TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




8月30日投票の総選挙の結果、私たちはしばらく続いた「連続大量処刑」のベルトコンベアを止めることが出来た。千葉景子法務大臣は死刑廃止を推進する議員連盟の会員であり、死刑執行には慎重な立場をとるとしている。

 ぜひ政権交代のこの機会に死刑をめぐる大きな政策転換を引き寄せていきたい。早い時期に千葉大臣が死刑執行に踏み切る可能性はきわめて少ない。しかし、たんにモラトリアム(執行停止)が続くだろうと楽観出来るような状況ではない。

 裁判員裁判が始まり、初めての死刑判決が多数決で下されるのはいつだろうか。被害者が多く凄惨な事件などの審理の結果、死刑判決が続くような時期に、「死刑執行を止めているのは、国民が選んだ刑罰を実行しない越権行為だ。早く死刑執行を再開しろ」というような世論をメディアが煽り立てる危険性がある。

 その時に「国民的な議論」を開始していることが、絶対的な条件ではないか。「死刑と終身刑」「死刑と裁判員制度」「死刑と冤罪」など議論すべきテーマは大きい。「死刑制度を廃止しようとする側も、存置すべきだという側も、また、どちらにも傾斜出来ないという側も含めた幅広い議論が必要だ。

 死刑廃止議員連盟は、2003年に「死刑制度調査会」構想を法案にして提出した。死刑制度についての国民的な議論の場を、衆参両院に置くというプランだった。この議論をしている2年間の間は死刑執行の停止を行い、死刑と無期懲役の間に終身刑を創設するという内容だった。

 また、2008年には、裁判員裁判において全会一致のみ死刑判決を下すことが出来て、死刑多数の時には罪一等減じて終身刑とする内容の法案に改めた。「死刑判決・全会一致」と「終身刑創設」に法案の内容を変更しているのだ。

 改めて今、「死刑制度調査会」構想をもう一度考えてみる時期になった。日本では、いまだに死刑の存廃について公に議論されたことはない。「死刑など法律で決まっているのだから議論する必要がない」という議論を封じ込める姿勢は認められない。たとえば、「絞首刑」が残虐な刑罰か否かを実証することも必要不可欠だろうと思う。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 総務省の「顧... 水源連総会、... »