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インターネットと規制社会を考える(上)
身辺コラム
/
2008年06月30日
私は、この『どこどこ日記』をほぼ毎日更新し発信している。原稿を書いて一度読み直し、また長く書いてしまった時や微妙なテーマに触れる時には、複数のスタッフに読んでもらってからupする。基本的にテーマは自分で選んでいるが、大きな事件が起きたりすれば、そのことを書く場合も多い。私は、20年ほど週刊誌・月刊誌を中心として「教育・若者」をテーマとして記事を書いてきた。その際には、ベテランの編集者とも共同作業したことも数多くあり、メディア=公共空間で言論により表現する際の注意すべきことや、必要な手続き、またルールを書きながら身につけていった。ブログで相当量の情報発信をしている今も、その経験は生かされていると思う。かつて、編集者に企画を提案したり、逆にテーマをもらって書いていた時期に比べると、ゴーサインを出した瞬間にネット上にupされる速報性と、世界中どこからでも見ることが出来るアクセスの良さは「活字」で仕事をしてきた者としては画期的だと思った。
ところが、ほとんどの人が「私的空間」と「公共空間」の仕分けをしてインターネットのサイトに書き込んでいるわけではない。私のタイトルも『どこどこ日記』だが、今日誰に会った、何を食べたということは、ほとんど書いていない。言わば、「日刊保坂展人新聞」のような媒体だ。多くの場合は、国会議員だからこそ見ることの出来た資料や現場を、直接に紹介し報道する役割や、マスメディアがあまり伝えない国会情勢や政局を書いている。とくに、私の国会における質問時間は短く、それに反して調査で集めた資料や証言をバックボーンにしているから、どうしてもブログで補強説明をしておきたくなる。最近は、新聞やテレビもブログを見て興味を持ったので話を聞きたいとか、インタビューしたいなどの依頼も増えた。
インターネットが普及し、低年齢化が進んでいる。とくに、携帯電話がネット端末になり、いつでもどこでもアクセス可能となってきている今、「子どもたちとインターネット規制」や「フィルタリング」が語られるようになった。たしかに低年齢化は進んでいる。
〔引用〕
インターネットは就学前から利用が3割以上
調査の詳細は→
インターネットを利用し始めた年齢は、就学前の3歳〜5歳が26.9%と最も多く、0歳〜2歳の7.5%と合わせると34.4%となり、未就学児の3割以上がインターネット経験済みという結果になった。前回の調査では小学校1年生が最も多(19.6%)、インターネットデビューの年齢が、より低年齢化する傾向にあることがうかがえる。
[引用終了]
インターネットもパソコンだけでなく、家庭用ゲーム機やテレビ、携帯電話など液晶画面とセットでますますアクセスが容易になるだろう。こうした「ネット環境」急速に子どもたちの生活や行動を変えつつあると言われている。子どもたち自身がhpを開設し、またプロフと呼ばれるサイトを開設して 情報交換をしあうことや、携帯電話は主に仲のいい友達とのメールのやりとりのツールとなっている。
インターネットは便利であるばかりではなく、「暴力」「性」「ドラック」「犯罪」などの雑多な情報がとびかっている世界である。だから、「子どものインターネットを規制せよ」「子どものネット接続の可否は親が責任をもって判断しろ」「携帯電話を取り上げろ」などの声が大きくなってきている。
2008年、携帯電話各社は子どもが使用する携帯電話についてフィルタリングサービスをかけることが原則となった。ところが、NTTドコモ等は、「政治活動・政党」(議員・それらの支援団体も含む政治活動や政党に関わる情報の提供)も有害情報としてシャットアウトしてしまう。この『どこどこ日記』も当然ながら、子どもの携帯電話からはアクセス出来なくなり、他の国会議員・自治体議員や政党のホームページ・ブログなどを見ることが禁止対象となっている。
ただでさえ政治教育が皆無に近いこの国で、与党が強行採決した国民投票法案では投票可能年齢を「18歳」(ただし議論百出中で、いまだ定まっていない)としているのに、政治情報を一律「有害」とするようなフィルター情報をカットして、未来の有権者はどうやって政治情報にアクセスすればいいのだろうか。しかも、フィルタリングサービスの範囲は、おおむね「18歳未満」「20歳未満」で、小学生から高校生まで基本的に変わらないというからあまりに一律的だ。仮に「18歳選挙権」が実現すれば、「18歳未満」なら誕生日から政治情報にアクセスしていいということになる。「20歳未満」なら、投票権はあっても国民投票に先立って、政治情報にアクセスすることも出来ないから、話にならない。もちろん、裁判員制度などで期待されている「自ら判断する力」「分析し、意見を述べる力」などが培われるわけもない。
民主主義の担い手として、子どもたちに必要なのは雑多で混沌としていて、猥雑なものも含めて多様な情報に対して、いちいちふりまわされず、ぶれずに取捨選択出来る「免疫」の力を育てることが大事だと思う。フィルタリングサービスで「有害情報」をカットしたと安心していても、規制外のサイトに引っ越しをしたサイトになお接続する可能性はあるし、携帯電話以外のツールでインターネットにアクセスすることもそう難しいことではない。子どもたちの環境から「有害情報」と呼ばれるものをシャットアウトすることは、短期的には出来ても1年から2年という長期になれば無理だ。だからこそ、自分の前に現れてきた情報の危険度を見抜き、「暴力」「性」「犯罪」などの誘惑や危険な領域に立ち入らない、あるいは一度立ち入っても引き返してくるネットリテラシーが重要だと思う。
子どもはいつか大人になる。規制された「無菌室」では、子どもは本当に「危険な情報」や「事態」への対応するたくましく、したたかな力は育たない。自分が見ていいかどうかを大人が決める、学校やコンピューターソフトが決めるのではなく、自らが判断して選んでいく力が、必要だ。(どのように取り組めばいいのか、後編に書くことにする)
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