の反競争的行為を防止するための措置の効果を客観的に評価する方法を整備する。
IV-A-3. (2003年の両国首脳への報告書に従い)省庁がすべての新しい手続きをどのように実行しているかのフォローアップ調査から得たデータを公表する。
IV-A-4. 了解覚書によって実行されているIT調達手続きを改善する方法について民間からフィードバックを得るため、2003年度中にパブリックコメント手続きを行う。
IV-A-5. 政府に価値ある民間の専門知識をもたらすCIOの補佐に、その職務を公平にまた客観的に行うための明確な指針を提供する。
IV-B. 政府のIT調達改革を強化するため、以下の措置を含め、追加的措置を実行する。
IV-B-1.調達獲得に関する情報を、タイミング良く、透明で誰でも入手できる形で公開する。
IV-B-2. 総合評価落札方式(OGVM)調達のためのSDRを引き下げ、より広く実行可能とする。
IV-B-3.入札評価をプロジェクトの初年度予算ではなく所有権の全コストにより行うことで、情報システムの調達においてライフ・サイクル・コストの使用を奨励するため、より柔軟な予算手続き(例えば、複数年契約)を促進する。
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