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森内閣が「IT革命を呼号した10年前から、怒涛の勢いで政府機関の「電子政府化」が進んだ。手書きやアナログ処理されてきた「申請手続き」を電子化しようという予算も次々と増額された。国会での議論もほとんどなく、「電子政府は時代の流れだよね」とチェックをされないままに「電子政府化」は進んでいった。多少の予算はかかっても世の中便利になるんだから、いいことだと素朴に信じていた私たちが大きな疑問を持ったのは、3年ほど前の外務省の「旅券申請システム」問題だった。使う人があまりに少ないという指摘を財務省から受けて、総額48億円かけて構築されたシステムは廃止された。利用者はわずかに133人。しかし、これは氷山の一角だった。

電子申請システム、利用率低迷 検査院が改善要求
2009年9月20日12時7分 朝日新聞


 インターネットで国に申請手続きなどをする電子申請システムで、総申請数のうち電子申請が使われた割合を示す利用率が、12のシステムで10%を下回っていることが会計検査院の調べで分かった。経費は4年間で約119億円。検査院は18日、システム停止を含む抜本的な対策を取るよう各府省庁に改善を求めた。

 電子申請システムは、森喜朗内閣が推進した「電子政府政策」(IT戦略)の目玉として01年以降に始まったが、国民のニーズを度外視し、「何でもかんでもオンライン化してきた」(中央官庁幹部)ことが利用率低迷の原因とみられる。

 検査対象となったのは20の中央官庁の49システム。08年度までの4年間に整備や運用にかかった経費は計約1080億円で、平均利用率は05年度に8.1%だったが、08年度には34%まで上昇した。

 しかし、12システムは10%以下と低迷。中でも7システムは1%以下、利用件数も大半が70件以下で、総務省の政治資金関係のシステムは利用が2件しかなかった。

 総務省の電子申請・届出システムは、平均年齢86.3歳の高齢者が恩給受け取りの際の住所変更などの届け出に利用できるが、申請はほとんどない。「お年寄りにインターネットでの申請を求めるのは難しい」と担当者は漏らす。

 財務省には、たばこ業者が小売り販売の許可を申請するが、1業者が申請する機会は1回だけ。内閣府へは、NPO法人の認証の際、活動報告を義務付けているが、報告を提出するのは活動年度に1回だけという。

 電子政府評価委員会メンバーで東工大像情報工学研究施設の大山永昭教授(情報処理)は「利用頻度が少なくても便利なシステムはあるので手続きを簡略化するなどの改善の余地があるものは見直すべきだ。オンライン化は行政の効率化や透明性を図れる。利用してもらうには経費を下げるなどのインセンティブを与えることも必要だろう」と話した。(前田伸也)

[引用終了]

この低利用率のシステムにいくらの税金が投じられているのか。2年前に「電子旅券申請システム」を調査した時のブログ記事をぜひ読んでいただきたい。

[参考]

パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額
政治 / 2006年08月28日

電子政府化の掛け声のもとで、とんでもない無駄遣いが明らかになった。8月26日の読売新聞によると外務省が「旅券電子申請システム」を年内に廃止することを決めたという。以前から、このブログでも指摘していたが、アメリカ政府のリクエスト通りに唯々諾々として日本が進めてきた「電子政府化」という落し穴のひどさが、ここで明らかになった。

旅券(パスポート)を電子申請するシステムは04年から始まったが、その利用者は05年末までに133人しかいない。一方で、投下した費用は05年末までに21億3300万円と巨額で、ひとりあたりで割るとなんとパスポート一冊発行に1600万円かかるというから驚きだ。このシステムに対応しているのが12都道府県と少なく、また手続きも複雑であることから利用が伸びていないために、07年度の予算要求から外して同システムの廃止を決めたという。

外務省旅券課に確認してみた。すると、システムを受注・開発したのはNTTコミュニケーションズで、2001年~04年まででシステム開発・実証実験などで、約20億円が投じられていることが判明した。運用が始まってからは、04年12億4500万円、05年8億8800万円、06年8億6200万円と合計で29億9500万円のランニングコストがかかっている。読売新聞の記事にある「1600万円」は、04年~05年の2年間の運用経費(12億4500万円+8億8800万円=21億3300万円)をパスポート発行人数で割った数値なので、さらに開発経費約20億円を加算すると、20億円+21億3300万円で41億3300万円と、05年末までのひとりあたりのコストは3000万円に倍増する可能性もある。

さらに、だ。「途中で止まれない」のが電子政府でありシステム契約だ。契約書を取り寄せて点検したいのだが、3年間で運用中止では業者側からペナルティ(残債)を要求されることになる。コピー機のリース中に、契約・使用から2年で事業縮小のためにリース契約解除しようとすると、多くの場合にリース期間は5年なので、残り3年分の月々の支払額×36カ月の残債の精算を請求されるのと同じ理屈だ。ここは、発注者である外務省と業者の交渉がどうなるのか。その費用も想定しておかなければならない。ひとりあたり「1600万円」で驚いたが、それが倍になり、さらに膨れ上がるかもしれない時に、損失額の確定とシステム破綻原因の徹底究明が必要である。

こうした無用の長物は外務省の電子申請旅券システムだけではないことを、今日は指摘しておこう。この件については続報で伝えることを予定しておく。

パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額(続)
政治 / 2006年09月04日

先日書いた「パスポート電子申請システム廃止で驚きの赤字額」の続報をお届けする。外務省旅券課に確認して、新たに判明したこと、さらに疑問に思ったことをあげておくことにする。『どこどこ』にTBをいただいた情報によると、電子申請とは名ばかりで、ただ机上のPCでネットに接続していればOKということではない。まず「住民基本台帳カード」(500円)が必要で、さら公的個人認証(500円)を受けてカードにインプットしなければならない。さらに、ICカードリライター(3~4000円)を電器量販店などで購入して、戸籍謄本又は抄本が必要となる。写真と自筆サインもいる。さらに、独自にソフトもインストールしなければならず、この手続きを全部読んでみると利用者が少ないことも納得、という話になる。詳しくはパスポなびを見てほしい。

開発段階での費用は、平成14年度(8900万円)、15年度(19億3000万円)だった。先日は電話で、NTTコミュニケーションズが開発にあたったことを聞いていた。確認すると、まずは外務省と総務省管轄の財団法人地方自治情報センターが契約をして開発が始まっている。NTTコミュニケーションズの契約した開発費は約4億円だと言うが、詳細は後日、関係書類を受け取って報告を聞くことにした。

133人の内訳も聞いた。

岡山県(04年3月運用開始37人)
熊本県(05年5月・9人)
栃木県05年3月・6人)
長崎県(05年4月・8人)
茨城県(05年4月・18人)
宮城県(05年5月・12人)
埼玉県(05年7月・31人)
群馬県(05年10月・6人)
香川県(05年10月・5人)
福岡県(06年3月・1人)

いずれも、06年3月までの利用実績で計133人ということである。今年に入って、利用者は漸増していて月30人ベースになっているということでトータルで260人程度にはなりそうだという。9月末で申請も受付中止になってしまうから、これ以上伸びようがない。直接に矢面に立たされているのは外務省旅券課だが、政府をあげて取り組んだ電子政府化の最初の破綻例として見た方がいい。旅券課が起案してこのシステムをつくったわけではないのだ。

この件の背景への分析はさらに続ける。










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