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 4月1日から世田谷区役所の施設111カ所で東京電力からPPSへと電力供給事業者が切り替わった。今日はその関係で、共同通信とTBSの「NEWS23」からインタビュー取材があった。これから夏に向けて「原発再稼働」絡みで議論は白熱するものと予測する。「理念」「かくあるべき」という抽象論ではなく、具体性のある方法で「節電」への取り組みも考えてみたい。以下、共同通信のインタビューには次のように答えた。

 原発事故から1年、この間に得られた教訓は?

  科学技術は万能ではなく、「その粋を集めた」と言われた原発は修復不可能な放射能被害をもたらす致命的な欠陥を持っている技術であることが証明された。「使用済み核燃料の廃棄処分」の体制すら確立されておらず、廃炉にするのも途方もない時間と費用がかかる…いわば未完成の技術である。

 しかし、これだけの事故が起きてもなお、日本では「脱原発」に舵を切れない政治が続いているということも明らかになった。とりわけ、経済界を中心に「原発再稼働しないと経済空洞」化などの発言が続いているが、彼らは「3・11」以前に何を主張していたのか。「原発は安全でクリーンな技術」などと言ってきた人たちが、臆面もなく何をか言わんやだ。「国破れて山河あり」ではなく、「山河汚れて国策あり」という事実から目をそらしてはならない。

エネルギー政策に自治体が関与していく道は

 区長選挙の時、「エネルギー政策は国の決めることで自治体にとって何か手を出せるものではない」という意見を言ってくる人がいた。「3・11」以前の長らく続いた日本の常識的な見解だったのかもしれない。ところが、私の認識は逆だ。自治体の場から、地域から発信する以外に日本のエネルギー政策は変わらない。 

 今回の原発事故の教訓でもあるが、いざという時に国は必要な情報を出して、住民を守ることが出来なかった。都道府県が国の動向を見定める中、住民を直接預かる基礎自治体だけは逃げ道がなかった。刻一刻と迫る危機のさなかに何の情報も指示もなく、それぞれの自治体は各首長の判断で住民を守る仕事の最前線に立った。

 エネルギー政策を変えるのは、国ではなく自治体だ。なぜなら、サプライサイドからの「電力供給システム」しかなかったものを、もう一度「使用者・消費者サイド」から再構築する必要がある。明治19年(1886年以来、125年間続いてきた体制を組み直す時期が来ている。「PPS」でも「東電値上げ問題」でも「3・11」以前は、大きく報道されなかった「使用者・消費者サイド」の声が大きくなり始めている。

自然エネルギーの普及・拡大に向けたこれからの取り組みは?

電力の地産地消を考えたい。88万人という巨大な消費地で、太陽光や太陽熱(熱効率では優れている)を中心に設置を広げていく。さらに、被災地支援型の「自然エネルギー供給」の仕組みが出来ないかと考えて、現在の電気事業法の下でもシステムのどこを変えれば変化がスムーズに起きるのかを研究している。産直という言葉が初めて出てきた時に、「スーパーで売っている野菜よりも高いものを誰が買うか」という冷淡な視線があった。

 しかし、たとえ価格が高くとも「安全な食べ物」を欲している消費者から支持された結果、共同購入運動は生活共同組合の活動を大きく拡げていく。今日、自然エネルギーを選択可能な商品と考えれば、たとえ高コストでも導入したい人々はいるし、また制度的誘導策で市場を拡げていくことが出来るのではないかと考えている。

  

 



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