TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




なんと「逆サプライズ」人事だった。自民党役員人事では派閥の領袖を処遇したものの、昨日25日の首班指名が終わってからの新内閣組閣作業は、フタを開けてみたら、何だこりゃの「再任」「再任」「再任」……のラッシュで、防衛大臣に石破茂氏が再登板したのと、文部科学大臣に渡海紀三郎氏が初入閣しただけという「まさか」の人事となった。たしか第2次安倍内閣は8月25日に発足して、わずか2週間でダッチロールを繰り返しながら、9月12日に自爆的に辞任した。しかし、この内閣は第2次安倍内閣だったことは間違いない。安倍氏の政治理念と党内事情のせめぎあいの中から生まれた人事だったはずだ。しかも、自民党総裁選で麻生太郎氏は第2次安倍政権の自民党幹事長として、「安倍内閣」を引き継ぎつつ「改革」を訴え、総理となった福田氏は格差問題や外交姿勢などで麻生氏の主張と距離を置いてきたと伝えられた。けれども、安倍氏の人選をそっくり引き継ぐのであれば、12日間も費やした自民党総裁選は「コップの中の茶番」だということになる。

夏の夜の花火のように「各派閥横断・挙党一致」の大輪の花を一瞬描いたが、次の瞬間には消失してしまう。何でも飲み込む福田丸は、港を出る前に荷物を積み込みすぎている。そして、「存在感を示さなければ」と焦る公明党の要求もエスカレートする。さらに、テロ特別措置法や年金記録問題で民主党との「与野党協議」を福田政権は望んでいる。飲めるものは何でも飲み込んで「解散・総選挙」をのらりくらりと回避して、「自民党沈没ムード」を何とか転換するまでは粘りに粘る。それが、福田丸の海図だという気がする。つかみどころがなく、核心や骨がなく、ただ人の情欲には敏感な『千と千尋の神隠し』に出てきたカオナシにも似ているかもしれない。ただ、人の気を飲み込み、「自民党政権」という歴史的遺物を守るという役割だ。

昨日の首班指名は、開票が遅れて河野衆議院議長が異例の注意を行った。ナント自民党の長勢前法務大臣が一回目に投票用紙を忘れて自分の名前の入った木札だけを持って登壇しこれを手渡してから自席に戻り、ふたたび投票用紙と2枚目の木札を持って壇上で手渡してしまったことから、「投票用紙」と「木札」の数が合わずに事務局がてんてこ舞いした。木札が長勢前大臣の分だけ一枚多かったのだ。珍事はもうひとつあった。「投票漏れはありませんか」と河野議長が呼びかけたところ、民主党の新人議員が手をあげて壇上に行って戻り、再び行くという出来事もあった。こんな珍事が起きるぐらい、緊張感のない首班指名の結果、「居抜き安倍内閣」が誕生したというわけだ。

「ヌカにクギ」という調子の国会にならないように、きちんと準備を重ねていきたい。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 福田首班指名... 日本政府はビ... »