hiyamizu's blog

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東野圭吾『真夏の方程式』を読む

2017年08月23日 | 読書2

 

 東野圭吾著『真夏の方程式』(文春文庫、ひ13-10、2013年5月10日、文藝春秋発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは――。

 

 累計1320万部突破というガリレオシリーズ第6弾で、シリーズ3作目の長編。福山雅治主演の映画もヒット。

 

 小学5年生の柄崎恭平は、夏休みを伯母夫婦が経営する旅館・緑岩荘(ろくがんそう)で過ごすため玻璃ヶ浦(はりがうら)へ向かう。電車の中で、海底鉱物資源開発の説明会に出席する湯川に出会う。

 湯川も宿泊した緑岩荘に宿泊していた塚原正次が海辺で変死体となって発見され、堤防から誤って転落した事故死であろうとされた。

 同じころ、草薙は多々良管理官から直々に特命の捜査を依頼される。玻璃ヶ浦の事件の被害者の塚原は、多々良が教えを受けた元警視庁捜査一課所属の刑事であり、同じ旅館に泊まっている湯川と連絡をとって、草薙に警視庁の独自の捜査を命じた。草薙は内海とともに、湯川にヒントをもらいながら捜査を進めるうち、塚原は殺害後に、海岸に遺棄されたと判断した。


 塚原は、何のために玻璃ヶ浦に来たのか。16年前に塚原が担当した元ホステス殺人事件が鍵になっていて、裏には緑岩荘を営む川畑家の秘密があった。静観したかった湯川は「ある人物の人生が捻じ曲げられる」ことを防ぐために、真相に迫らざるを得なかった。

 

初出: 20101年3月講談社より単行本として刊行

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 16年前の事件が最初から最後まで底流にあり、不気味さの上の、一見のどかで、さびれゆく小さな海辺の町が良く書けている。湯川と、父母と離れて暮らす少年の夏休みをやさしく描いている。

 

 誰が犯人でもおかしくない状況で、それでも意外性ある犯人とするテクニックは見事。優等生的考え方だが、罪を清算しないで過ごすことに少し引っ掛かりがある。

 

 

 

以下、メモ

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

湯川学:帝都大学物理学准教授。

草薙俊平:警視庁捜査一課刑事・警部補。湯川とは大学の同期。

 

柄崎 恭平:小学5年生。夏休み、玻璃ヶ浦の伯母の旅館で過ごす。。

柄崎 敬一:恭平の父。ブティック経営。45歳。

柄崎 由里:恭平の母。敬一とブティックを経営。

 

川畑重治:玻璃ヶ浦の旅館「緑岩荘」(ろくがんそう)を経営。成実の父。太り過ぎで膝が悪く、杖を突く。

川畑成実:かたくななまでの環境活動家。重治の娘。

川畑節子:成実の母。柄崎敬一の9歳年上の異母姉。

 

塚原正次(まさつぐ):被害者。「名刑事」と呼ばれた元警視庁捜査一課刑事で昨年定年退職。

塚原早苗:正次の妻。

沢村元也:フリーライターで環境保護活動家。玻璃ヶ浦出身。

三宅伸子:元ホステス。16年前の殺人事件の被害者。当時40歳。源氏名はリエコ。

仙波英俊:元ホステス殺人事件の容疑者。塚原が身柄を確保し、取り調べ、懲役8年の実刑。

仙波悦子:英俊の妻。旧姓日野。東玻璃の出身。

室井雅夫:仙波英俊と三宅伸子が酒を飲んだ「カルバン」の店長

 

 

桑野:デスメックの広報課

 

内海薫:警視庁捜査一課刑事・草薙の後輩。女性。

多々良(たたら):警視庁捜査一課管理官・警視

間宮:係長

 

西口剛:玻璃警察署刑事課巡査。成実の高校時代の同級生。

橋上(はしがみ):玻璃警察署刑事課。西口の5歳上。

元山:玻璃警察署の刑事課の係長。

岡本:玻璃警察署の刑事課の課長。

富田:玻璃警察署の署長

 

磯部:県警本部捜査一課 警部

穂積:県警本部捜査一課 課長

野々垣:県警本部捜査一課 巡査部長

 

小関(おぜき)玲子:川畑成美の中学の軟式テニス部で一緒。

 

 

 

なぜ乗り物酔いするか。(p94)

「・・・身体が遠心力で外側に振られるだろ? その時、視線も一緒に振られると、三半規管の情報と視覚情報が一致しなくなり、脳が混乱する。その結果、乗り物酔いになる。視線を乗り物の進行方向に固定しておけば、その症状は出にくい。乗り物酔いしやすい人でも自分で運転している時には大丈夫なのは、運転中は常に前方をみているからだ」

コメント
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