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 裁判員裁判が始まっている。
 長すぎる「解散・総選挙」の政治日程の合間で、裁判員裁判の開始が大々的に報道されたが、「裁判員が質問した」と大騒ぎしている法廷の実況中継には強い違和感を感じた。また、犯罪被害者の法廷参加も作用して検察側の求刑に近い判決が出たことも、私たちが指摘した通りだった。まもなく、「裁判員裁判で初の死刑適用」が焦点となる事件が話題となるのも時間の問題だろう。裁判官・検察官という司法官僚に挟まれて「市民の法廷参加」が形式的なものに終始することがないように見直しが急がれる。

 酒井法子さんの失踪→そして逮捕事件も、この間のメディアを大きく騒がせた。この事件の副産物は、裁判員制度広報のためにつくられた『審理』というDVDの使用中止騒動である。酒井法子さん自身が裁判員として出演をしているこの映画を初の裁判員裁判に参加した裁判員・補充裁判員も見ていた可能性がある。裁判員裁判の開始とともに『審理』に出演したタレントが逮捕されるなどという予想外のアクシデントに最高裁も頭を抱えているに違いない。この裁判員広報で垂れ流された巨額の税金のあり方も問題にしていきたい。

いま話題の「裁判員制度」PR映画の主役は酒井法子だった

●7000万円もかけた最高裁の困惑

「タイミングが悪すぎた」――。広告関係者が苦笑いするのが酒井法子(38)の一件だ。夫の高相祐一容疑者(41)が覚醒剤取締法違反で逮捕されたショックから失踪したとニュースになっている。

 夫が逮捕されたのは3日の未明なのだが、どういう偶然か、この日は東京地裁で初の裁判員裁判が開かれた日でもある。実は酒井と裁判員制度には浅からぬ縁がある。最高裁はこれまで裁判員制度の広報用アニメや映画を製作しているが、その最後を飾ったのが酒井主演の「審理」だった。

 酒井扮する平凡な主婦がある日、殺人事件の裁判員に選ばれ、審理の過程で困惑する姿を描いたドラマ。1時間もので製作費は7000万円。最高裁は08年4月から、この映画のDVD5万枚などを全国の学校、図書館、裁判所に配ったほか、現在は最高裁のHPにもアップされている。誰もがパソコンを使って観賞できるのだ。

 広告関係者が言う。

「時間をかけてやっと裁判員裁判が始まったのに、同じ日にPR役の主演女優の夫が逮捕とあっては、最高裁も立場がないでしょう。しかも酒井にまで逮捕状が出て、警察沙汰になっている。最悪のタイミングです」

日刊ゲンダイ2009年8月7日掲載)

 さて、6月26日、都市センターホテルでのパーティーで伊藤真さんと「憲法から見た裁判員制度」を語り合っている。どこどこTVにupしたので御覧いただきたい。





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