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年金記録問題の迷走で幕引きをはかりたい一心の安倍総理は、今日記者会見を行って「わたしの内閣ですべて解決する」と大見得を切った。報道各社も疑問符付きで伝えているが、「宙に浮いた年金5000万件」と「未入力の年金1430万件(船員保険36万件別)」については意気込みを語るものの、社民党の調査で判明した「棄てられた年金記録」については一切語ろうとしない。社会保険庁が記者団に配布した一覧表には「廃棄51万件」となっていて、本日問い合わせても「必死で調査している」というのみである。昨日で「審議拒否」「調査放棄」のまま国会を強制終了して「年金記録問題」が忘却モードとなることを願っている安倍内閣と与党だが、世の中には論理的に物事を考えるという人が少なくないことを忘れてしまっては困る。

私たちが、昭和17年から32年年までの厚生年金の「旧台帳」の廃棄の追及を行っているのは、年金記録混乱の病根を突き止めるためである。安倍内閣は、「家計簿はいいか、どうか」というレベルの個別審査の第三者委員会の判定基準に話を横滑りさせようと焦っているが、そもそもある時期の記録を「51万件」まとめて棄てたのだとすれば、厚生年金保険法に国が違反して保存を怠ったことによって記録が確認出来ないというケースだろう。記録が出てこないのは、厚生年金の「棄てられた年金記録」以外にも、国民年金の特例納付記録(まとめて保険料を納付する特例納付の紙台帳は全て廃棄されマイクロフィルムになっているが、ここでの欠落が指摘されている)などいくつものジャンルに及んでいるが、社会保険庁の「職員のミス」レベルではない間違ったシステム変更、台帳廃棄や記録消失事故など「万単位」でかつて起きていた「病気(混乱)の発端」があったはずである。その構図を全て明らかにせよ、と私たちは主張している。

今日の読売新聞に興味深い事例が紹介されている。東京荒川区に住む男性(79歳)は戦時中に徴用され、北海道の炭鉱で1年間働いたが、その記録が存在しない。社会保険庁で3回調査してもらったが、「記録」が見当たらないという。

「国が強制的に働かせておいて、記録がないなんておかしい。地下深くに放り込まれ、食事も粗末で毎日下痢ばかり。あの辛い日々の年金を、何とか救済していほしい」と訴える。(読売新聞07年7月5日)

まさに彼の場合は、厚生年金の「旧台帳」記録の問題である。どんなに探しても、「棄てられていた年金記録」だったり、62年間、一度も開封されていない「封印された塩づけ年金記録」だった場合は、「記録」がないという事実には社会保険庁の中だけで引き継がれてきた「理由」があるのである。その構図を国民の前に開示することが、この異常事態からの信頼回復の一歩だろうと思う。安倍総理が力んで「私の内閣で」と強調しても、何の安心も呼ばない。

引き続き、年金記録問題の根本に触れていきたい。





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