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6月26日 児童ポルノ禁止法 法務委員会でのやりとり 2
教育・こども
/
2009年07月01日
昨日に引き続き、26日に法務委員会の仮議事録の後半を掲載する。法案提案者への質疑の残りと、参考人質疑でのやりとりだ。先週の法務委員会の前半の私の仮議事録が出来上がった。これは、保坂展人事務所の責任で公表するもので、正式な議事録とは異なる場合があります。正式な議事録は、後日の衆議院ホームページに掲載される会議録とします。以下の議事録の責任は保坂展人事務所にあります。
[仮議事録]
○保坂委員 では、もう一つ大野刑事局長に聞いておきたいんですけれども、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持していた場合という与党提案者の話なんですけれども、こういう目的というのは、心の中、気持ちの中、内心ということにならないか。やはり客観的な、外形的な行為として表出したことをもって処罰するというのがいわゆる戦後の刑事法の原則だったかなと思うんですが、その目的でということを外見的に表出しない段階でもって確定をし、例えばそれを犯罪として処罰するようなことは現に行われているのか。あるいは、将来行うとしたらどのような捜査になるのか。
○大野政府参考人 ただいま御質問がありましたのは、いわゆる目的犯と呼ばれる犯罪の類型についてでございます。目的犯によりましてはいろいろなものがございますので、一概にはお答えできないわけでありますけれども、刑法で申しますと、例えば刑法百七十五条後段にわいせつ物販売目的所持罪というのがございます。物理的な、対外的な行為としては所持をしているだけであっても、そこに販売目的があるかどうかということで犯罪の成否が変わってくるわけであります。
そうした販売目的の認定に当たりましては、そうしたわいせつ物を所持するに至ったいきさつ、どういう経緯で手に入れたのか、それから所持しているわいせつ物の内容とか量ですね、あるいはどういう形で所持をしているのか、所持をしたものの中で利用、処分したものがあるのか等々のそうした事情から立証することが多いというように承知しております。
○保坂委員 そうすると、もう一点ですが、今の刑事局長の御説明だと、例えば、ある程度の量を用意していて、あるいはそういった販売をする準備をしていて、あるいはそういうルートを持っていてとか、幾つか外形的に外に表出する事象として確認し得るものもあって証明をされるのかなと私は聞いたんですけれども、自己の性欲を満たす目的で所持していたぞということを証明するといったら、自白以外にないんじゃないかなと。
おびただしい量を持っていたら、それはまた同じになりますけれども、例えば数冊持っていたとか一冊持っていたという場合はどうでしょうか。
○大野政府参考人 今の御質問は、自己の性的好奇心を満たす目的といういわゆる改正法案の中身に関するものでございまして、現在審議中でありますので法務当局からどこまで申し上げるのが適切かと思いますけれども、お尋ねでございますのでお答え申し上げます。
自己の性的好奇心を満たす目的でありましても、そうしたいわゆる児童ポルノを所持するに至ったいきさつ、偶然飛び込んできたものなのか、それとも例えば買い集めたものなのか。それから、所持している児童ポルノの内容ということもございます。普通の写真なのか、特別に、いわゆるえげつのない内容のものなのか。もちろん量もございますし、それから、どういう形で所持しているのか。たまたま一つだけ持っていたのか、大量に持っていたのか等々の、そうした外部的事情から立証することになるだろうというふうに考えております。
○葉梨議員 午前中からいろいろと議論をさせていただいておりますけれども、自己の性的好奇心を満たす目的というのが自白だけに寄っかかって立証するんだというのは、それはそうじゃないだろうと思います。やはり、例えば、一枚であって自己の性的好奇心を満たす目的でありますよというのを立証するときには、絶対自白だけじゃないでしょうかといったら、その児童ポルノに手あかがついて何回も見られているとか、何回もクリックされているとか、あるいは、先ほども、今も答弁ありましたけれども、その児童ポルノの内容ですとか、そういったことからある程度客観的に立証ができると私は思っています。
○保坂委員 この点について、やはり外部的に表出をした証拠によってしか犯罪化され得ないというのは原則だと思いますし、ここが外れてしまうと、心の中で君はみだらなことを思い描いたのかということが処罰対象になりかねないということを指摘して、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
(参考人質疑)
○保坂委員 社民党の保坂展人です。ありがとうございます。
まず、前田参考人に伺いたいんですが、いただいた資料の中に、この六月の初めでしょうか、法改正の次に来るもの、執行についてということで、エドワード・ショーというアメリカのFBIの駐日代表の方が報告をされて、シンポジウムがあったんだなということがわかりましたけれども、実はアメリカには、児童ポルノ関係で、共謀罪もありますね。伝え聞くところによると、そのFBIの方などからは、やはりこの児童ポルノの捜査のためには共謀罪が必要だというような発言もあると聞いているんですが、そのあたりはどうなのか、教えていただけますか。
○前田参考人 今の御質問の趣旨、ちょっとわからなかったんですが、ショーさんと一緒に研究会をやったわけではないのであれですけれども、一般論としてお答えしますと、やはりアメリカの現場では、本当に児童ポルノに対して厳しい感覚を持っていて、徹底して調べる。その捜査官の人の話を伺ったことがあるんですが、そのためにはやはり共謀罪というのは有効なツールだと彼らが考えているということは容易に推測できるというふうに思っております。
○保坂委員 もう一点。私がたまたま手にした資料が余り新しくないので前田さんにお聞きしたいんですけれども、二〇〇四年の資料なんですけれども、これは、イタリアの児童保護団体のテレホノ・アルコバレーノという団体が、サイト上の一万七千十六件の児童ポルノサイトをいわば調べた。そして、一位はやはりアメリカであった、一万五百三件、二位は韓国で千三百五十三件、三位がロシアで千二百三十二件で、実は日本は、ブラジル、イタリア、スペイン、チェコの後の八位で、数はそう多くないですね、百六十五件。
この間の報道で、日本は世界に非常に恥ずかしい児童ポルノの発信国だ、こういう言い方がありましたが、たまたま私が手にした資料なんですが、さらに新しい数字等でこういった傾向は大幅に変わったのかどうかということをお願いします。
○前田参考人 正確な、オフィシャルな統計資料みたいなものというのはないので、やはり任意団体的なものが集められたものなんだと思うんですね。
ただ、私の印象も、日本のサイトの数とかが世界で物すごく多いということではないんですが、よくスウェーデンとかに指摘されるのは、画像の発信源ですね。それがいろいろ回り回って、ネットというのは世界じゅうに伝わっていくわけですけれども、児童ポルノ画像の撮影をして、それを流す源として日本が非常に多いという話はよく出てくる。
現状で、ただ、インターネット関係で問題のあるサイトを探しているところで、やはり児童ポルノは相当問題があるという指摘はふえていますが、恐縮ですけれども、数字的なもので、今、日本の順位がどう変わってきているというようなことはちょっと持ち合わせていないので、申しわけないです。
○保坂委員 続いて、一場参考人に伺いたいんですが、先ほど来の議論で、アメリカの場合はかなり明確な規定がありますねということと、日本の場合のいわゆる三号ポルノの幅広さの問題なんですが、先ほどからの議論で、これは自民党の中にもいろいろな御意見があって、早川政務官のブログなど見ると、やはり宮沢りえの「サンタフェ」などがポルノということだけはこれは違うでしょうという議論があったということが書かれています。
私もどちらかというとその立場で、ひどいポルノで、凌辱され、おとしめられ、そして人権侵害されている、アグネスさんが言われている、そういう被害児童を救出していかなければいけないのはもちろんですけれども、しかし、限界領域というよりは、どちらかというと違うのではないかというものも、捜査機関のある種の恣意性で、余りにも幅広い条文だと別の問題が起きる、こう考えているんですが、その点についてお願いします。
○一場参考人 まさにその点を先ほど来からずっと申し上げてきまして、恣意的な捜査の可能性を否定できない。そうした場合に、本当に大勢の人。この条文だけ読むと、何でいけないのというのがよくわからないんですよ。つけていないって、赤ちゃんはみんなつけていないでしょう、一体どうしてそれまで入っちゃうのということを一番私は言いたい。
「サンタフェ」も入ってしまうかもしれないし、そういったものを持っているだけで、まだいいんですよ、サイトに提供する、製造する、そういったものはもう既に処罰化されています、持っているだけで処罰するかどうかを今議論している。持っているだけで処罰されたら、赤ちゃんの写真を写したお父さん、お母さんの写真が、みんな客観的には入ってしまう。それはやはり避けるべきだと私は思います。
○保坂委員 アグネス・チャンさんに伺いたいんですけれども、私の妹が大ファンで、デビュー直後から。陳美齢(チャン・メイリン)さんですね。いつも耳が痛くなるほどアグネスさんの歌を隣で歌っていたので、非常に感慨深いんです。
私もチェンマイ、チェンライの、タイの取材に行きました、議員になる前ですけれども。そこで、ビルマから売られてきた子供たちがひどい目に遭って、救出されている施設にも行きました。子供にもインタビューしたり、非常に悲しい、そしてこんな子供たちが、大変だという今の思いはよくわかります。
そして、今やっていた議論ですが、恐らくちょっとズレがあるんだろうと思うんです。ズレというのは、具体的に伺いたいのは、アグネスさんも芸能界にいらっしゃって、例えば、宮沢りえさんとは限らず、十代でデビューされた歌手の方とか女優の方とかがグラビアになったり、中にはセミヌードとか、そういうことで写真集を出されたりということを、目の前にいらっしゃったと思うんですね。
私は宮沢りえさんの「サンタフェ」を改めて確認してみましたけれども、これは児童ポルノとして単純所持で規制するようなものではないと私は判断します。その点をごちゃごちゃにして、かなり広く、これは全部、すべからく規制するんだよということでは、かえって理解が難しいんじゃないか。
いわゆるアグネスさんが言ったように、児童を本当にひどい形で凌辱し、そして一生の汚点となるような、それがサイト上にずっと残ってということはよくわかります。その点、どういうふうに考えますか。
○アグネス・チャン参考人 グラビアアイドルは芸能界の中にもいっぱいいらっしゃいます。でも、法律ができてからは、やはり十八歳以下の写真はできるだけみんなは避けています。やはり十八歳以下は、高校卒業するまでは健康的に子供時代を過ごしてもらうという。
芸能界の中でも、例えば写真家からすごく私は非難されるんですけれども、そういう活動をすると私たちは子供の裸が撮れなくなっちゃったんだよと言われるんです。そうしたら私は大体、十八歳まで待ったらどうですかと。私はそう思います。そんなに十八歳以下の子供たちの裸を見る必要もなければ、水着の写真を見る必要もないと思う。
十八歳になってもとてもきれいです。それは言い切れます。きれいな子はずっときれいです。その子をみんなに見せたいと。それが十八歳あるいは成人になってから見せればいいんです。決してまだ未熟な子供の裸を見るというのは、そんなに必要ないと私は思っているんです。でも、子供には子供のころは必要なんです。
「サンタフェ」に関しては、実は私、新聞で、広告とかしか見たことがないんですね。だから判断がつかないんですけれども、でも、例えば、本当に法律が成立して、そして十八歳以下のそういうようなものは持ってはいけないんだよと。そうしたら、私は、個人の判断で、みんな処分するか残すのかと自分で考えていただいてもいいと思うんですね。決して大人は子供の裸を見なくては命を縮めるとかそういうことはないと思うんですね。もう少し待ってください、十八歳まで。ぜひお願いします。
○保坂委員 ということは、「サンタフェ」は見てはいないけれども、あるいは十八歳以下であれば、「サンタフェ」だけじゃないですけれども、児童ポルノ三号の要件に当たってしまうということだと思いますね。今、そういうふうに受けとめました。だから、そういったものは今後撮影されても発売されてもいけないという立場をお話しされたと思います。(アグネス・チャン参考人「今発売されていないんです、もうだめなんです、九九年から」と呼ぶ)いや、だから、発売されてはいけないという話なんでしょう。
そこで、田島参考人に伺っていきますけれども、そもそもこの法律の保護法益そのものは、児童ポルノの被写体となって、非常にその人権を侵害されて、取り返しのつかない傷を負っている子供たちをきちっと救出していこうということであり、その点に我々も全く異議はないし、もっともっと進めるべきだ、足らない点があれば足すべきだと思っているんです。
他方で、「サンタフェ」も含めて、過去出版された出版物を、あるわけですよね、百五十万部ぐらい売れたらしいですから。それは、本棚にあるかもしれない、古本屋にもあるでしょう。そして、過去の同様の写真集のみならず、雑誌のバックナンバーなんかも売っていますよ、古本屋で。そういうものも全部蔵出しして、一年以内に焼き捨てよと。あるいは、ごみで出したら、これまた提供罪に問われてもいけないしというようなことが、日本は過剰同調社会ですから、そこまで法律が求めていなくても、これはまずいぞというようなことで、どんどん本来の保護法益とは違う方向に走り出していき、これは最終的には内心の自由やあるいは表現の自由に重なってくる。現に戦前はエロ、グロ、ナンセンスの規制から始まっていったわけですから、思想の統制というのは。
私は、児童ポルノがいいなんということは一つも思いません。しかし、それが拡張されていくことには危惧を感じる。その点についてどうでしょう。
○田島参考人 私が心配しているのはまさにそういうことであって、本当に大事なことは、きちんとそこに焦点を当てて、それで、それについては本当に厳格にそれをなくすように、あるいは厳しくそれを防止したり除去したりということを本気でやるということですね。だけれども、そうではない形になってしまうと、やはり本来の子供たちの保護とは違う文脈、あるいは違う形で過剰に規制や制約が及ぼされてしまったときに、我々の自由で民主的な社会というのは果たしてどうなってしまうのかということだと思うんですね。
ですから、余りにも過剰な形の規制、広く網をかけ過ぎる規制をしてしまうと、本来大事にしなければいけない価値や権利というのが逆にうまく守れなくなってしまうし、逆に、規制や統制を本当にしたいというふうに考えている人たちは、むしろ非常に広い裁量の幅を持って、やれると思えばいつでもできるんだよというような形で我々の社会の上に君臨をしてしまうということになったら、やはりちょっと我々の社会のあり方としてどうなんだろうか、そういうふうに考えています。
○保坂委員 現に「サンタフェ」も、国会図書館では閲覧規制がもうかかっているんですね。ですから、きょうはこういった審査がありますから、見ないと議論できませんから見ましたけれども、しかし、閲覧規制がかかっているということは、それは一般の図書館ではもう見れないわけですよ。(※昨日、国会図書館で聞いたら、写真の切り取りなど被害が多いので職員の目の前で閲覧するという扱いをしているので、児童ポルノという扱いをしていまわけではないとのこと)そういうところまでの議論を、私、十年前も、この立法当時いましたから、そこまで議論したかなという思いがあるんですね。
ですから、古今東西、人間の表現あるいは芸術には、さまざまな、少女も少年も含めて、彫刻や絵に出てくるということはあります。それが、要するに芸術的な価値がどうなのかということを十分見て、私は、必要な規制はきちんとやるべきである、しかし、それによって表現の自由や内心の自由が萎縮するようなことはあってはならないという立場でお聞きをいたしました。
どうもありがとうございました。
[仮議事録終了]
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