非姉歯物件が確認されて、問題が広がっているからこそ注意喚起したい問題がある。それは、旧都市基盤整備公団が東京郊外で開発・分譲したマンション46棟から次々と欠陥が見つかって、全面立替え・大規模改修を行っているという件だ。すでに投入した金額は300億円と聞くから驚くではないか。02年11月の衆議院国土交通委員会でこの問題を私は追及している。しかし、これだけ大規模な欠陥住宅問題はあまり知られず、今だに誰が責任をとったか分からない状況である。
昨年の4月30日のどこどこ日記にも詳しく書いているが、平成17年度中で300億円投入されるのがほぼ確実となった。明日の衆議院予算委員会で都市再生機構理事長が現状を答弁するはずだ。問題は、300億投入して終了していないという点にある。昨年の読売新聞の記事では、この不始末で都市再生機構が出費するのは600億円という予想で、今回の姉歯物件に対しての「救済措置」が80億円だったことを思い出せば、すさまじい金額であることがわかるだろう。
もっと不思議なのは、誰も責任をとっていないということだ。施工業者が悪かったのだ、当時の資料がもうなくて不明の部分があるから調査するとのらりくらりと言い抜けて、誰ひとり処分されたという話を聞かない。さらに首を傾げてしまうのは、300億という巨費を投じた現在ですら都市再生機構がどうやって巨額の工事費を捻出しているのか国会に対しても説明がない。日本の欠陥マンション事件史上最大の不祥事が責任追及されず、あまり大きく報道されない不思議。もし、この問題が明らかになった3年前に国土交通省がしっかり調査し、原因を究明し、対策を打っていれば、今日の耐震偽装問題の途方もない広がりにもストップがかけられたのではないか。
明日の予算委員会では独立行政法人都市再生機構(旧都市基盤整備公団)小野邦久理事長を呼んで、莫大な後始末をしなければならなかった責任を問いかける。当然ながら、理事長は国土交通省の初代事務次官からの天下りである。民間確認機関への開放を促進した小川忠男氏も副理事長としてこの組織に天下った。読者は御存知の方が多いはずだが、この都市再生機構は「姉歯物件」の救済スキームに登場する独立行政法人と同じだ。審議に注目してほしい。
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