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今日の朝日新聞と東京新聞に注目すべき記事が掲載された。共謀罪の創設にあたって、与野党の攻防が続いたこの1年間、野党側が要求してきたのは「国際組織犯罪条約」起草時の外電等、日本政府の立場の変遷が理解出来るような資料を提出せよということだった。ところが、外務省は「外交機密。条約交渉過程は相手国の立場もあるので、全面的に公開することは出来ない」の一点張りで拒絶を続けてきた。私たちは法務省をはじめとした日本政府の立場が、「共謀罪など現行法体系になじまない」と主張してきた経過はすでに明らかになっているし、「組織犯罪集団の関与」を条件とするようにすべきだという日本政府の主張も抑制的なものだった。今日、明らかになったのは、「共謀罪」「参加罪」ではない第3のオプションを条約起草課程で日本政府が提案していたという大ニュースである。


「国際組織犯罪防止条約を批准するには、共謀罪創設が不可欠」とする政府が、実は、国連で「共謀罪は日本の法体系になじまない」と主張し、共謀罪を導入せず条約に加わろうとしていたことが、一日、民主党や日本弁護士連合会の調査で明らかになった。共謀罪必要論を根底から揺さぶる事実だけに、臨時国会で野党の厳しい追及を受けるのは必至の情勢だ」(東京新聞2006年10月2日)

今から7年前、1999年3月8日~12日まで、『国連国際組織犯罪条約起草のためのアドホック委員会に提案した条約3条(現在の5条)の参加罪に規定に対する修正案及びその提案理由』という文書(原文は英文=海渡雄一氏訳)がある。その書き出しは、この国会で私たち野党のみならず、与党議員にも共通して存在した「共謀罪への違和感」を率直に語っている点で興味深い。

「日本は、この条約草案において最も重要で挑戦的な条約3条について、提案する。この条項は締約国に対して、組織犯罪集団に参加することを犯罪化する義務を課すことによって組織犯罪と闘う効果的な手段を提供するであろう点で重要なものである。そして、挑戦的というのは、共謀罪・参加罪の導入が各国の国内法制度の基本的原理と関係するからである」

そして、こう続く。

「3条(現在の5条)が、共謀罪と参加罪の二つのオプションを設けていること自体、困難性を示している。二つのオプションによって、英米法系のシステムにおける概念に基づいた犯罪類型と大陸法系のシステムにおける参加罪という概念に基づいた犯罪類型から選択できる」

そこに無理があるのではないか、という正当な主張が展開される。

「しかし、この条約を世界各国が締結できるようにするためには、(英米法系・大陸法系以外の)世界の他の法制度を持っている国も受け入れられるようにしなければならない」

私たちの主張と重なるし、以前から読んできた『国連立法ガイド』とも重なる。さらに、「主張する外交」を体現する日本政府の立場表明は明快だ。

「日本の国内法の原則では、犯罪は既遂か未遂段階に至って、初めて処罰されるのであり、共謀や参加については、特に重大な犯罪に限定して処罰される。従って、全ての重大な犯罪について、共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない。しかも、日本の法律は、具体的犯罪を実行しないで、ある犯罪組織に参加すること自体を犯罪化する規定を有していない。それゆえ、参加行為の犯罪化を実現するためには、国内法制度の基本原則の範囲内で実現するほかない」

こうした日本政府の提案に対して、韓国・中国・タイなどが賛同して、「締約国は国内法の基本原則に従って必要な措置を取る」というフレーズが条約に書き加えられた。さらに、第3のオプション、すなわち『参加して行為する』ことを犯罪化することを考慮に入れなければならない」とした日本政府は「第3のオプション」を具体的に提案していた。

「重大犯罪を実行することを目的とする組織犯罪集団の行為に参加することであって、当該行為に自ら参加することがその犯罪の成就に貢献することを認識しているもの」

参加罪をさらに一般的な組織犯罪団体への参加の犯罪化とせず、「犯罪行為への参加」「犯罪の成就に貢献すると認識」まで絞り込んでの提案だった。

 日本には共謀共同正犯理論や教唆罪、ほう助罪があるため「広義の参加罪」なら、ほぼ現行法のまま条約批准可能とされる。日弁連関係者らは「政府が、日本の法体系を壊さずに批准しようと条約原案を変更させたことがはっきりした。共謀罪必要論の虚偽を示す重要証拠だ」としている。導入に前のめりな安倍晋三首相らは民主党などの厳しい追及を受けそうだ」(2006年10月2日東京新聞)

法務委員会の開催が楽しみである。





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