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午前11時から議院運営委員会が開かれ、与党側は昨日の選挙結果に意気消沈しつつも暫定税率の「再議決」の準備を提案した。29日24時で「60日」がやってくる。そこで、明後日の30日、参議院で採決されない時には、午後1時より衆議院本会議を開催し、「地方税3法案・国税2法案を参議院が否決したものとみなすべしとの動機」を提出し、討論・採決(与党多数で成立の見込み)の後に、参議院に対して「衆議院は参議院が否決したものとみなす議決をしたと通知をした後、参議院から議案が衆議院に戻ってくるのを待って二度目の本会議を開く。そして、3分2の再議決へと突き進むというわけだ。

ところで、衆議院の野党側の打合せで白川勝彦元議員・元自治大臣のブログが話題になった。白川さんは、暫定税率の復活を「即日公布・施行」という暴挙があまり話題になっていないことについて、下記のように指摘している。

『永田町徒然草』非常識な即日公布・施行

最近は官僚批判(非難)が大流行だ。しかし、この国の政治行政の最低限度の則(のり)と秩序を守ってきたのは良き官僚たちであった。わが国だけではなく政治家というのは、情緒的に動くものである。そういう傾向が強い政治家が行政のトップに立っているのだから、行政は則を越え、矛盾することを行う恐れがある。それに対して愚直に法律や秩序を守ってきたのが気骨のある官僚たちの役割だったのだが、最近ではそれが怪しくなってきた。

その典型が道路特定財源の暫定税率を今後さらに10年間復活ことを内容とする租税特別措置法改正法を即日公布・施行という暴挙である。これは政治的な暴挙であるだけでなく、法手続的にも恐ろしい暴挙なのである。だから私は“江戸時代に戻ったような気がする”と非難しているのである。いくら情報通信が発達したからといっても、税法を即日公布・施行するなどということは通例では考えられない。非常事態でなければやってはならないのである。

このことについてちょっと説明しよう。道路特定財源の暫定税率を今後さらに10年間にわたり課すことを内容とする租税特別措置法改正案が4月30日に再可決されたとしよう。ところが永田町徒然草No.762「これは、“夢か現か幻か”(その1)」で説明したように、この法律には施行期日が4月1日からとなっているのである。だが4月1日はとうに過ぎている。こうした場合、この法律は公布された日から施行されると事務当局=官僚たちは主張している。しかし、そんなものは行政的解釈でしかない。

裁判所の解釈であろうが、行政的解釈であろうが、学者の解釈であろうが、“解釈”は解釈でしかない。いろいろな解釈があり得る。それを避けるためには、「この法律は公布の日から施行する」とハッキリと法律に書いておけば良いのだ。「公布の日」についてはそんなにいろいろな解釈がある訳ではない。法律家の通説は、「法律が官報に掲載され、その官報が政府刊行物サービス・センターで販売に供された時が公布だ」とする。

だから独立行政法人国立印刷局(かつての大蔵省印刷局)が成立した法律を受け取り、これを版組みし、印刷して全国に配送し、それが販売所に届き、販売に供されるためには、最低限の時間はどうしてもかかるのである。かつては搬送にもっと時間がかかった。いくら宅配便が早くなったとしても全国的に同じ日という訳にもいかないだろう。そこで霞ヶ関にある政府刊行物サービス・センターで販売に供された時ということにしているのである。これも解釈である。

しかし、その前にもどうしても必要な手続きがある。「憲法改正、法律、政令および条約を公布すること」は天皇の国事行為である(憲法7条1号)。法律の公布は天皇の国事行為であるから、「内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負う」(憲法3条)。「天皇が公布を行う」ためには内閣の助言と承認を必要とする。その助言と承認を行うのが閣議である。全大臣が法律の原本に署名する。その原本に天皇から御名御璽を戴く。御名とは天皇の直筆の署名であり、御璽とは国璽(天皇の印璽)のことである。

租税特別措置法改正案が再可決によって法律になったとしても、以上のような手続きを踏んで法律は公布される。さらに上記の官報掲載という手続きが必要なのである。マスコミでは4月30日再可決され、ガソリンや軽油は5月1日から値上げになると報道しているが、こういうことを知っているのだろうか。知っている人もいるのだろうが、4月30日再可決された場合には、非常的な作業を行わなければ5月1日から暫定税率を課すことは非常な手続きを踏まなければならない。そんな非常事態のようなことをしなければならない案件なのだろうか。そういうことを明らかにし批判するのが、ジャーナリズムの役割というものであろう。

[引用終わり]

仙谷由人氏が『永田町徒然草』をプリントアウトしたものを渡してくれた。白川氏は私が国会議員となってまもない時に、「リベラル政治」なるものを説いてくれた先輩だ。なるほど、「4月1日施行」という法律を4月30日に「3分の2再議決」するというのは、おかしな話だ。4月1日施行という法律が成立するのが約1カ月後というのは、法の不遡及の原則から見ても、本来は「5月1日」に修正した法律を成立させるべきだろう。しかし、そもそも再議決時には衆議院だけで修正することが出来ない。政府・与党としては目をつぶることにするということなのだろうか。

この点とさらに、即日公布・施行というのもムチャクチャな話だと、議院運営委員会で仙谷議員が主張したが、与党側は無反応だった。おそらく、与党にとっては「それどころじゃない」という状況だろうか。補欠選挙が平岡さんの輝かしい勝利に終わり、大義なき「再議決」への突入で内閣支持率は2割を切る。森内閣の記録をこれからは追う展開となり、民意に背反した旅路に赴こうとしているのである。

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