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  この春から世田谷区で電力購入について、特定電気供給事業者(PPS)も含めた競争入札を実施することを発表した。対象は、電気事業法で自由化されている供給電圧が6000V、契約電力が原則50キロワット以上の施設111カ所。区役所の本庁舎、総合支所、区民会館、小中学校などで、平成22年度の電気料金は6億7000万円だった。昨年と使用量が同じでPPSを導入した場合、2000万円、東京電力が予定している値上げが実施された場合には9000万円、最大で1億1千万円の費用削減の可能性がある。

 東京電力の電気料金は、原発事故以来知られるようになった「総括原価方式」をとっている。巨額の広告費の垂れ流しも含めて、消費者が負担するシステム続き、一社独占体制が続いていては、値上げを通告されれば、これを飲む以外の選択肢はない。地域独占の電力会社にとって消費者とは、地域住民・企業・自治体など人が活動するところ全てである。ところが「電力消費者連合」のような団体は存在せず、わずかに株主総会だけがチェックの場となっている。

今回の競争入札の実施は、自治体の電力購入にあたっての選択肢を増やす第一歩である。それは使用者・消費者の立場に立って、また納税者から預かる自治体として、電気事業法で定められた大口契約の区施設を洗い出し、導入により効果が期待される111カ所を選択する作業を行なった。これまでにも、他自治体でPPSの導入事例はあり、人口88万、東京で最大の自治体が踏み切ることで、エネルギー政策のどこを改革すべきか国全体の議論に一石を投じることになると思う。

現在のところは、電力市場から化石燃料を使用した電力しか購入出来ないが、電力購入・供給の選択肢になることで、再生可能エネルギーを使い拡大する環境も整ってくる。発電・送電・配電という地域電力供給機能をすべて一社が独占して体制が続いていては、再生可能エネルギーへの転換も進まない。発送電分離は、クリーン電力の市場拡大のために最も重要な課題だと認識している。これは国レベルの政策だと言われているが、そうした垂直構造・上下感覚が福島第一原発事故を生んだ原因のひとつである。この10年、地方からは、原発の耐震性、とくに津波の危険についても繰り返し声があがっていた。漫然と聞き流していたのは、むしろ国のエネルギー官僚であり、電力会社の広告費と対になったメディアだった。

持続可能で地球環境を汚さないエネルギー供給体制をつくる大な転換を促してい く現場は地域であり、自治体であると考えている。今後は再生可能エネルギーを地域で普及促進していくフレームづくりや、クリーン電力への転換政策を進めていきたい。

 



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