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上原ひろ子×保坂展人

「社民党は頼りにならない…」そんなこと言っている場合ですか?


昨年秋、教育基本法が危うい時期、保坂展人が市民やNGOに呼びかけて、教育基本法改定反対への行動を取ろうという相談会が開かれたました。その席で、保坂は上原ひろ子さんと初めて出会いました。国立市長を2期務め、見事に後継の関口ひろしさんを当選させてバトンタッチ。参院選への挑戦を要請してきた保坂展人が、上原さんにインタビューしました。

保坂 以前、「茶色い朝」というお話をされていましたけれど、今どういう時期だと思いますか?

上原 静かに、気がつかないうちに民主的な手続きをもって、実にたくみに善良な人を変えていくという仕組みが「茶色い朝」。安倍さんはソフトな顔をしながら、今まで誰もやらなかったことを平気でやっている。大変な時代になってきたなあと思っています。こんなことまで言っていいのか、というくらいひどいことでも言えるようになってきた、それほど世論が弱くなってきたと思うんですよ。そんな中で希望をもてるのは、無防備都市宣言という運動が全国で広がっていること。表だってはいないけれど、ひょっとして怖いな、と思っている人が潜在的に意外といるという証なのかも知れません。

保坂 ウェブサイト上での「マガジン9条」の発起人ですね。どういうきっかけなんですか?

上原 イラク派兵の直前、忘れもしない2003年12月21日、私たちが著名人に手紙を出して呼びかけ、1月11日1時11分、全国どこでも「反対」という意思表示に音を鳴らしましょう、とインターネットを使って発信しました。結果的にたった3週間後に集会が全国で14カ所、すごいなという実感があったんです。若い人にアピールするにはインターネットを使うのがすごくいいということがわかって、1年かけて「マガジン9条」ができたんです。1ヶ月10万というすごいアクセス数です。

団塊のエネルギーもう一度
保坂 昨年秋の教育基本法反対の時、段ボール2箱くらいのファックスが届いたのですが、今回の教育3法案は国の管理を強める具体策が入っている法案なのに、ほとんど声が来ない。諦めた人たちが多かったのかなと。残念な状態が続いていて、今政治や市民に問われていることはなんだと思いますか?

上原 国会を取り巻く勢いがなくなってきたことをどうするか。議員も対応しきれないということがあると思うんですよ。だからこそ、ずっと運動をやっている人たちと連携をとりながら、その力を国会の中に届けていくというキャッチボールを上手にできないと世論にはなりにくいと思うんですね。国立市で景観問題が最初に起こったときに、次々と市民が裁判をやった。モグラ叩きみたいにやりきれなくなったところで、市長=首長を変える方が早いよ、ということになったんです。運動をする側が元気にならなくてはならない。数の上では国民が圧倒的で主権者なわけだから、希望がもてるような仕掛けをこちらから仕掛けていく。選挙はそのきっかけになるんですけどね。

保坂 上原さんも団塊世代で、あれだけ幅広く当時の政治権力に対して批判をした世代が、企業の中堅、管理職になれば今後何か起きるんじゃないか、という期待と神話があったんですね。今、定年退職を迎えるかつての同年代の人たちに対する思いは?

上原 これが一つのチャンスで、私がつなぎ役になる意味があるかと思っているんですが、おっしゃるように時代を背負ってきているという思いは消せないんですよね。何か懐かしみながらああいうエネルギーがあったなあ、と。それをもう一度出していいんじゃないの、という気持ちをみんな持っていると思うんです。この時代だからもう一回はっきり言おうよというのは、とても共感を得るんじゃないかな。

保坂 市議会議員を経て、国立市長を8年間務められた。まずどういうことに取り組んだのですか?

上原 市民自治の復権を目標にして出たので、あらゆる手段を考えて、市民参加が当たり前というところをどう仕掛けるか、それに尽きます。計画づくりに参加するだけでなく、街をつくる担い手として事業の実施にどの程度市民がかかわれるか、といろいろ仕掛けをしましたね。景観裁判、住基ネット…山ほどやってきたけれど、やはり市民の力と行政とのパートナーシップでこんなにできるという実験がいっぱいあった気がします。これが「元気」「希望がもてる」ということですね。

市民と社民党の「つなぎ」役に
保坂 今回劇的に市長を辞め、後継の関口ひろしさんを推してものすごく駆け回られたと聞いています。関口さんが当選されて、憲法状況がこういう時代の中、国政への決意をしていただいたんですが、決断の理由は何ですか?

上原 正直言って、残りの人生、自分なりの生き方をしたい思いつつ、平和の運動だけはやり続けようと思っていました。保坂さんや福島党首の猛烈なアタックについに陥落したというのもあるけれど(笑)、決定的だったのは、一緒に「マガジン9条」をつくってきた仲間たちが「出る選択肢しかないだろう」と言ってくれた。「戦争を知っている人はもう5年先にはいないよ」という言葉が叫びのように聞こえて、そうか最後のご奉公をやらなくてはならないか、と。団塊世代の背負ってきた宿命でしょうか。のんびり言っていられない。

保坂 上原さん自身は市民の立場、無所属で活動されてきたのですが、私たちも「社民党を、市民の使いやすい、多くの人が元気に入ってこれて希望がもてる党につくり変えてほしい」と強くお願いした。

上原 政党に対する一定の距離感が市民運動にはありますが、かといって無所属では国会では活動しにくいでしょう。また、選挙で選ぶ時に多くの人が消去法で選ぶ。弱そうだから社民党いらないかというと、絶対になくしては困る。いろいろな市民運動の窓口になって、本気で国会に伝えてくれる議員が必要だと思います。今の国会状況では、憲法9条をなんとか堅持できるような勢力を結集しなきゃならないわけだから、大同団結するための市民運動の受け皿づくり、私はそのためのつなぎ役になりたいですね。(5月19日 保坂事務所にて)

上原ひろ子 プロフィール
1949年5月3日宮崎生まれ。憲法記念日に生まれたため「公子(ひろく憲法を伝える子)」と命名される。法政大学大学院中退。東京・生活者ネットワーク代表、国立市議を経て、99年国立市長に初当選。2期8年務める。住民基本台帳ネットワーク離脱や景観を守るための建物の「高さ条例」制定などで全国から注目を集めた。今夏の参議院選・社民党比例代表予定候補。




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