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猛暑の勢いはなかなか弱まらない。特に今年は、高齢者をはじめとした生活弱者が「熱中症」で多く亡くなっていることが気にかかる。かく言う私も、今日の朝は強い直射日光にさらされて頭がボーッとかすみような軽い目眩に見舞われた。猛暑というより「激暑」と言った方がいいほどの気温の上昇は、このへんで打ち止めとしてもらいたいのだが。

民主党代表選挙については、「政局」的な言説をもてあそぶつもりはないので、黙ってきた。しかし、「政権交代」は私たちも共に汗をかいて共通項を見いだして実現した作業だった。昨年の総選挙が行われた8月30日から1カ月となるが、ぜひこれだけははっきりさせてもらいたいというテーマがふたつある。

ひとつは「八ッ場ダム」だ。御存知の通り「マニフェストに書いてあるから」と就任直後の前原大臣は「建設中止」を決めた。正確に言えば、「ダム本体工事の中止」だった。しかし、その後の対応は首尾一貫したものではなくて、自民党を中心とした工事推進勢力との正面衝突を避けて「ダム本体以外の工事」は無条件で認容している。今年の春は、ひとつ52億円と言われる「湖面1号橋」の建設着手に待ったをかけたものの群馬県をはじめとした流域都県の力に屈して認めてしまった。

ダム建設中止は実のところ、「本体以外のダム建設工事推進」という倒錯した情景を創り出した。「ダム本体」とはダムサイトのことだが、4600億円の総工費の1割に満たない。残り9割以上の「ダム関連工事」を完成させてしまったら、後は「本体だけだからつくろうじゃないか」ということになってしまう。

「公共事業は走り出したら大臣が急ブレーキを踏んでも結局は出来上がる」という悪例になるし、前原大臣が民主党代表選挙以後に交代することになれば、新任の大臣が「ダム本体も含めて完成をめざして工事再開することにしました。苦渋の決断です」などと悪夢のような方針転換をする危険性はゼロではない。

そして、すでに「悪夢のような方針転換」をした後の「普天間問題」である。沖縄県や名護市が、辺野古に新基地をつくることを受け入れる可能性は限りなく低い。しかし、鳩山政権がこの問題で倒れた後も、方針を踏襲することにした菅政権は「11月沖縄県知事選挙」を待っている。アメリカとの約束だからと言って、自民党政権もやれなかった「強権発動」が出来るだろうか。もちろん、そんなことを選んではならない。だが、沖縄の声と智恵を汲み上げる努力もなく、ただ時を費やしていくと「強権手段」に追い込まれていく危険があるといいたい。

「八ッ場」と「普天間」は、深くつながっている。八ッ場ダムは、言辞に行けば「工事中止」など空疎に響くほど、どんどん建設が進んでいる。「工事再開を宣言」という隘路に政権は追い込まれているという難しい局面となった。このふたつのテーマで完全に「自民党政治の再現」しか出来ないのだとしたら、政権交代の看板は降ろさなくてはならない。

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