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 昨日は、読売新聞から「公共事業チェック議員の会の八ッ場ダムへの取り組みについて」というディープな取材があった。前原国土交通大臣が「八ッ場ダム建設中止」を打ち出したのは、民主党のマニフェストに明記されていたからであり、鳩山総理は昨年八ッ場ダムの現地視察を行なっている。そして、鳩山由紀夫さんは現在も超党派の議員集団「公共事業チェック議員の会」の会長であり、私が事務局長をつとめている。したがって、取材の目的は鳩山氏がいつ頃から「八ッ場ダム」を意識し、昨年来どんな議論をしてきたのかを確認することにあった。政権交代後に初めての「公共事業チェック議員の会」事務局長・保坂展人への取材だった。

 官庁の動向と自民党内の権力構図にしか興味がなかった政治記者たちは、政権交代によって退場を余儀なくされている。私は「どこどこ日記」で今年の春に「公共事業チェック議員の会で汗を流してきた議員たちがいることを知ってほしい」とアピールした。西松建設事件が大々的に報道され、「大型公共事業と政治利権」という旧態依然型の構図が新聞・テレビで繰り返し有権者の印象に刻まれていた時のことだ。「大型公共事業」のあり方を問い、身銭を切って現地調査に出かけ、推進・反対双方の住民の声を聞き、自治体の長や国土交通省の出先機関の説明を聞くという作業を15年間続けてきた超党派の議員集団が存在することが、新聞・テレビで一度ぐらい取り上げられてもいいのではないかと思ったからだった。しかし、この西松建設事件報道で議員の会を取り上げた新聞・テレビはひとつもなかった。取材申入れもゼロだった。

 ここで、この春に書いた「雌伏15年、公共事業チェック議員の会の逆襲が始まる」(どこどこ日記09年3月19日)を再掲しておこう。

[引用開始]

公共事業チェック議員の会という超党派の行動する議員集団が存在する。民主・共産・社民・国民・無所属の75人で動いていて、会長が鳩山由紀夫(民主党衆議院議員)、幹事長が松野信夫(民主党参議院議員)、事務局長が私という構成だ。1994年に発足し15年の歴史を持つ。1997年には武村正義新党さきがけ代表を会長に頂いたが2000年の総選挙でまさかの落選、次に中村敦夫参議院議員が会長に就任して議員活動のほとんどの力を投入して精力的に全国のダム、道路、空港、港などを視察した。この当時は、約100人のメンバーを擁していた。しかし、2003年の総選挙で副会長で行動を共にしてきた私も落選、2004年には中村敦夫会長はみどりの会議から比例に挑むも惜敗。宇佐美登衆議院議員が会長となるも、2005年の郵政選挙で長年にわたって事務局長をつとめた佐藤謙一郎衆議院議員と共に議席を失った。

万感胸に迫りくるものがある。諫早湾の干拓事業にしても、泡瀬干潟の埋め立て事業にしても、税金の無駄遣いだけではなくて、最悪の自然破壊を伴う公共事業である。こうした現場に自費で出向き、また監視をしようという議員集団は、「公共事業受注企業」から見れば好ましからざる人々ということになる。「おい、まかせておけ。工事はしっかり確保してやる。献金はしっかり頼むぞ。選挙の時も手を抜くなよ」という旧来型の土建政治の土壌を耕している議員は桁違いの献金の選挙応援を受けるが、公共事業チェック議員の会の議員たちは地元の自然保護運動や環境派の市民団体、及び反対派住民から感謝されることはあるものの、それぞれの選挙区で「税金の無駄遣いを告発して止めてくれた。こういう働きをする議員こそ頑張ってほしい」との支持や応援の声はまばらだ。「地元を放り出して、沖縄だ北海道だといい身分ですね」などと、まるで毎月旅行にでも出ているような目で見られて肩身が狭く、献金も少なく、また選挙も厳しい。これが、日本の民度だ。

逆に言えば、自然破壊も何のその税金はおれのものとばかりに無駄な公共事業も躊躇せずに利権形成に使う旧来型のタイプの議員がのさばる政治構造に悔しい思いをしてきただけに、今回の「政治とカネ」をめぐる議論と「公共事業受注企業からの政治献金禁止」のテーマは巻き返しと構造転換のいいチャンスだと思う。社民党としても「政治改革プロジェクト」を設置したし、公共事業チェック議員の会としても「政治改革提言」をまとめていく仕事を来週から開始したい。

[引用終了]

 八ッ場ダム問題も突然浮上したわけではない。中央の新聞・テレビが何の関心も寄せない時期に「手間とカネはかかるが票にならない」活動を営々と続けてきた野党超党派の集団があったのだということを記しておきたい。今後の公共事業チェック議員の会の活動について、連休明けには相談を開始したい。


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