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今日の衆議院本会議で「かんぽの宿一括売却問題」を社民党の重野安正幹事長、国民新党の亀井久興幹事長が、鳩山総務大臣に対して答弁を求めた。鳩山大臣は、多くのマスメディアが「入札は公平に行われたのに鳩山大臣が横槍を入れている」と批判していることにふれて、「入札がけっして透明であったとはまだ理解はしていないわけでございまして、数々の疑問点をこれから解明しなければならないと思っております」と答弁した。議場から「徹底解明しよう」とエールを送った。いよいよ面白くなってきた。大臣自ら、「入札は不透明で疑問が残る」という見解を表明しているのだ。

あまり知られていない事実をいくつか報告していこう。この「かんぽの宿等の宿泊施設の一括売却」の譲渡対象施設の中に世田谷レクセンター(世田谷区鎌田)がある。かつて夏になるとよく泳ぎに行った場所で、昔は屋外プールがあった。今は、スポーツクラブとしてラフレ埼玉と同じセントラルスポーツが運営にあたっている。2008年4月1日にメリルリンチ日本証券が提示した譲渡対象施設一覧表には、懐かしの「世田谷レクセンター」の名前がある。ところが、12月26日に発表された「かんぽの宿等譲渡対象施設」(日本郵政)からは、「世田谷レクセンター」の名前が消えている。

社民党・国民新党の合同ヒアリングで私は日本郵政に聞いた。どうして、当初はあった「世田谷レクセンター」がリストから消えたのか。すると、日本郵政の担当者は答えた。「こちらの施設は、スポーツ施設で他の宿泊施設とは性格が違います。それで、あまりいい反応ではなくてリストから外しました」とのこと。ちょっと待ってよ。第1次入札にあった施設が、第2次入札では忽然と消える。これは、競争入札と言えるんだろうか。同一条件・同一物件で公平な競争をすることにならないじゃないの、と首を傾げると日本郵政の担当者は世にも不思議な「募集要項」をひもといて、次の部分に記載してある通り譲渡施設を変更することは可能なんです。

なに、なにと、2008年4月1日付の募集要項を取り出してみた。

[引用開始]

2008年4月1日

メリルリンチ日本証券株式会社
投資銀行部門

かんぽの宿等及びかんぽの宿等を運営する宿泊事業部門のスポンサー選定に関するご案内

[該当個所を以下抜粋]

日本郵政は、本件譲渡の実行を約束するものではなく、その裁量により、いつの時点においても、理由の有無・内容を開示することなく、本プロセス及び本件譲渡を変更又は終了する権利を有し、その単独の意志により、本件譲渡の対象となる施設等の範囲を変更できるものとします。さらに、日本郵政は、理由を明示することなく、いつでも特定の第一次入札参加者又は全第一次入札参加者との交渉を停止する権利を有するものとします。また、日本郵政は、本プロセス中においても、かんぽの宿等事業に関するあらゆる決定を下す権利を有するものとします。本案件について最終契約を締結するまで、貴社の趣意書の内容が日本郵政を拘束することは如何なる意味においてもありません。

日本郵政は、本プロセスにおいて伝達した情報について、書面又は口頭の如何を問わず、随時撤回・変更する権利を有しています。また、日本郵政、メリルリンチ及びこれらの子会社・関連会社並びにこれらの会社の役員・従業員は、本プロセスにおいて提供した一切の資料及び情報等について何らの責任を負うものではなく、貴社及び日本郵政が別途合意した場合を除き、それらが書面又は口頭その他の方法かにかかわらず、その正確性、妥当性、適切性又は完全性について、明示的にも黙示的にも、何らかの表明・保証を行うものではありません。従いまして、本プロセスにおいて提供した一切の資料及び情報等の内容を信頼したことにより貴社が被った損害の賠償を日本郵政、メリルリンチ及びこれらの子会社・関連会社並びにこれらの会社の役員・従業員に請求することはできません。

[引用終了]

ため息が出そうな表記だ。「書面又は口頭の如何を問わず、随時撤回・変更する権利を有しています」ということだから、1ヶ所削るも勝手に出来るんだよといういうことになる。そして、「おいらが言ったことや書面に示したことは、一切保証しないからね。損害を受けたと言っても賠償請求は出来ないよ」と書いてある。さらに末尾に「本書面を受領されることにより、第1次入札参加者は上記の条件及び制限に拘束されることに同意したものと見なされるものとします」とある。文書を受領したら同意手続き終了というスゴイ募集要項だ。

ただ、真相は「買い手があまりに安い値段を出してきたから、価格面で折り合わなかったんです」(事情通)ということのようだ。時事通信の記事は語る。

[引用開始]

日本郵政は26日、旧日本郵政公社から引き継いだ保養・宿泊施設「かんぽの宿」をオリックス子会社のオリックス不動産(本社東京)に譲渡することで合意し、契約したと発表した。譲渡額は非公表。対象は全国70施設と首都圏にある日本郵政の社宅9カ所。

 当初譲渡を予定していた世田谷レクセンター(東京都世田谷区)は、価格交渉が折り合わなかったため日本郵政が保有し続ける。

[引用終了]

すると、「叩き売り」に慣れている日本郵政も信じられないほどの「低価格」を提示してきたので、さすがに譲渡対象から外したということになる。そんな交渉が出来るのなら、どうして他の物件は叩き売りを続けてきたのか。1万円で売られていたというふたつの「かんぽの宿」については、今回の「一括売却」以前の郵政公社時代から処分されていた物件の中にある。バルク(まとめ売り)で叩き売りの典型例だ。

今回の「かんぽの宿一括売却問題」は、小泉・竹中改革の総決算として問われるべきテーマだ。「官から民へ」と称した「改革」の中身が、実はインサイダー情報に近い位置にいる企業に安値で「みんなの共有資産」を叩きうるわけだから、もらう方はこんなにぼろい話はない。いい思いをするのは、国民でなく特定の企業の経営者と親しいお仲間たちだけである。構造改革の生んだ「改革利権」が生んだ腐敗の一部が表に出てくるのもそう遠い日ではないような気がする。

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