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 激しい寒暖の差で、昨日から関節が痛み、風邪をひいてしまった。
真冬ではなく、春先に身体もゆるんで油断したのか、久しぶりに休息した。今日は、衆議院国土交通委員会で「品木ダム堆積土砂のヒ素汚染問題」が取り上げられた。質問したのは、民主党の新人の熊田あつしさん。1月中旬に『週刊朝日』で私がレポートし、2月11日には前橋での市民集会で報告された内容が、ようやく表に出ようとしている。

〔引用開始〕

八ツ場ダム上流から高濃度ヒ素 国交省は非公表

 群馬県の八ツ場ダム予定地の上流にある品木ダム(同県六合村)で、湖底の堆積物から昨年3月、農地土壌の環境基準の約350倍に相当する1キロ当たり最大5300ミリグラムのヒ素を検出していたことが4日、国土交通省の資料で明らかになった。同省は検出を公表していなかった。

 八ツ場ダム予定地の吾妻川支流で、国交省が環境基準を超えるヒ素を検出しながら公表しなかった問題に関連し、民主党の熊田篤嗣衆院議員が資料を請求していた。5日の衆院国交委員会で追及する方針。

 国交省資料によると、農地の環境基準が土壌1キロ当たり15ミリグラムなのに対し、4カ所の測定で堆積物1キロ当たり5300~28ミリグラムのヒ素を検出した。熊田氏は「高濃度のヒ素が蓄積されているにもかかわらず、下流の住民への説明がない。環境への影響も懸念される」と指摘している。

 国交省は、ヒ素検出を公表しなかった理由について「八ツ場ダム建設のためではなく、堆積物をコンクリートの原料などに再利用するための調査だった」と釈明。堆積物については「適正に処理しており、下流への流出の心配はない。品木ダムが流出を防いでいる側面もある」としている。

 品木ダムは、上流の温泉や鉱山の影響で強酸性となっていた吾妻川の水質を改善する目的で、1965年に完成。石灰を投入して水を中和し、ダムの底に沈殿した堆積物を近くの土捨て場に処分している。

(共同通信・47ニュース)

〔引用終了〕

 国土交通省三日月大造大臣政務官が答弁に立ったが、国土交通省がヒ素汚染を把握していたのは、昭和55年(1980年)から把握していたとした。強酸性の河川を中和する中和事業の結果、品木ダムに沈殿していった中和生成物が土砂流入もあって予想外の速度でダム湖は埋まっていった。1989年頃に始まった浚渫作業の結果、土捨て場に土砂を積み上げて処分している。この「浚渫土砂」は産業廃棄物として、品木ダムの付近につくられた産業廃棄物処理施設に「汚泥」として積み上げられている。

「遮水シートはあるのか」という熊田議員の質問に対して、「ありません。これは群馬県の判断によるものです。その理由は、①中和生成物(ヒ素を含む)は、自然状態にある河川から中和過程で取り込んだものだということ。②処分場がダム湖の上流に設置されることから、シートがなくても浸出した水はダムは湖に集まる。③たしかに基準値を超えた年もあったが、周辺河川ははるかに高い数値のため問題がない」との答弁だった。

群馬県が判断したことだという答弁は本当だろうか。現在、民主党の群馬県議会議員の後藤克己さんは、群馬県庁の職員で国の「C土捨て場」の申請を受ける立場だったが、「浚渫土砂」の成分に「ヒ素」が高濃度に含まれているのを見て、遮水シートなどの手当てをしなけば許可出来ないとして許可を降ろさなかったと証言(2月11日前橋市でひらかれた市民団体の集会)していると熊田議員が指摘したように、実質的な「野積み状態」で許可してくれと頼み込んだのは国の方ではなかったのか。



C土捨て場の現況(09年11月30日撮影)

川内博史国土交通委員長は、三日月政務官から事実関係を精査して、ヒ素問題の数値と議論をどのように行なってきたのかを報告するように求めた。この結果に大いに注目したい。ただ、今日のやりとりを見ていて三日月政務官が気の毒になった。この問題での当事者の河川局の答弁は、やはり官僚がやった方がいい。隠蔽の当事者が語ってこそ、真相追及の場面がつくれるのではないかとの感想を持った。

質疑の様子は次の通りだ。

→衆議院テレビ


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