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  先週の「電力購入の競争入札」についての記者会見は、予想以上に反応が大きかった。NHKのニュースで取り上げられ、すべての全国紙で報道された。その後、ロイター通信や『週刊朝日』のインタビュー(首都圏駅売り30日・その他31日以降発売)があり、何度かスタジオに行ったこともある『愛川欽也のパックインジャーナル』でも冒頭に取り上げてもらった。ツイッターにも、賛同の声が数多く寄せられ大いに励まされた。

 ところが、よく考えてみると何か特別のことをしたわけではない。 電気事業法も改正され、何度かにわたり大口契約に対しては既に「自由化」されている。価格は東京電力より安い。購入対象の「電力という商品」は、同質均一であり何らの変化があるわけではない。東京電力の送電・配電網を「巨大なプール」に例えると、PPS(特定規模電気事業者)が発電した電力を流し込む量と、配電網で接続するPPS契約者が使用した分が使用量が同一なら「PPS電力が供給された」とみなすというものです。さらに、「接続供給契約」という制度があり、PPS事業者がトラブル等の時は、電力会社(東京電力)から自動的に補てんされる。

つまり、今のところ自治体が「PPS」を選択肢に入れない理由はない。すでに、横浜市(600カ所)、名古屋市(450カ所)など大規模な導入事例もある。霞が関の中央省庁も一部を除いて、PPS事業者と契約している。だから、報道はされるだろうが、そう大きくはないだろうと考えていた。

「世田谷区『脱東電』へ 庁舎や学校の電気競争入札へ(朝日新聞)

東京都世田谷区は、区役所本庁舎や小中学校、区民会館など111カ所の電気について、東京電力からの供給に限らず、各電力事業者による競争入札を実施する方針を決めた。

 昨春、「脱原発」を掲げて当選した保坂展人区長の指示を受けた見直しで、東京23区ではこれまでにない「脱東電」の取り組みになる。

 落札業者の電力供給は4月1日から受ける。区によると、東電が発表した料金値上げにより、今回対象となる施設だけで年間約9千万円の経費増になるという。担当者の一人は「競争入札は経費の節減につながる。複数の業者が入れば全体の安定供給にもつながる」としている。

[引用終了]

 世田谷区が今後、原子力発電の依存から脱出出来ない国や電力会社の状況を見ながら、どのような形で「エネルギー転換」をしていくのか、今回は「最初の一歩」にすぎないけれど注目はそこに集まっていると感じている。 次の記事を見ると、東京23区でも広がりを見せているようだ。

「都内広がる電力入札 東電値上げで19区実施・検討(東京新聞)

自治体が使う電気を、東京電力などの電力会社ではなく、電力自由化で参入した特定規模電気事業者(PPS)から購入しようとする動きが広がっている。首都圏では都県や政令市、多摩地区で競争入札などが導入され、経費削減効果を上げている。東電の値上げ方針で注目度がさらに高まり、東京二十三区では十九区が実施・検討している。 

 電力の小売り自由化は二〇〇〇年に始まった。当初はPPSも少なく、入札を実施しても東電以外に応札がないケースもあったが、PPSの増加と販売対象電力の拡大で、徐々に電力入札の導入が広がった。

 都内の区市町村では、立川市が一〇年度に市営競輪場が使用する電力の供給会社について、PPSらから見積書を出させて選定する方式で、商社系PPSと契約し、年間千六百六十万円(27%)の節約を達成した。一一年度は導入対象を小中学校など五十三施設に広げ、PPS三社と契約し、15~20%の節約を見込む。市の担当者は「効果は十分。一二年度は市役所本庁舎にも導入する予定だ」と話す。

 特別区では、世田谷区が二月下旬に百十一施設を対象に競争入札する予定で、年間計二千万円(3%)の節約を見込む。渋谷区は本庁舎と渋谷公会堂について入札を実施して今月から購入し、東電に比べ年間約三百万円(3・6%)の節約ができるという。足立区も「東電が値上げを予定しているので、電力料金の低減化を図る」として一二年度に入札を行う方針だ。

 東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬県でも一部入札を行っており、千葉県は本庁舎使用分で約10%の経費削減ができたという。横浜市は〇一年度に五施設で入札を始め、いまでは約九百施設に拡大。三分の二をPPS、残りの大半は東電が落札している。

 ただ、PPSは電力会社に比べて供給能力が大幅に低い上、事業者数も四十九社にとどまり、「東電の値上げ発表でPPSに需要が集中し始めたと聞くので、供給力がどれくらいあるか調べなければならない」(豊島区)との声も出ている。

 実際に渋谷区は指名競争入札で六社を指名したが、参加したのは二社にとどまった。埼玉県では一一年度分の本庁舎の入札に応札が一社しかなく、担当者は「燃料価格の変動など、いろいろな要素があるのだろう」と話している

[引用終了]

 こうして「発電送分離」が今後の大きな課題となる。国や電力会社、財界等の議論を「使用者・消費者側」から突き上げて、改革を促していくべきと考える。再生可能エネルギー導入を視野に入れたクリーン電力の拡大への道もそこから広がる。



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